「心の文化」による「おもてなし」 2015-5-14
スイスの「世界経済フォーラム(WEF)」が、2015年の「旅行・観光競
争力報告書」を発表しました。その中で日本は141カ国・地域中で総合
9位でした。「客の待遇」の項目で首位になり、いわゆる「おもてなし」
の精神が高く評価されました。
http://mainichi.jp/select/news/20150507k0000e040111000c.html
4月23日に発行したメールマガジンで、須坂市観光協会が「暮らし観
光」を目指すと紹介しました。訪れた土地の風情や生活文化に触れるこ
とは、旅を楽しむ重要な要素であり、地元の人が地域に誇りをもって生
活している「暮らし」は何よりも来訪者を魅了するからです。
来訪者が土地の風情や生活文化に触れる「暮らし観光」に関して、
とてもうれしいお話をお聞きしたので紹介します。
●ある旅館のリピーターであるお客様は、お土産に名産であるお菓子を
持ってきてくれるそうです。
●緑茶のサービスをしているある施設では、緑茶サービスに加えて、ス
タッフの方の親切に感激して、来訪した方が地元の高級魚を送ってくれ
たそうです。
(長野県の他の地域では、おもてなしでそば茶とか麦茶などを出して
もらい、緑茶をいただかなかったので、長野県では緑茶を飲む風習はな
いと思ったという話もありました。来訪者なので日ごろの生活とは異な
る対応をしなければとの思いがもあったものと考えられます)
これらのケースは、いずれも須坂市民の来訪者への対応が、風情や生
活に根差した「心の文化(岡信孝画伯が私どもの地域のおもてなしを表
現したお言葉)」であったことが、来訪者の琴線に触れたのだと思いま
す。
横町中央交差点付近のポケットパークに東山魁夷画伯詩碑「馬車よ
ゆっくり走れ!」が建立されています。詩碑建立に際して東山魁夷画伯
から次のお言葉(抜粋)をいただきました。
http://www.city.suzaka.nagano.jp/otakara/search/item.php?id=424
http://www.city.suzaka.nagano.jp/enjoy/kankou/kura/pdf/machinami01.pdf
「この須坂市には、他の地域では失ってしまったものが、数多くまだ
残っていると聞いております。一つの特色ある街として人間のぬくもり
のある家並みを大切に保存していただければ、たいへんうれしいと思い
ます。
目新しいものを創る努力を、古くて伝統あるものを保存する努力に置
き換えて、市民の皆様方の気持ちが一つになって、盛り上げていってい
ただければと願っている次第です」
私は、人間のぬくもりのある家並みを大切に保存するということは、
そこに住む人間にぬくもりがあるからであり、また、人間のぬくもりの
ある家並みが、そこに住む人間にぬくもりを与えているという関係にあ
ると考えています。