ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

霞ヶ浦で冬鳥のバードウォッチング

2017-02-13 07:42:49 | 日記


晴天でしたが、時折、筑波おろしの冷たい強風が吹きつける日に、老夫婦がカメラとビデオを携えて、
鳥たちを観察するために霞ヶ浦湖畔にやってきました。

夫: たくさん居るよ。どの鳥も筑波山に向かって頭を揃えているのがなんだか面白いね。

妻: 校庭に並んで校長先生のお話を聞くマンモス小学校の生徒のようだわ。でも、ここから見ると白い
   鳥と黒い鳥しか見えないわね。白いのはカモメ?黒いのはバンかな?

夫: 確かに白と黒が目立つね。白いのは、多分、ユリカモメだな。彼らだけがこの強風でも活発に飛び
   回っている。この鳥は夏でもここに来れば見られるから、すでに留鳥になっていると思ったけど、
   今は夏場より何十倍も多い。やはり、ここにいるユリカモメたちの大部分は渡り鳥だな。

妻: どうしてユリカモメだと分かるの?

夫: くちばしと足が赤いからだよ。それがユリカモメの特徴なんだ。他の鳥たちは水面から飛び立とう
   としないのに、ユリカモメだけはこの強風下でも元気に飛び回っているね。

妻: 黒いのはバンだと思うけど、バンにはバンとオオバンがいるのよね。どちらかな?

夫: あの群れはオオバンだと思うよ。ビデオをズームして見ると、すべての鳥が黒く、くちばしから頭
   のてっぺんにかけて白い。これはオオバンの特徴だ。オオバンは日本にいる時は非繁殖期で、この
   期間は群れを形成する習性があるんだってさ。主食は水生植物だ。一方で、バンのほうは単独行動
   をする留鳥で、主に田んぼや湿原などに生活の場を持っているんだ。

妻: 黒い体に白い額のトレードマークが見えるわ。バンとオオバンの違いは今の説明で納得したわ。
   これほどたくさんのオオバンを見たのは初めてね。

夫: あそこにはオオハクチョウとコブハクチョウがいるよ。仲良しみたいだ。

妻: 越冬のためにやってくるハクチョウにはコハクチョウとオオハクチョウの2種類がいるわよね。
   どうして、あそこにいるのがオオハクチョウだと言えるの?

夫: ハクチョウついては自信がなかったので、来る前に調べてきたんだ。それによると、オオハクチョ
   ウとコハクチョウの違いは、くちばしの黄色と黒の広さの割合にあるんだ。黄色い割合が高く、黄
   色が鼻孔まで届いているのがオオハクチョウ、黒い部分が多く、黄色が鼻孔まで届いていないのが
   コハクチョウだ。両方が並んでいると名前の通り体の大きさが違うからわかるそうだ。

妻: 今、カメラの液晶画面を拡大して見たら、確かに、くちばしの黄色い割合が大きく、鼻孔まで届い
   ているわね。あれはオオハクチョウで間違いなしね。

夫: 一緒にいるのがコブハクチョウだ。くちばしが赤くコブがあるから、オオハクチョウやコハクチョ
   ウと間違えることはないね。

妻: でもなぜ、あそこにコブハクチョウがいるの?渡り鳥としてここへ来たのかしら?

夫: ハクチョウの仲間は世界に6種類いるけど、日本へ渡り鳥としてやってくるのはオオハクチョウと
   コハクチョウの2種類だけだそうだ。我々が通年、河川で見ているハクチョウはコブハクチョウで、
   観賞用として輸入されたものが野生化した外来種なんだ。だから多分、あそこにいるのはここに住
   みついているコブハクチョウだと思うよ。

妻: ハクチョウたちはどのくらいの日数をかけて日本へ飛んで来るのかな?

夫: オオハクチョウは3,000㎞、コハクチョウは4,000㎞も日本から離れた北緯50度以北のシベリアか
   ら2週間をかけて渡って来るそうだ。そのコースは、カムチャツカ半島から千島列島を経て北海道
   へ渡るコースと、サハリンを経て北海道へ渡るコースがあるそうだ。

妻: そうだ、思い出した!国の天然記念物に指定されているオオヒシクイというガンの仲間がこの辺り
   で越冬していると、新聞の記事で読んだわ。

夫: 彼らの主食は穀物だから、干拓地にいるんだ。だから、ここにはいないさ。

妻: そうなの?残念。水面をよく見ると、カモたちもたくさんいるわね。オオバンとユリカモメが目立
   っていたけど、カモも結構いるわよ。それもいろんな種類が。
   私が知っているカモはカイツブリ、マガモ、オナガガモ、それに・・・

夫: オッ、急にユリカモメが集団で飛び始めたぞ。ものすごい騒ぎだ。

妻: あそこで、餌をバラ撒き始めた人がいるのよ。飛びながら空中で餌をキャッチしているのはユリカ
   モメだけね。オオバンたちは落ちた餌をついばんでいるわ。この強風では飛ばないのが賢い選択な
   んでしょうね。アレ?ドサクサに紛れて、鳩も加わって飛んでる。

夫: きっと、いろんな人が餌を撒きに来るんだろうね。そうしたことも要因となって、この辺りにこれ
   だけの数の鳥が群がっているのかもしれないよ。渡り鳥は冬場になって食べ物がなくなるので、仕
   方なしに大変な思いをしてここまで渡って来るわけだから、餌に困らないでいられるのは嬉しいだ
   ろうね。

妻: 湖畔のすぐそばに車道があるから、車を止めて窓を開け、餌を湖に投げ込んでいる人もいるわよ。
   ほら、あそこ。演歌を歌いながら・・・っていうとこが傑作ね。

夫: 随分、大きな声で歌っているね。自信満々の歌いっぷりだ。

妻: 鳥たちに聴かせたいのかな~

老夫婦たちは近い将来、鳥の観察会に参加して、もっとしっかり勉強したいと話しながら、水鳥たちの
集う場所を立ち去りました。

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