5時頃、犬と歩く。夏は早朝の光と風が気持ちいいが、冬はまだ暗く、軍手の指先が冷える。新聞や牛乳配達がシャカシャカ走り、遠距離通勤の車が闇を切り裂いて疾走する。空地に置いた車に、アパートから走り出た人影が乗り込み走り去ったり、コートにスカーフの女性が硬い靴音を響かせて消えていくこともある。仕事か、恋か。もし、それが恋であるならば、と、思うと、数少ないそういう経験を思い出し、歩きながら、思い出を指先でなぞるようにたどったりする。そしてたどり着くのは、もはやそういうことができなくなったなァというほろ苦さ。今はただションベンだけの道具かな。失礼。
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