<↑ Fig.1 大正15年6月23日付 岩手日報>
前回、”水不足で目ざめた紫波の町村民||水不足緩和策として先づ自発的に動力使用||”という記事により、これで当地の水不足が全面的に解決できたのだと思っのだが、そう楽観できるものでもなかったようだ。
なぜなら、このブログの出だしの記事の中身は以下のようなものであるからである。
【大正15年6月23日付 岩手日報】
紫波赤石村では北上から上水 今尚水田四百町歩が田植ゑ出来ぬ状態
(花巻)紫波郡赤石村では極度の灌漑水不足から同村の水田五百町歩の内今尚四百町歩は田植え不能に陥り
農民 としては言語に絶した悲惨な状態を現出してゐるがこれ善後策として村当局及び地主有力者は寄り寄り協議中のところ去る十八日以来県勧業課耕地整理係から太宰技手外二名の派遣を申請し同村日詰字城内の北上川から
電力 五十馬力の吸上機械にて鉄道線路の西にあたる外野地方まで約千百三十五間を樋にて引水しこの幹線ととひから各方面に分水して先づ本年の田植えを完了させる方針だ右に関連し村当局では約十三個の水を三十四間の高さで
吸ひ 上げこれを各方面に分配して行くのだが費用は約二万円の予定でこの負担方法は反別割として一反歩二十円の割合で負担することになるであらう、何せ毎年灌漑水不足で本村における打撃は大したものであるから
将来 組合組織として継続的にこれを遂行して行きたいと思ってゐる現在田植未了の水田は四百町歩もあるので田植が出来ぬとすれば六万円からの損で二万円かけても後四万円は徳なことになると語つてゐたが水路の
測量 も終はり工事入札も済んだので今明日中に工事に着手し今月中に田植を終えることになるであらう
全く田植えができない 紫波と稗貫の一部範囲は約一千町歩
紫波 郡葛丸川及び滝名川流域の水田は今なほ水不足のため全く本田移植が出来ずに梅雨中の降雨をまでども到底利用するだけの降雨もなく赤石村においては別項の如く北上川より電力を以て上水するため目下其の工事を急いでゐるが日詰町の約四十町歩
水分 の約二百町歩赤石の二百余町歩等其他併せて約一千町歩に近い右二川の流域である紫波稗貫の一郡は此のまゝ降雨なければ本年は到てい、田植をなす事が出来ないがそれとて大豆等を全部に播種することが出来ない有り様にてこゝ一週間内に
降雨 がなければ赤石の電力上水以外の耕地は前記の反別の幾部植付けを了するのみにて全然見込みなきものであると地方民は大いに落胆してゐると
ということは、赤石村に関して言えば
(1) 全水田は500町歩
(2) 6月22日時点で田植え未了水田が8割の400町歩
(3) 降雨がなければ結局田植えが出来ない水田は200余町歩
ということになる。
したがって、電力による上水がなされたとしてもこのままヒデリが続けば、赤石村の水田の4割強が田植えが出来ないことになるし、たとい電力上水によって田植えが出来たとしても1反当たり20円を支払わなければならない。
大正13年の不作に引き続いての大正15年のこのヒデリ、もしこのまま降雨がなければ赤石村の農民の生活はますます困窮してしまうことになる。
続きの
”旱魃応急策のその後”へ移る。
前の
”紫波の渇水対策”に戻る。
”みちのくの山野草”のトップに戻る。
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なぜなら、このブログの出だしの記事の中身は以下のようなものであるからである。
【大正15年6月23日付 岩手日報】
紫波赤石村では北上から上水 今尚水田四百町歩が田植ゑ出来ぬ状態
(花巻)紫波郡赤石村では極度の灌漑水不足から同村の水田五百町歩の内今尚四百町歩は田植え不能に陥り
農民 としては言語に絶した悲惨な状態を現出してゐるがこれ善後策として村当局及び地主有力者は寄り寄り協議中のところ去る十八日以来県勧業課耕地整理係から太宰技手外二名の派遣を申請し同村日詰字城内の北上川から
電力 五十馬力の吸上機械にて鉄道線路の西にあたる外野地方まで約千百三十五間を樋にて引水しこの幹線ととひから各方面に分水して先づ本年の田植えを完了させる方針だ右に関連し村当局では約十三個の水を三十四間の高さで
吸ひ 上げこれを各方面に分配して行くのだが費用は約二万円の予定でこの負担方法は反別割として一反歩二十円の割合で負担することになるであらう、何せ毎年灌漑水不足で本村における打撃は大したものであるから
将来 組合組織として継続的にこれを遂行して行きたいと思ってゐる現在田植未了の水田は四百町歩もあるので田植が出来ぬとすれば六万円からの損で二万円かけても後四万円は徳なことになると語つてゐたが水路の
測量 も終はり工事入札も済んだので今明日中に工事に着手し今月中に田植を終えることになるであらう
全く田植えができない 紫波と稗貫の一部範囲は約一千町歩
紫波 郡葛丸川及び滝名川流域の水田は今なほ水不足のため全く本田移植が出来ずに梅雨中の降雨をまでども到底利用するだけの降雨もなく赤石村においては別項の如く北上川より電力を以て上水するため目下其の工事を急いでゐるが日詰町の約四十町歩
水分 の約二百町歩赤石の二百余町歩等其他併せて約一千町歩に近い右二川の流域である紫波稗貫の一郡は此のまゝ降雨なければ本年は到てい、田植をなす事が出来ないがそれとて大豆等を全部に播種することが出来ない有り様にてこゝ一週間内に
降雨 がなければ赤石の電力上水以外の耕地は前記の反別の幾部植付けを了するのみにて全然見込みなきものであると地方民は大いに落胆してゐると
ということは、赤石村に関して言えば
(1) 全水田は500町歩
(2) 6月22日時点で田植え未了水田が8割の400町歩
(3) 降雨がなければ結局田植えが出来ない水田は200余町歩
ということになる。
したがって、電力による上水がなされたとしてもこのままヒデリが続けば、赤石村の水田の4割強が田植えが出来ないことになるし、たとい電力上水によって田植えが出来たとしても1反当たり20円を支払わなければならない。
大正13年の不作に引き続いての大正15年のこのヒデリ、もしこのまま降雨がなければ赤石村の農民の生活はますます困窮してしまうことになる。
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