φ(.. ) 

ちょっとしたメモです。

互いの良さを消しあう先には ~川崎戦、2対2~

2007年10月21日 | 試合
互いの良さを消しあう先には ~川崎戦、2対2~


2006Jリーグ ディビジョン1 第28節第1日 川崎フロンターレ戦

日時:2006年10月21日 16:03キックオフ 場所:埼玉スタジアム2002


天候:晴れ 気温:18℃ 観衆:50134人


審判:片山 義継 副審:山崎 裕彦 中原 美智雄 第4の審判:犬飼 一郎


浦和レッズ Team 川崎フロンターレ


2 Score 2

3-5-2 Formation 3-5-2

スターティングメンバー

GK (1)山岸 範宏 (1)吉原 慎也 GK

DF (20)堀之内 聖 (3)佐原 秀樹 DF

DF (4)田中 マルクス闘莉王 (13)寺田 周平 DF

DF (5)ネネ (2)伊藤 宏樹 DF

MF (14)平川 忠亮 (19)森 勇介 MF

MF (13)鈴木 啓太 (14)中村 憲剛 MF

MF (6)山田 暢久 (29)谷口 博之 MF

MF (8)三都主 アレサンドロ (6)マルコン MF

MF (10)ポンテ (11)マギヌン MF

FW (11)田中 達也 (9)我那覇 和樹 FW

FW (21)ワシントン (10)ジュニーニョ FW


サブメンバー

GK (23)都築 龍太 (21)相澤 貴志 GK

DF (19)内舘 秀樹 (8)米山 篤志 DF

MF (16)相馬 崇人 (4)井川 祐輔 DF

MF (7)酒井 友之 (7)鬼木 達 MF

MF (18)小野 伸二 (15)原田 拓 MF

FW (9)永井 雄一郎 (31)西山 貴永 MF

FW (30)岡野 雅行 (24)黒津 勝 FW


≪得点≫
浦和:19分/ワシントン、52分/ポンテ
川崎:35分/ジュニーニョ(PK)、50分/中村憲剛

≪交代≫
浦和:54分/三都主アレサンドロ→相馬崇人、67分/田中達也→小野伸二、78分/平川忠亮→永井雄一郎
川崎:80分/マルコン→井川祐輔

≪警告≫
浦和:35分/山岸範宏、39分/三都主アレサンドロ、53分/田中マルクス闘莉王、63分/山田暢久
川崎:なし

※田中マルクス闘莉王は次節、累積により、出場停止。

激しい攻防、結果は引き分け

J1リーグ第28節川崎フロンターレ戦。試合会場はホーム・埼玉スタジアム2002。ALL COME TOGETHER!の合言葉を胸に、5万を超えるサポーターが集結した。試合前、そのスタンドには、白星を信じたサポーターの熱いハートが浮かび上がった。
試合は上位対決に相応しい白熱した攻防が繰り返された。長谷部誠をケガで欠いた浦和レッズはボランチの位置にキャプテンの山田暢久を起用。出場停止明けのポンテがトップ下に入り、その他は前節と変わらないメンバーとなった。
この「山田ボランチ起用」がズバリ的中した。彼が中盤の底を務めたことで、守備からの攻撃がスムーズになった。全体がコンパクトに保たれたまま、試合が動くという流れだった。

前半は山田のプレーが全体を引き締めた



また、ポンテから繰り出されるプレーは、全てが超一流級だった。ポンテは攻撃だけではなく、守備の面でも献身的なプレーを見せた。中盤の軸となったこの2人が今日の試合を作った。

この試合が本当に重要な34分の1であることは選手たちのひと蹴りひと蹴りから伝わってきた。それだけに試合の流れが一方にかたむくキッカケは、ほんのわずかな差。ミスが今日の勝敗の鍵を握ると言ってもいい程だった。

ゴールは前半19分。田中マルクス闘莉王からパスを受けたワシントンがDFを背負いながらも素晴らしいボールコントロールを見せて、先制点を奪った。だが、喜びもつかの間、追撃の望みを残している川崎のMFマギヌンに真ん中を狙われる。スピードに乗ったまま、ゴールをめがけて走りこんでくるマギヌンをGK山岸はたまらず倒してしまう。これがPKになってしまった。このチャンスをジュニーニョが決めて、1対1の同点へ。試合は振り出しに戻った。その後、浦和レッズは押し込まれるが、何とか同点のまま、ハーフタイムに入った。





後半を迎えると、川崎は間髪入れずに攻め込んできた。後半5分、左サイドをやぶられ、クロスボールに川崎MF中村が頭で合わせた。2対1、リードされる。だが、その2分後。同7分にポンテが山田のパスを受けて、同点ゴール。ここまでくると、試合の行方はもう読めない。最初にミスをした方が負ける、そんな均衡した試合だった。
試合は2対2の引き分け。勝ち点1が加算された。それでも浦和は後半に入り、10本のシュートを放つなど、試合の流れを引き寄せていた。勝てるチャンスはあった。ただ、試合後の選手たちの反応を総合すれば、3位の川崎を相手に負けない事が良かったと、これが次につながると前を向いていた。また一歩、目標にむかって前進したという言葉で今回の試合レポートをしめたい。



ブッフバルト監督会見

首位対3位の戦い。良い試合だった。川崎は勝ち点3が欲しかったはず。我々は3つ巴ではなく、ガンバとの一騎打ちに持ち込みたかった。試合はいい形で入れた。あのハンドはPKだったが、1対0にできた。チャンスは作ったが、なかなか追加点が入らない。35分まではゲームを支配できた。不注意でPKを取られたあと、リズムを崩し川崎のペースになった。
後半に入ってすぐ、1対2になってしまったが、我々は盛り返し、ゲームを進められた。
その後は、川崎と浦和のペースが交互に訪れた。強い相手だっただけに良いゲームができた。結果には満足している。確かに引き分けは残念に思うが納得しなければならない。
まだ首位だが次はアウェーの磐田。首位を明け渡さないように準備をしたい。



質疑応答

Q:ゲームが安定しなかった原因は?
A:強豪同士の戦いでは緊張感を持って試合に臨むもの。その場合、ゴールで選手の気持ちが大きく左右されることがある。川崎なら、谷口・我那覇・中村・ジュニーニョがゴールを決めるとチームは勇気付けられる。それはうちも同じである。

Q:ホームでの2失点について
A:1失点目は得点力の高い川崎が相手だったこと。あれは中盤が空いてしまったのが原因。
2失点目はどのチームにだって取られる可能性はあること。もう一度、試合を見て検討したい。

Q:早めに交代した理由
A:ハーフタイムにアレックスから相馬への交代は頭にあった。アレはカードをもらっていたし、ゲームに乗れていなかったので、あの時間になった。小野についてはあのテクニックの高さを活かそうと思った。

名勝負数え歌

「見ているサポーターにとって迫力ある試合だったと思う」
ワシントンの言葉の通り、90分間、目を離せない試合だった。2対2の引き分けの結果だが、今シーズンのベストゲーム。取ったら取り返す。ボクシングに例えるのなら、ノーガードの殴り合い。見る方が燃えないわけはない。それは選手も同じ。「ベンチから見て面白い試合」と相馬。また伝える我々も「今日は良い試合だった」と皆、口を揃えた。審判の不可解なジャッジもあったが、それがまた良いスパイスとなった。
試合直前、スタジアムを飾ったハートとパルス(鼓動・脈の波形)を表したデザイン。まさにドキドキ、ワクワクの試合だった。しかし、あっさり取られた失点シーンだけは余りにもいただけなかった。
川崎の強さを改めて知った。浦和は3枚のカードを切ったが、川崎はたった1枚。しかも後半40分での交代。切るべきカードがなかったのか。それとも、流れを壊したくなかったのか。それは関塚監督にしか分からないが、浦和の攻撃に耐えながら、最後まで攻撃を仕掛けた。「チームとしての完成度は高い」と鈴木啓太も認めるところ。
今日は痛みわけとなったが、川崎との「名勝負数え歌」はまだしばらく続きそうだ。

戦評/佐藤亮太



川崎戦を振り返って ~選手コメント~

≪キャプテン・山田暢久≫
相手も優勝を狙うチームだったが、勝ちたかった試合。それでも引き分け、勝ち点1は重要。(アシストの場面)早い時間で取られてたが、すぐに取り返し自分達のペースに戻せた。失点は原因があってのこと。明日ミーティングがあるので見直さなくてはならない。川崎は速いのでできるだけ遅らせようとした。ケアはしていたが、うまくいかなかった。防ごうとすれば防げた失点だった。優勝までにはなかなか先が見えない。とにかく1試合1試合戦いたい。

≪山岸範宏≫
前半はいい形で先制し、いいリズムで試合を運ぶことができた。でもその後、PKを取られ、苦しい展開になってしまった。PKは悔しい。責任を感じている。後半はもう勝つしかないと思って集中した。それなのに5分できれいに失点してしまって、追いかけるのに時間がかかったが、ポンテが入れてくれたのでホッとした。内容としては悪くはないと思う。後半もシュートチャンスはあったし。勝ち点3を取れなかったのは悔しいが、気持ちを切り替えて、次こそしっかりと勝って終わりたい。





≪堀之内聖≫
勝ち点3を取りたかった。勝ちに行っていたが引き分けは残念。試合前はいつも通りの自分達のサッカーをしようとした。前線に足が速く、個性の強い選手も多いので激しく行こうとした。失点シーンは修正すべき点。次の磐田戦を今日の引き分けが無駄にならないような試合にしたい。

≪鈴木啓太≫
2失点は考えていなかった。同点に追いついたし、ピンチを耐えた部分はある。川崎は1人1人巧く、チームとして完成度が高い。逆転されて追いついて、チャンスも多くなった。攻撃についての課題は見つかった。ただ攻めるのではなく、ボールを落ち着かせて、相手を出したりするような頭を使った攻撃が必要だ。





≪三都主アレサンドロ≫
いい戦いができた。先制したまでは良かったが、前半の最後で流れが変わり、押し込まれてしまった。そこが悪かった。広範、僕のミスでゴールが相手に記録されたのは残念。マークが甘かったせい。そのせいで良いセンタリングを上げられてしまった。すぐ後に、ヤマ(山田)の良いスルーパスからポンテが決めてくれたので良かったが。勝ち点1はプラスに考えている。相手は川崎だったわけだし。ただ、今の僕には何も言えない。早い時間にベンチへ下がってしまったのだから。後半は自分のサイドで失点され、何もしないまま交代となってしまった。悔しい。でも、しっかりと気持ちを切り替えて、次の試合に臨む。アウェイだが、勝ちにいく。





≪平川忠亮≫
いい形で先制し、前半30分までは良かったが、PKにつながる場面では集中力が切れてしまった。フリーでもたれ、良いスルーパスを入れられ、PKにつながってしまった。もっと中盤で厳しくいければ良かった。相手には良い選手が多いし、強いし、引き分けは仕方がないかも知れないが、終わってみれば得点するチャンスはあったのだから勝てる試合だった。サイド攻撃、良い時間帯ではつながるが、悪くなると“真ん中、真ん中”となってしまう。もう少しサイドを使ってくれれば。この辺が課題だ。残り少し、1試合1試合、集中して戦いたい。

≪相馬崇人≫
前半はベンチから見ていて面白い試合だった。激しい攻防に、いつになくスタンドも高揚していて。交代はいきなりだった。心構えもできないまま、入ってしまった。最初に感じたのはスタンドの雰囲気の良さだった。1本目を取られ、ファールになった。京都戦では同じようなプレーでイエローカードが出ていたので、今回は(カードが)出なくて良かった。





≪ポンテ≫
難しい試合になった。両チーム共に攻撃的で、シュートチャンスが多かった。その中でのゴール。あれはヤマ(山田)が相手をかわして、良いスルーパスを入れてくれたおかげ。その前にアイコンタクトができていたので、パスが出てくるなと思った。ホームでの引き分けは残念だが、川崎との勝ち点差は変わらないわけだし、まずは良かった。次はアウェイになるけれど、きっちりとチャンスを決めて勝ちたい。

≪田中達也≫
先制点を取るためにアグレッシブにいった。結果、引き分けの勝ち点1。次につながったと思う。互いに良い所を消しあった試合だった。今日は相手のボランチが良いので、守備の意識を強く持って試合に臨んだ。





≪ワシントン≫
思っていた通り、難しい試合だった。見ているサポーターにとって迫力ある試合だったと思う。でも勝ち点3が取れなかったのは残念。今日は勝てた試合だった、後半、同点に追いついたし、チャンスだって作った。それにポンテへのファールとハンドのシーンなどPKは2回あった。しかも今日は警告を受けたのは我々だけで、川崎は中村やジュニーニョのファールがあったのにも関わらず、警告はなかった。それにオフサイドになった小野のゴールも、オフサイドではなかったと思う。今日もゴールを決めたが、得点してもチームが勝たなければ意味はない。明日のガンバの結果を今は待つしかない。





≪田中マルクス闘莉王≫
※このコメントは音声でもお楽しみいただけます。

(前半は)1対0で終わりたかったが、1対1で終わったのは試合の流れを変えたと思う。(先制点の場面は)常にワシを見るようにした。ああいうところに強いことは知っている。素晴らしいゴールを決めてくれた。攻守の切り替え早かったし、守備の意識がお互い強かったし、グラウンドもお互いにコンパクトにして狭くやろうとしていたので、やっていて楽しかった。見ていた人にとっても良い試合が見れたと思う。2失点されたのは、場面場面を見れば、ちょっとしたミスの重ね合い。最後まで踏ん張れるように、もう少し力をつけたい。最後は押せ押せで、いつ入ってもおかしくはない流れにした。入らないことの悔しさより、最後まで自分たちのペースでやれたことが良かったと思っている。