WHITE STREET 徒然記

フォトグラファーの端くれである吉澤忍の気まぐれブログです。

今年もまた・・・

2006-10-31 22:21:44 | Weblog
敦賀~苫小牧のフェリーの予約を取りました。
期間は2006年12月27日深夜~2007年1月6日を予定。
また「白のあいつら」に会いに行ってきます!

名古屋に戻ると写真を撮る機会…というよりテンションが乗らないことのほうが多く、悶々としたりすることが多いように自分でも感じることがある。

しかし、茶道や先端の写真評といったものに目を回すと北海道ではだめなのでは?と思うこともしばしば。いくらネットが発達している昨今だからといって、あまりにネットに頼るのは危険。やはりその場の空気を感じることの方が肝要。

これからどういった視点で北海道と向き合うか…
それが課題かもしれない。

10月21日京都旅行記

2006-10-24 21:43:17 | Weblog
さて、前回の書き込みで「後日語る」と言ってしまったので書かねばなるまい。

先に書いた通り、本当ならKyoko嬢の案内で時代祭に22日に行っているはずだったが、急な仕事で(午前のみ)行けなくなってしまったのだ。


10月21日、AM6:30起床。AM7:35名古屋駅バスターミナル発京都駅烏丸口着のバスに乗る。
AM10:15京都駅着。地下鉄を乗り継いで今出川駅着。そこから茶道具のある古道具屋などに寄り道しながら大徳寺に向かう。

大徳寺は総見院興臨院が特別公開というので勿論の事寄ってきた。

総見院
織田信長の菩提寺。本能寺の変では信長の遺体が見つからなかったというので、秀吉が2体の信長像を当代きっての仏師に作らせ、その1体を総見院に、もう1体を遺体の代わりとして火葬にしたそうだ。火葬にした木像は香木で作られたらしく、火葬にした時には京の町中に良い香りに覆われたとの記述があるらしい。
ここには3つの茶室があり、表千家先代の家元・即中斎と当代の而妙斎の扁額がかかるものがある。後学の為にくまなく鑑賞。

興臨院
元は守護大名の畠山氏の菩提寺であったが、畠山氏が没落して前田利家が再興した。日本最初の床の間もある大徳寺きっての古い塔頭(たっちゅう)。古田織部好みの茶室もあり、興味をそそられた。


大徳寺を堪能して次に向かったのが西陣にある京都の写真家として有名な水野克比古氏の写真館である町家写真館に向かった。
この写真館は予約制である為、Kyoko嬢から連絡を受けてすぐに予約を入れたのだ(^_^;)
その時の電話の応対に出られたのは水野氏本人!流石に緊張してしまった。
しかし、当日は取材で留守との話を受ける…(;_;)

さて、写真館に随分と早く着いたので、すぐの近所にある「町家紅茶館・卯晴」というおしゃれな喫茶店で時間を潰す。

再び写真館を訪れた時、折り良く水野氏の娘さんの水野歌夕さんが戻られた所だった。歌夕さんはこの「町屋写真館」の館長でもあり、自身も京都をテーマにする写真家でもある。
30分強ほどの僅かな時間であったが、じっくりと克比古氏の作品を堪能し、歌夕さんともお話をして過ごす事が出来た。

PM4;00近くになり、地下鉄を経由して八坂神社のある東山の辺りに足を延ばした。
流石に時代祭の前日ということもあり多くの人でごった返していた。そんな時に撮影したのがこの写真である。円山公園を入ってすぐの池の岩の上で人を恐れる事無く岩の上で悠然と羽繕いをしていたオアオサギを見つけて早速撮影した。それがこの写真である。撮影には金髪碧眼の観光客が夢中になってアオサギを撮影していた。そりゃ確かに「絵」にあるから…。

その後、凄まじい光景に出会う。
空を埋め尽くすほどの沢山のカラスが東山の森の上を「ガーガー」と啼き合いながら飛び交うのである。表現とすれば、夕暮れ空に多数のゴマをまぶしたかのようだった。

カラスが多数空を覆い尽くす光景は、今年の北海道旅行の硫黄山で見かけたものに相当するぐらい衝撃的なものであった。

京都におけるカラスの生態も気になるものだ…

京都に行ってきました

2006-10-22 10:02:00 | Weblog
私が今参加している「心のアラスカ ~星野道夫の思いを繋ぐ~」のメンバーの一人である京都在住のKyoko嬢から「時代祭に来ませんか?」と連絡があったのだ。

京都三大祭の一つということもあって行くと言ったのだが…
その翌日、「仕事に来い~」との話が…(T_T)(実は仕事中にこのブログを打ってたり)

色々と検討してやっともらえた土曜のお休み…
時代祭の前日に行っても、「なんだかな…」

その土曜日に京都のどこへ行ってきたのか、後日に語るとしよう。
写真は昨日の夜に酒の肴にした「大徳寺納豆」である。

虫の声にぞ驚ろかれぬる・・・

2006-10-16 21:26:59 | Weblog
秋きぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる 藤原 敏行

既に時期は中秋の名月を過ぎ、秋の盛りに入ってる時節である。こんな歌を持ち出すのはすでに時期はずれもいい所である。

そんな夜の今日、余りにも虫の音が響いていたので
徳利の酒を空けながら部屋の電気を消して、虫の音に耳を傾けてみた…

コロコロコロリリリリ…
コオロギ(エンマコオロギ)の鳴く声に耳を傾けてみるが…

どうも私の耳には
「リ・リ・リ・リリリリリ・リ・リ・リ・リリリリリリ…」
と聞こえてしまう。

平安の時期には「こおろぎ」と「きりぎりす」は今の解釈の逆だった記述がある。
東儀秀樹さんの曲を聴くようになり、古典雅楽にも耳を傾けるようになり、
更には平安貴族がどのような感覚でいたのかと思いを巡らすようになって古今和歌集を読むようになり…

段々自分が古典回帰しているのに気付く。
今日の虫の音はそんな遥か昔にどのような音を奏でていたのか…
変なタイムトラベルにも似た感覚を覚えてしまう。

市民茶会にて

2006-10-15 17:58:07 | Weblog
本日、地元の市民茶会でお手伝いをしてきた。
席主は母で、私が幾席かの御点前を担当。

流石に男で袴を着て手前をすると注目の度合いが高く、なかなかに緊張をした。

写真にある軸は実は私がとある所で見繕って購入したものである。


見ての通り、畳の茶室ではなく文化財に指定された旧家の藁葺屋根の民家で行った茶会である。

元々、田舎家(いなかや)での茶会というのは近代の茶人・益田鈍翁(ますだどんのう:益田孝の茶人の場合の雅号)が始めたものと言われる。
お屋敷で生活するよりも田舎家の方が何故か落ち着くというので、屋敷の敷地内に田舎家を建てて過ごしたとも。


この建物であるが、近所の悪童どもの受難をかなり受けている。
管理人さんから話を聞くと…

障子の紙を拳骨で破り、建物内に土足で上がりこむ。
それを注意してもどこ行く空。
親を呼びつけても親も反省する素振りは見せない…
学校・教育委員会に言いつけるといってやっと頭を下げる始末。

今の世の中、古い建物の修復には最低でも1000万単位の金が必要となる。
今度壊そうものなら親と子に対して損害賠償でも請求しない限り、事の重大さが分からないだろう。

世の有象無象に対しては物の価値を金という尺度で説明しないと分からないこともある。


アリの目から始まって…

2006-10-13 18:03:12 | Weblog
本日の中日新聞の朝刊に次の記事があった。

--------------------------------------------

科学写真の“ノーベル賞”に栗林さん
邦人初の受賞、独自技術で昆虫接写


 スウェーデンのレナート・ニルソン財団は12日、科学分野で優れた写真を撮った人に贈られるレナート・ニルソン賞の今年の受賞者を、長崎県平戸市の生物生態写真家、栗林慧さん(67)に決定したと発表した。“科学写真のノーベル賞”ともいわれ、日本人の受賞は初めて。授賞式は11月2日にストックホルムで開かれる。賞金は10万クローナ(約160万円)。

 栗林さんは、医学用の内視鏡レンズなどを応用した独自の接写カメラを開発。常識を覆す新鮮な構図のクローズアップ写真で、草むらや林にすむ昆虫を生き生きととらえてきた。「アリになったカメラマン」「草間の宇宙」など多くの写真集やビデオ作品がある。

 同財団は「精密で美しくユーモアある写真により、予想もしなかった身近な昆虫の世界を紹介した」と受賞理由を説明している。

 栗林さんは「これまでの受賞者は世界最高レベルの医学、動物、水中写真家ばかり。その仲間入りができると聞き驚いている」と喜びを語った。

 賞はスウェーデンの写真家レナート・ニルソンを記念して1998年に設けられた。ノーベル医学生理学賞を選考するストックホルムのカロリンスカ研究所に事務局を置き、同研究所長もメンバーに加わる。

--------------------------------------------

私ぐらいの年齢(30代前後)の昆虫図鑑を読んだ事のある人なら、あかね書房刊の「科学のアルバム」シリーズを読んで小学校を過ごしていたかもしれない。
実際に私も栗林氏の昆虫関係の写真を見て育ってきた者の一人だ。

私がこの「科学のアルバム」シリーズを祖父に全冊買ってもらったのは、小学校に上がってすぐのことだから、もう20年以上も前の話である。
これらの本は今、いとこの子供に全冊渡ってしまっている。
写真をやるようになり、あれこれと人の名前が判るようになっていくと、自分で保管するべきだったかと後悔してしまった。

この本の写真を撮っているメンバーには前述の栗林氏を始め…
今でも何かと助言を頂く桜井淳史氏、自然報道写真家・宮崎学氏、植物写真家の埴沙萠氏岩合光昭氏のお父さんの岩合徳光氏… その他有名な写真家の方々が撮影・執筆されている。

今の私の自然写真への傾倒は、ここから始まっているのかもしれない。

ジョロウグモ

2006-10-11 22:52:41 | Weblog
先だっての3連休、どこか遠くへ出かける訳でもなし…
秋めいた近所を散策するにとどまった。

キンモクセイがあちこちで咲いているせいか、風に甘い匂いが乗ってくる。



写真は自宅の近所で巣を張っていたジョロウグモなのだが、今年は例年になくその数は多い。去年は美しい巣を張るオニグモが多く見られたのだが…

ジョロウグモは体長が他のクモに比べて大きく、メスのジョロウグモの大きいものでは私の中指より大きいものが見受けられる。ジョロウグモの種類の中でも沖縄周辺の南方系にいるオオジョロウグモに至っては男性の掌ほどの大きさ(15~20cm)もあると聞く。

写真上部にぼやけて小さく写っているのはオスである。
メスに比べると一際小さい。
ジョロウグモの世界ではオスがメスの下に敷かれるようだ(^^;)
本当の所はどうか判らないが…


クモという生き物は物語や伝承などによるとおどろおどろしく、気持ちの悪い存在として扱われる。能楽・土蜘蛛においても源頼光始め渡辺綱、坂田金時らの頼光四天王によって退治されてしまう。一部の見方を変えれば、この土蜘蛛は土着の民族ではないかとの話がある。

地域によっては蜘蛛は知恵者であったり(アイヌの伝承)、世界のあらゆるものを創造した創造主(エスキモーの民話)であったりする。

確かに…
田圃や畑においてヨコバイ等の害虫を捕食する益虫(クモ類は節足動物であって昆虫類ではないが)であることも忘れてはならない。

名刺できました

2006-10-10 23:56:09 | Weblog
先月の末頃に、度々お世話になっているデザイナーのTAKAさんが名刺を作ってくれたので今回はそれをお見せしちゃおう (o_n)
白鳥の写真と白鳥をあしらったロゴマーク、そして愛機とシブいタッチで決められた私の名前…
肩書きが「写真家」「Nature Photographer」となっていて少し恥ずかしかったが…
名刺負けしないようにこれからも頑張らなければなるまい。


TAKAさん>
カッコイイ名刺をデザインして下さって有難うございました。
また、11/3~6辺りにそちらに伺おうかと画策してます。

侘数寄常住 茶乃湯肝要

2006-10-05 22:38:37 | Weblog
将にマンガ「へうげもの」の世界か!!
(リンクは「へうげもの」作者・山田芳裕さんのブログ)

今朝の中日新聞での記事で茶の師である母親と共に盛り上がってしまった。



名古屋の美術館に名品戻る
美術品窃盗の男保管




 名古屋市昭和区の昭和美術館から10年前に盗まれた古美術品の茶わん25点(当時の時価総額約3億5000万円)がすべて見つかり、9月末に返却されたことが分かった。福島県警が8月に別の事件で逮捕した男が名古屋での犯行を認め、盗難品を所持していた。同館は「半ばあきらめていたので、戻ってきたなんて夢のよう」と喜んでいる。

 昭和美術館の窃盗事件は1996年6月8日朝に発覚。企画展に展示してあった茶わんのうち、安土桃山時代や朝鮮李王朝、中国明朝時代の作品などがなくなっているのを職員が見つけた。

 当時の時価で6000万円相当の江戸時代の「黒織部茶碗(わん)」、朝鮮李朝時代の「鬼熊川(おにこもがい)茶碗」などが含まれていた。同館や昭和署が全国の美術館などに写真付きの盗難品リストを配り、情報提供を広く呼び掛けたが、行方は全く分からなかった。

 ところが、盗んだ国指定重要文化財など3点を売ろうと偽造の住民票を使ったとして、福島県警会津若松署が今年8月に偽造有印公文書行使容疑で逮捕し、起訴された横浜市旭区、無職但馬維昭被告(48)が、全国各地で53点(時価10億円相当)の古美術品類を盗んでいたことを供述。その中に昭和美術館の品も含まれていると分かった。但馬被告は「目録を見て欲しくなった。趣味で楽しんでいた」と話しているが、窃盗罪の時効7年が成立しているという。

 但馬被告は盗品の中でも「鬼熊川茶碗」を特に気に入り、福島県警の捜査員に対し、「死ぬまで自分の手元に置いておきたかった」と話していたという。盗品はきちんと保管していたらしく、割れやひびなどはなかった。昭和美術館は「大切にしてもらっていたのはありがたかった」と苦笑いしている。


黒織部茶碗鬼熊川茶碗の写真も載っていたのだが…
特に鬼熊川茶碗は母親と2人で
「えぇ茶碗だ~…」
と朝っぱらから茶の湯談義。


しかし…
感心するのはこの窃盗犯。
この鬼熊川茶碗(銘を「薄柿」というらしい)を「手元においておきたかった」と…
物の価値が判る人間でないと、この感動は共有できないだろう…



片や窃盗を受けた昭和美術館
老朽化も激しく「いつ収蔵品が盗まれてもおかしくない」とも言われていた矢先の事件だったことだが、一向に改善の兆しなし。HPの作り方からしても管理者が気合を入れてないのが一目瞭然である。Wikipediaの解説でも評価は低いようだ。

当代には侘数寄の心がないと見える。