娘:私ね、職場の人たちをアナログ人間とデジタル人間に分けて対応の仕方を変えてい
るの。ところが最近、自分自身がどんな分類で見られているのかな?と気になり
だしたのよ。
母:相手の性格を見極めながら対応するのは賢明ね。でもあなたが考えているアナログ
人間とデジタル人間って、具体的にはどう違うの?
娘:例えばね、何でも感性だけに従って、どちらかと言えばアバウトな行動をするのが
アナログ人間。片や、うやむやなことが嫌いで、答えをはっきりさせて効率よく
行動しようとするのがデジタル人間かな。
母:私の感覚ではアナログ人間は古いやり方にこだわる人、デジタル人間は新しいもの
に飛びつく人というイメージね。あなたはグラフィックデザイナーの卵として毎
日パソコンと格闘しているけど、感性も豊かで、うやむやなことが嫌い。という
ことは、いったいどちらの分類に入るのかしら?
娘:確かにデジタル製品を駆使しているけど、それを使っている私はアナログ的だから、
そのギャップで疲れるのかな?
母:性格の話から外れるけど、日常生活で使うものはアナログ製品からデジタル製品へ
急速にシフトしてるわね。でも、これでいいのかな?と思う時があるわ。
国策だからと「地デジ」対応のためにテレビを買い替えさせられたし、音楽のカ
セットテープデッキやVHSのビデオを見る機械が製造中止なって、これらがゴミ
と化して地球環境の汚染につながっているでしょう。それにデジタルの世界には
一抹の不安を感じているのよ。
娘:お母さんも翻訳のお仕事でパソコンに毎日向き合っているから、デジタル化の恩恵
に浴しているわよね。ただ、私はデジタル化が最終段階ではないと思うよ。デジ
タルはアナログの欠点を補うために開発されたものだから、将来はデジタルから
次の段階にシフトするんじゃないかな。それがどんなものかは解らないけど。
母:お父さんからの受け売りだけど、人の頭はみんなデジタルで出来ているそうよ。
頭脳だけでなく神経組織全体がコンピュータと同じデジタルで動いているんだっ
て。大脳生理学を学んだ人は知っているようだけど、神経細胞を伝わる信号はシ
ナプス伝導と言われて、信号があるか無いかで決まるの。だから0か1かの世界
よね。
娘:人間はデジタルで動いているということ?だとすればコンピュータは人間の脳の原
始的な形と言えるわね。より人間に近いものを目指すには、今の0と1の信号変
換よりも更に高度な変換システムの開発が必要になるってこと?
母:自分で判断したり、考えるロボットを開発するにはこの点を乗り越えるほど高レベ
ルの技術革新が必要かもしれないね。
娘:デジタル人間の話から先端ロボット開発の話まで進むとは思わなかったな。さっき、
デジタルの世界に不安があると言っていたけど、どんな不安なの?
母:例えば、パソコンでの作業中に急に停電すると、一瞬にしてそれまでのデータが無
くなっちゃうでしょ。こうした危険を秘めているデジタル機器に依存して仕事を
する不安ね。何かで読んだけど、人類が滅びたあとの地球にやってきた知的生命
体が、人間の文明を解読しようとしたところ、各種デジタルメディアは風化して
解読不能。かろうじて残っていたデータは書かれた物で、それも完璧なのは石碑
だったという笑い話があるの。
娘:私も苦労して作ったデータが突然消えて、痛い目にあったことがあるから、その不
安はよく理解できるわ。大切なものはこまめにバックアップして、さらに必ず印
刷して保存しておくことが大切ね。私も今日からデジタル製品だけに頼らないで、
アナログの形でも記録を残すようにしようかな。最後に頼れるのはアナログ的な
物だというのなら、アナログ人間の方がしたたかで強い生き方なのかもしれない
ね。
母:できれば、アナログ人間とデジタル人間のそれぞれの長所を上手に使い分ける生き
方が賢いのかもしれないわ。ちょっぴり、疲れるけれどね。
娘:確かに疲れるわ。あ~あ、今日も疲れた・・・
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます