Vermont 徒然

米国Vermont州在住のCardiology Fellow(循環器科フェロー)のブログです。日々の出来事を徒然と...

さて、診断は?、野茂の引退

2008-07-18 01:58:17 | Cardiology
昨日は当直。

入院の数的には多くはなかったのですが、今一煮え切らないケースがありました。

他院からの搬送。「心臓の危険因子をたくさん持っている患者さんがST上昇型心筋梗塞と他院で診断され」血栓溶解療法(thrombolytics)後に私の勤めている病院に来ることに。他院の救急医によると、「血圧も低いし、脈も徐脈、で胸痛も取れ切れていない」との事。

私の病院のERでも心電図は正常化したのに、胸痛を訴えていて、直接カテ室に行く事に。普通は心臓の血管のどこかが詰まっていて、狭窄を解除して、一件落着、という様に話は落ち着くのですが、今回の症例、カテでは心臓の血管は軽度の狭窄はあるものの、特に血流が悪いようなところもなし。では、「動脈解離?」「肺塞栓?」「pericardial effusion?」??を考えたものの、解離は見つからないし、エコーでは心臓の周りに水はないし、私の病院に来る前に血栓溶解の薬を投与されているし、、、???結局CCUに入院して経過観察、および原因の究明、ということに相成りました。致死的なものはとりあえず抑えてあるので大丈夫とは思うものの、微妙に血圧が低く、ドーパミン(昇圧薬)が少し必要な状況で朝になりました。循環器では珍しく、診断に逡巡する症例でした。久しぶりに鑑別診断を幅広く考えました。(循環器フェローが「鑑別には感染症、敗血症も挙がる」みたいな話を研修医としていると、非常に変な感じがします。)

そして、当直明けに何気なく日本のウェブサイトを見ると、野茂が引退、との事。

直接投げているのを見たことはありませんが、野茂こそがアメリカに来た日本人メジャーリーガーの先駆者であることに間違いはないと思うので、やはり「先駆者(パイオニア)」であることはすごいことだ、と日々思っていました。その野茂が引退となると、時が流れていることを実感させられます。先駆者、と言う意味では、サッカーではやはりカズでしょうか。

あと一日で週末です。