みことばの光的毎日

聖書同盟「みことばの光」編集者が綴るあれこれ

主のまなざしの先に自分はいるか…

2021年04月02日 | 受難と復活

マタイの福音書 27章45−56節

 きょうはイエス・キリストが十字架上で贖いの死を遂げられたことをおぼえる受難日です。当地は休日。

 「みことばの光」はきょうから日曜日まで、マタイの福音書でイエスの受難と復活を読みます。イエスが十字架の上で語ったことばは、聖書には七つ収められています。マタイは、そのうちの1つ、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」を記します。

 十字架上のイエスに向けて、人々はさまざまなことばを浴びせかけます。共通するのは「自分を救え」とのことばです。人を救ったのだから救え、神のお気に入りだから救ってもらえ、です。「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか」を意味する、エリ、エリ…との神への叫びは、イエスへの人々の嘲りへの答えのようにも響きます。

 ここでイエスが言われたこと、なされたことは、回りにいる人々の想像を超えていました。誰もが自分を救うために必死になって考え、行動する、しかしイエスはそうではありませんでした。嘲る人々へのあわれみといつくしみ、十字架の上でのイエスはそれを失うことなく、保ち続けた、それが「エリ、エリ、レマサバクタニ」ということばに明らかにされています。

 ジェームス・ティソットの絵画の中に、「われらの主は十宇架の上から何を見たか」という作品があります。ほとんどが十字架につけられたイエスを描く中で、この作品はイエスの目が何を見ているのかを描いています。そのイエスのまなざしの先に、私もいらせていただいたのだと感謝に堪えません。

*画像 ジェームス・ティソット「われらの主は十字架の上から何を見たか」(ブルックリン美術館)


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