ショートシナリオの館

ボケに抵抗するため、日常生活の中から思いつくままに書いています。月2回・月曜日の投稿を目指します。

お姉さま事件です <パート6>

2016-06-20 07:55:33 | 日記


第21話 茅の輪くぐり

妹: お姉さま事件ですぅ~。お姉さまに言われた通り、チノワくぐりをしてきたわ。お友達と
   一緒にね。でも、みんなが私たちを見て、クスクス笑うのよ。
姉: あら、どうしてかしら?あなた、また何か、変なことをしたんじゃないでしょうね。
妹: 別に変なことなんてしないわよ。教科書を胸に抱えて、輪の横に書いてある説明書通りの
   手順で輪をくぐっただけ。
姉: 教科書って何?お友達に、どんな声掛けをしたの?
妹: だから、チノワをくぐったら賢くなるから、一緒に行こうと誘ったのよ。そしたら、苦手
   科目の参考書を持って行きたいと言うから、名案だと思った私も持って行ったわ。
   だって頭が良くなるんでしょ。私、苦手科目の教科書を全部、胸に抱えて、落とさないよ
   うに注意して「賢くなりますように!」とつぶやきながら、くぐったわ。
姉: あなた、もしかして茅の輪くぐりを、知恵の輪くぐりだと勘違いしたの?
妹: エッ、違うの?だって、つい先日、お姉さまは知恵の輪のおもちゃを私にくれたじゃない。
   昭和レトロな駄菓子屋さんで見つけたって。あの知恵の輪の巨大なのが神社にあるから、
   行ってくぐってらっしゃいと私に勧めてくれたのは、賢くなれるからなんでしょ。
   知恵の輪だから、知の輪くぐり。
姉: まいったナ。茅の輪くぐりは「夏越の祓」という神事で、お正月から半年の間に付いたケ
   ガレや知らず知らずに犯した罪を取り除き、心身が清らかになるように祈る儀式なの。
   唱える詞も説明書に書いてあったんじゃないの?ちゃんと最後まで読まなかったのね。
   それにしても、苦手な科目が一体どれくらいあるの?将来が危ぶまれるわ。
   確かに、これは我が家にとって大事件よ。

第22話 消えた本

妹: お姉さま事件です!本が目の前で忽然と消えたの。ミステリーよ。
姉: 何を言ってるの。手品じゃあるまいし、消えるわけ無いでしょう。本の題名は?まさか、
   私が図書館から借りて来た本じゃないでしょうね。
妹: 違うわ、私が買った本よ。題名は「消えた本」。ミステリー小説なの。この本を読まな
   いと事件は解決しないのよ。
姉: 相変わらず、訳のわからないことを言うわね。「消えた本」が消えたのね。その本が消
   えたことと事件が解決することと、どう関係するの?あぁ、ややっこしい。
妹: 関係するのよ。消えた本の中に事件を解決するカギが隠されているの。だから、本が無く
   なったら事件は迷宮入りになっちゃうわ。だから、早く見つけなくちゃ。
姉: 話がよく分からないわね。そりゃあ、小説の中の事件は最後まで読まなきゃ、解決しない
   でしょうよ。でも、それは小説の中の話であって、本が消えたことは事実なのね。
妹: そう!急に目の前から消えたの。ミステリーでしょ。
姉: う~ん、あなたのことだから、読んでいるうちに寝込んじゃって、読みかけの本が机の後
   ろにでも落っこちたんじゃないの?
妹: エッ、私が寝てたって?そんなはずは・・・アッ、あった!お姉さまのいう通りだわ。
   さすが、お姉さま。すごい推理力!名探偵になれるかも。
姉: バカね。推理力を使うまでもないわ。あなたの事件って、そんな程度のものよ。ただ、本
   を読みながら寝てしまうと、本の内容と夢がごちゃまぜになって現実に起きた事のよう
   に感じることがあるわよ。私も経験済みだから分かるわ。
妹: それって、お姉さまも本を読みながら、よく寝てしまうってことなのね。
姉: こらっ!もう助けてやらない。



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