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排除された安倍首相…日本抜きで進む北朝鮮和平シナリオ

2018-05-15 11:57:33 | Weblog
2018年5月15日 日刊ゲンダイ

    まさに泣きっ面に蜂だ。急転する北朝鮮情勢をめぐり、蚊帳
    の外批判にイライラを募らせる安倍首相は自ら外交無策をさ
    らし、恥の上塗り。一方、強気の北朝鮮は拉致問題について
    朝鮮中央通信の論評を通じ、「解決済み」と再宣言。
    23~25日に予定される核実験場廃棄の公開取材では日本
    メディアを対象外とした。
    史上初の米朝首脳会談を控え、日本抜きの和平構想が着々
    と練られているともいう。もはや安倍政権は蚊帳の外どころ
    か排除されているのが実態だ。

■「北京ルートなどを通じて努力」の赤っ恥
 安倍首相が醜態をさらしたのは、11日に生出演した“親密メディア”フジテレビの「プライムニュースイブニング」だ。南北首脳会談で金正恩朝鮮労働党委員長が口にした「(拉致問題について)韓国や米国など周りばかりが言ってきているが、なぜ日本は直接言ってこないのか」という発言をめぐり、真偽を問われた安倍首相は虚を突かれたのか目をキョロキョロ。
   「あの~、金正恩委員長に直接言わないのか、ということである
   と思います」とトンチンカンな釈明を始め、「われわれは北京ル
   ートなどを通じてあらゆる努力をしています」とシドロモドロ。
「北京ルート」は在中国日本大使館を通じた各国との接触を指しているのだが、これすらマトモに機能しているのか疑わしい。朝鮮半島情勢に詳しい東京新聞論説委員の五味洋治氏は、日刊ゲンダイのインタビュー(4月6日付)でこう指摘していた。
   〈北朝鮮がミサイルを発射するたびに、「政府は北朝鮮に対し、
   北京の外交ルートを通じて厳重に抗議した」と報じられ、拳を
   振り上げて怒りを表明したかのようですが、実際は北朝鮮大使
   館にファクスを送っているだけなんです〉

■いまだに大使館ルートの周回遅れ
 改めて五味氏に聞くと、呆れた様子でこう話した。
   「中国の習近平国家主席や韓国の文在寅大統領は金正恩委員
   長とすでに直接交渉し、6月12日にセットされた米朝首脳
   会談ではトランプ大統領も直談判に臨む。関係国が首脳外交
   を展開する中、安倍政権はいまだに大使館ルートで対話の糸
   口を探っているというのですから、周回遅れもいいところで
   す。CIA(米中央情報局)が中心になって動く米国は、数
   年前から北朝鮮の交渉担当者と携帯電話で直接やりとりをし
   ていたとも聞きます」
 一方、2度の平壌詣でで米朝会談をまとめたポンペオ国務長官は「北朝鮮が速やかに早期の非核化に向けて大胆な行動を取れば、北朝鮮の繁栄に協力する用意がある」と言及。制裁緩和を飛び越え、経済支援にまで踏み込んだ。どういう腹積もりなのか。
   「北朝鮮が保有する核弾頭やICBM(大陸間弾道ミサイル)
   の一部を国外に搬出させ、北朝鮮が誠意を見せたとの理由で
   経済的なサポートを始める。これが米国が描く青写真だといい
   ます。コトを急ぐのは、中朝関係の修復によって中国が北朝
   鮮への影響力を強めるのを懸念しているためで、対北支援に
   積極的な韓国はもちろん、爪はじき状態の日本も巻き込む算
   段です。兆円単位の戦後補償が見込める日本は、北朝鮮のヤ
   ル気を引き出す重要なファクターですから」(米韓外交関係者)
 関係国が米国プランに沿って動きだせば、日本固有の案件である拉致問題の棚晒しは避けられない。拉致問題解決を米朝国交正常化の前提とする安倍政権にとって、悪夢のシナリオだ。

 安倍首相は6月8日からカナダで開かれるG7サミットでの日米首脳会談を模索し、米朝会談直後の再来日をトランプに要請しているようだが、トンデモない手土産を渡されること必至である。


      《週刊新潮5/17号》
       「官邸から外務省に対して、『“蚊帳の外”という
       言葉は、記者を中心に、第三者に対して使わないよ
       うに』とお達しが下りてきました」(外務省関係者)