太田進研究室

太田進研究室の日々の出来事やその時に感じたことを記録していきます。また家庭での生活もつれづれに書いていきます.

留学への扉

2009-04-01 | 研究留学回想録
 1年半後に留学するため離職すると決めました。そして今後まずやらなければならないことは当然留学先を決めることです。普通は留学先が決まり引き受けて頂けた時点で留学へ動き出すと思いますが。

 留学先を決める要因として、1.自分の専門を生かせる(理想)、2.既に研究しているもしくは研究留学をした日本人に紹介してもらう、3.2に類似していますが自分の所属する研究室から研究留学者を引き続きだしているところに留学させてもらう、4.学生(修士など)として入る、5.論文などから最も自分の興味がある研究をしている所にapplyする、6.インターネットで留学したい研究室のBossの顔から人相を読むなどを考えていました。また自分の本当にやりたい事をやれる留学がよいのですが、Bossやスタッフなどの人間関係が良い方が研究内容よりも留学を成功させるためには重要と聞いたことがありました。しかしそのような情報は人相を読む以外の方法では私としては入手困難と思っていました。

 PTで留学経験のある方に貴重なお話も聞かせて頂きましたが、私のように「ないものづくし」の人間が臨床に近い研究留学をしたいということは、まさに無謀な野望であったようで、お話の印象は厳しいものでした。スウェーデンとカナダに研究留学をされていた二人の整形外科医は、自分でapplication letterを書いてお金は要らないからそちらの研究を手伝わせてくれというような感じで自分で見つけることを薦められました。二人の先生は留学できると自信たっぷりに断定していました。なんとなくそんなものなのかなと感じていました。(実はその後お会いした時に本当に留学できる(する)とは思わなかったといってみえましたが。)

 さていずれにしてもコネもないので、自分でApplyするしか方法はありません。ちなみに前述した「ないものづくし」とは私が留学に関する講演でいつも述べる4つのないです。1.英語力、2.学位(博士号)、3.研究経験、4.お金がその4つです。

 英語も何とかしなくてはと思い、語学学校に通い始めましたが週1回ではうまくなるはずがありません。留学先が決まらない、英語もダメダメで2001年春になってしまいました。留学まであと1年。あせる気持ちがあるもののどうして良いか分からず、自分の興味のある英語論文(前十字靱帯損傷、膝蓋大腿関節障害、肩関節傷害、スポーツ外傷など)を読んでどこに留学をしたら良いか日々考えていました。家内からはこのままでは狼少年といわれてしまうとプレッシャーをジワリジワリと掛けられていました。

 そんな時(4月頃)でしたが、9月の肩関節学会で発表しようと学会に応募しました。採択されたため学会の案内が届き、冷蔵庫の扉に張っておきました。

 何の進捗もないまま6月になり、家内から9月に学会発表をしている余裕はないのではないかと鋭い指摘を受け、事務局に大変恐縮でしたが一身上の都合でとしてお断りさせて頂きました。その時に冷蔵庫に張ってあった案内をゴミ箱に捨てたのですが、なんとなく気になりもう一度丸めた紙を見てみました。そこには投球傷害で有名なDr.Jobeが講演でみえると書いてありました。Dr.Jobeの所属はUniversity of Southern California (USC)となっており、このUSCには理学療法の学部があるのだろうかと思いインタネットで調べてみました。今考えるとその時が留学への扉をほんのちょっと開けた瞬間でした。丸めた紙を広げなければ留学をしていなかったかもしれません。