ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

 危険がひそむ冬場の入浴

2013-01-14 08:58:42 | 日記


志位:今年は寒さが厳しいですね。体を温めるにはお酒が一番だと思っていたのですが、

   こう冷え込む日が続くと、寝る直前のお風呂のほうが効果的ですよね。

永 :志位さんもそうなのですか。実は私もお風呂から出て、身体が温かいうちにお布

   団に潜り込む毎日ですよ。お風呂に入らない日は足先が冷えて、なかなか寝付け

   ません。

志位:ただ、私の家は木造の一戸建てで風呂場が北側にあるので、脱衣所が寒くてね。

   お宅はマンションだから各部屋間の温度差が少ないんでしょうね。

   うらやましいですよ。

永 :いやいや、やはり風呂場も脱衣所も寒いですよ。冬場の入浴には危険が潜んでい

   ることを、僕たちのような高齢者は特に認識しておかなきゃなりませんね。

   最近の調査によれば、年間で14,000人も入浴時に亡くなっているそうですから。

志位:そんなに多いのですか?死亡の原因は脳卒中とかでしょうね。

永 :風呂場での死亡事故のほとんどが冬場に発生しているので、脱衣所や風呂場の寒

   さによって血管が収縮し血圧が急上昇した結果、心筋梗塞や脳卒中が発生したと

   見られがちですよね。でも実際には、このようなケースは1割程度なのです。

志位:えっ、血圧上昇以外にどんな理由があるのですか?

永 :血圧低下による溺死なんですよ。脱衣所の寒さによって、いったん血圧が上昇し

   たあと、お湯に入って血管が広がると今度は血圧が低下しますよね。血圧の上昇

   と降下の差が大きいと意識がもうろうとなって、溺死につながることが指摘され

   ているんです。

   42℃のお風呂に入ったあとの血圧は約40~50mmHgとの報告があります。正常血

   圧が85mmHg~130mmHgであることを考えると、大きな血圧低下ですよね。

志位:いや~、驚きました。

永 :熱いお風呂が好きな人がいますよね。でも、42.5~47℃の熱いお湯は心筋梗塞

   や脳卒中を引き起こす可能性があります。熱いお湯に入ると脳内のモルフィネと

   もいわれているβ―エンドルフィンが大量に分泌されるために、病みつきになる傾

   向があるようですよ。ぬるいお風呂では満足できない人は要注意ですね。

   それに高齢者は動脈硬化や高血圧の人が多いので、私たちも気を付けないといけ

   ませんね。また、お酒を飲んだあとは血圧が下がりやすいので、飲酒直後の入浴

   は厳禁です。

志位:それでは予防法について教えてください。

永 :まず、食後1時間以内の入浴は避けた方がいいですよ。入浴30分前に水分を補給

   して脱水症状を防ぐことも大切です。お風呂の温度は38~40℃がいいですね。

   そして15~20分ゆっくりお湯につかります。つかり方は半身浴が心臓への負担

   が少ないのでお勧めです。入浴後は大きめのバスタオルで水分をしっかりと拭き

   取ってから、バスローブなどで保温することも大事ですね。

志位:浴槽に落ちるのを防ぐ方法はありますか?

永 :ゆっくり行動する、溺れないように腕を浴槽にかけておく、浴槽のフタを半分ほ

   ど閉めてその上にアゴをおく、などですね。

志位:なるほど、私は42°Cのお湯に首まで浸かって、ゆっくり入っているのですが、

   少し湯温を下げることにします。

永 :それと、お風呂の水深がほんの数十センチだと侮ってはいけませんよ。浴槽に入

   ると体に水圧がかかります。この水圧によって末梢血管が縮まり、浴槽から出る

   と広がるのです。浴槽への出入りだけでも血圧は大きく変動することも知ってお

   くべきですね。

志位:入浴が血管に与える影響の大きさというものを改めて認識しましたよ。良い勉強

   になりました。あとは脱衣所と風呂場の温度をいかに居間の温度に近づけるかを

   工夫すればバッチリですね。
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白いネズミと黒い猫

2013-01-10 07:51:35 | 日記


 あるところに信心深い老夫婦が住んでいました。いつも他者のために尽くし、地域の

人たちからとても慕われていました。ところが悪い人に騙されて借金を背負い、屋敷を

手放さなくてはならなくなったのです。老夫婦は黒い猫を大切に飼っていました。

その黒猫はこの屋敷が他人の手に渡らないで済む方法はないものかと小さな胸を痛め

ていたのです。そんなある日、お腹を空かせた彼は一匹の白いネズミに出会いました。

久し振りに見つけたご馳走です。だけど、ネズミは賢くて、むやみに追いかけたって捕

まえるのは難しいことを彼は知っていました。そこで思いっきりお腹を膨らませて、い

かにも満腹だという態度で、小さな壁の穴から顔を出しているネズミに声をかけました。


黒猫:ヤァ~、ネズミ君、この家が貧乏になって君の仲間はみんなよそへ行ったのに、

   どうして君だけはこの屋敷に残っているんだい。

白鼠:ヨォ、君のことならよく知ってるよ。君がお腹を空かしていることだってすっか

   りお見通しさ。君の毛は栄養不足でガサガサだ。昔のような美しい毛並みに戻り

   たいんじゃないの?

黒猫:それがわかっているなら、素直に出てきて、俺に食べられたらどうだ。

白鼠:僕が普通のねずみと違うことに気付かないのかい。

黒猫:そういえば、お前は真っ白だな。白いネズミなんて初めて見たよ。

白鼠:僕は神様の使者でね、ここの老夫婦を助けるためにやってきたのさ。

黒猫:ヘン、つかまりたくないからそんなことを言って、騙そうとしているな。

   そうはいかないぞ。どんな所に隠れても必ず捕まえてやる。

白鼠:僕を食べたって、お腹はすぐに減るぞ。もっと楽に食事ができて、以前のよう

   にツヤツヤの毛並みに戻る方法があるんだよ。

   今日はそれを伝えにやってきたのさ。

黒猫:そんな方法があるわけないだろう?この屋敷が他人の手に渡る日が近いってこと

   を知らないな。

白鼠:知ってるさ。この家のことは何から何まで知り尽くしているんだよ。僕は神様の

   使者としてこの屋敷に来たんだからね。いつも善行を施している老夫婦の窮状を

   見かねた神様が、二人を救うために私を送り込んでくださったんだ。

黒猫:どうも信用できないな。これまでネズミたちには散々痛い目に遭わせられてきた

    から、やはり信用できない。

白鼠:そりゃあ、みんなつかまりたくないから、いろいろな手を使って逃げただろうね。

   もうそろそろ僕の言うことを聞いてくれないかい。

黒猫:まぁ、話だけは聞いてやるが、聞き終わったらお前を捕まえるぞ。いいな。

白鼠:やれやれ。これまでは食べる物に困ることはなかったから、ネズミを捕まえたこ

   となんて無いだろ?だいたい君に捕まるようなのろまなネズミはこの世にはいな

   いよ。おっと、話が横道に逸れてしまった。

黒猫:そこまで知られていてはしかたがない。素直に話を聞くことにしよう。

白鼠:そうこなくっちゃ。では本題に入るよ。お屋敷の広い果樹園の一角に手入れがさ

   れないまま、放りっぱなしになっているりんご園があるよね。誰も気付いていな

   いだろうけど、今は蜜入りのりんごがたくさん実っているよ。このりんごを収穫

   して市場で売ってくるようにと老夫婦に伝えて欲しいんだ。

黒猫:エッ、本当かい?あのりんご園は手入れが行き届かず、すっかり実が成らなく

   なってしまったとご主人様は嘆いていたんだよ。しばらく誰もあそこへは行って

   いないと思うけど、どうして急に実がつくようになったんだ?

白鼠:私の仕える神様が老夫婦のために、打出の小槌を使って、たくさんの蜜入りりん

   ごが実るようにしてくださったのさ。蜜が入っているから他のりんごより甘くて

   美味しいし、高く売れるよ。

黒猫:それが本当なら、この屋敷を手放さなくても済むかもしれないね。そうなれば、

   僕もこの屋敷を出て行かずに済むんだよね。

白鼠:そうだよ。そうなるようにと僕がここに遣わされたんだから。

黒猫:ところで、君の神様はなんという名前なの?

白鼠:大黒様という名前で、君のご主人がいつも拝んでいる福をもたらす神様だよ。

黒猫:この眼で見るまでは信じられないから、これからひとっ走りして、りんご園に

   行ってくるぞ。本当に蜜入りのりんごだったら、これからはネズミを追いかけ

   たりしないよ。

白鼠:急いで行かないと他の動物たちに取られちゃうよ。早く知らせてあげてね。


 りんご園に着いた黒猫はびっくり仰天。すべての木に真っ赤なりんごがたわわに

実っているではありませんか。りんご園の土はふかふかになっていました。落ちていた

りんごを噛じって、またびっくり。蜜が入っているりんごはとても甘く、みずみずしい

のです。黒猫は大急ぎで住居へ戻り、ご主人様のズボンの裾を引っ張ってりんご園まで

連れてきました。老夫婦は思いがけない出来事に驚きつつも、蜜入りのりんごを売って

借金を返済し始めました。このことがきっかけとなり、気力が戻った老夫婦はすっかり

借金を返済し終えたのです。老夫婦は「これは神様の思し召しに違いない。ありがたい

ことじゃ。」と、以前にも増して神様を崇め、地域の人々に貢献するようになりました。

黒猫も毛の色艶が戻り、鏡の前で自分を見つめてはうっとりとする毎日が送れるように

なったとさ。
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シロヘビのご利益

2013-01-07 07:36:03 | 日記




夫:今年は巳年だから、当然のことながらヘビのイラスト年賀状が多かったね。 

妻:ええ、ヘビはちょっと苦手だけど、年賀状のイラストはユーモラスだったりカワイ

  かったりで、とても楽しませてもらったわ。

夫:そうそう、紅白のヘビを水引きに見立てて、蝶結びにしたデザインは良かったよね。

妻:私は宝袋からチョコンと顔を出して、打出の小槌をくわえながらニッコリと笑って

  いるヘビちゃんが気に入ったわ。

  ヘビと言えば、印象に残っているのが山口県岩国市のシロヘビ。身体が真っ白でル

  ビーのような赤い目をしているの。まだ若かった時に錦帯橋の近くの施設で見たん

  だけど、苦手なヘビなのに「ワー、きれい!」って思わず近寄っちゃった。

夫:縁起が良さそうだけど、突然変異だよね。

妻:うん、青大将のアルビノらしいけど、普通、動物の白化現象は一代限りでしょ。

  でも岩国のシロヘビは先祖返りしないで、白化の遺伝が安定しているの。世界的に

  も珍しい貴重な例だから、国の天然記念物に指定されているわ。ニュースによると、

  お正月の3日間に岩国白蛇神社へ参拝した人が今年は例年の5倍にあたる2万人も

  いたそうよ。

夫:ヘビは財運をもたらすと言われているからね。商売繁盛や景気回復を祈願するには

  最適だ。ヘビの抜け殻をお財布に入れておくと金運がアップするんだって。

妻:どこかにヘビの抜け殻、落ちてないかな~。
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年賀状

2013-01-03 10:22:57 | 日記


永 :明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

美井:おめでとうございます。こちらこそ、よろしく!私は今年も裏山で初日の出を拝

   みましたよ。

永 :そうですか。いかがでしたか?

美井:雲が多めでしたが、光が射し始めると、暗いうちから一緒に登ったご近所のみな

   さんから一斉に歓声が上がりましたね。美しかったですよ。

   永さんはどこで初日の出を見られたのですか?

永 :自宅の居間です。前日に夜ふかしをしたので、目が覚めたら既に6時半過ぎでし

   た。慌ててテレビを点けたら、ちょうど全国各地の日の出を生中継していたので、

   テレビの前に正座して見ましたよ。

美井:ハッハッハ、そうでしたか。それもありですね。

永 :おかげさまで、飛行機内からのカメラで撮影しているダイヤモンド富士をリアル

   タイムで拝むことができましたよ。ところで初詣はどちらに行かれましたか?

美井:いつも通り、地元の神社に参りました。相変わらず長い行列ができていましたね。

永 :私はこのあと初詣に行くつもりです。年賀状を見ていたら、パソコンで作成した

   ものがほとんどでした。宛名から通信面まで全て手書きというものは一枚もあり

   ませんでしたよ。

   近年、メールで年賀挨拶を送ってくださる人が少しずつ増えてきました。

   写真添付でね。私も以前は手作り感が溢れる「プリントごっこ」を使っていたん

   ですが、生産中止になって、今ではすっかりパソコン派になりました。

美井:私も今ではパソコン派です。ただ宛名だけは手書きしていますし、一人ひとりに

   短いコメントも書いています。

永 :私が頂いた年賀状にも手書きのコメントが添えられているものがあり、やはり印

   刷だけよりも、何だか嬉しいものですね。

美井:とても個性的な年賀状が多くて、全部を畳の上に並べると、さながらミニ展覧会

   のようです。

永 :自作版画の年賀状をくださる友人がいるのですが、毎年、心待ちにしているんで

   す。本当に見事な芸術作品ですよ。

美井:めったにお会いすることがない知人同士が、年に一度でも近況を伝えあうことがで

   きる年賀状はなかなか良い風習ですよね。

永 :工夫を凝らしているつもりですが、なかなか納得いくものができません。

   最近はパソコンでのお絵描きに挑戦しています。

美井:エッ!パソコンでお絵描きですか?

永 :ハイ、まだできあがったのは2枚だけ。思い通りにはいかないし、長続きするかど

   うかもわかりませんが、上手になったら、来年の年賀状をパソコン絵で作成したい

   と思っているのですよ。

美井:ほう、そうですか。作品ができたら見せてくださいね。

永 :お見せできるようなものを創るべく、努力してみます。
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