サーフィンに医学のメスを!

整形外科医/医学博士イナダクニマサのブログ

SUPのトレーニング効果について

2013-04-05 | 2014年までの記事
今朝の

部原正面
サイズはそこそこですが、結構形のいい波が割れてました。


先日、
アウトドア雑誌「BE-PAL」最新号の「SUPに関する記事」がダメだという事を書きましたところ、
「では、私の意図したことはどんなことか?」というコメントを頂きましたので、
お答えしたいと思います。(長文です)

「スタンド・アップ・パドル(SUP)ボードによるトレーニング効果について」

 これを説明するには、まずSUPとはどんなスポーツかを知る必要があります。

 トレーニング効果を期待して行うSUPの場合には、ほとんどが海の湾内や川、湖などのフラット・ウォーターを漕いで進む「クルージング」のことを指すと思いますが、SUPにはこの他にも、波に乗る「SUPサーフィン」、外洋のロング・ディスタンスでの競争「SUPレース」、さらにはSUPの上でヨガをしたり、釣りをしたりと色々な乗り方があります。

 そして、それぞれトレーニングやフィットネスの効果には違いがあるのですが、
「BE-PAL」ではこれらがごちゃ混ぜに表記されているために、表現が不正確で理解に苦しむ文章になっています。私のコメントとして挙げられている文章も、SUPを全く分かっていない素人が勝手に書いた文章なのです。

 では、「SUPが体幹の強化に効果的である」という理由について説明します。

 SUPでは、ボードの上に直立して、パドルで水を掻いて海面を進むわけですが、この時、腕にかかる推進力が肩甲帯に伝わり、これが胸郭→脊柱&腹腔→骨盤→股関節→下肢と力が伝達して、最終的に足からボードへ推進力が伝わるわけです。
 この時コア・マッスルが働かないと上肢の力が下肢に伝わらないので、SUPがコアの強化に役立つのです。もちろん、とくに初心者の場合には不安定なボードの上に立って前後左右方向にバランスを取ること自体も、コアの安定性が必要とされるためにトレーニング効果はあると思います。
しかしながら、コアの強化には「ボードの上でバランスを取る」ことよりも、「推進力の伝達」がカギなのです。ですから、上達するほどボードのすすむスピードはあがり、ボードのブレも無くなっていきます。

 一方、「SUPサーフィン」ですが、

基本のパドル操作に加えて、ウネリに合わせて方向転換→全力でパドルを漕いでテイクオフ→サーフィンの要領で波に乗り→パドルを使っての急激な方向転換や加速などと、はるかに多くの動作が要求されます。

 特に、普通のサーフィンとの違いは、テイクオフ時のスタイルが違うこと(プローンかスタンドアップか)と、波に乗りながらパドルを利用して方向転換や加速が出来ることです。サーフィンでは、ライディング中には上半身は体重移動やターンの先行動作などの役割しかありませんが、SUPでは、ライディング中にも上半身の果たす役割が大きくなるため、頻繁に行えばサーフィンとは違った肩甲帯を支えるアウター・マッスルやコア・マッスル等に対するトレーニング効果は期待できると思います。

 私はウィンド・サーフィンも長年やってきたのですが、ちょうどウィンド・サーフィンに共通する体の使い方と言えます。上達したウインド・サーファーの上半身はサーファーのそれとは大きく異なります。また、コンディションによっては、サーフィンよりもパワーやスタミナも要求されると思います。
(5年前、私の初SUP)
 とは言え、SUPサーフィン自体は、ヒザ~モモ位の小波であれば初心者でもちょっと練習すれば波に乗れるようにはなるので、ただのクルージングだけしていても飽きてしまうので、波に乗ればより楽しめると思います。

 SUPを使ったトレーニングとしての魅力としては、 

この他にも、サーフィンが横乗り姿勢でするのに対して、SUPでのクルージングは左右対象に体を使うことになるため、全身のバランスの調整にも役立つと考えらること。また、長時間(長距離)漕げば有酸素運動になって、体重を落としたりスタミナ強化にも有用であることなどが挙げられます。
(SURF GARAGEのハナちゃん)
 しかも、こうしたトレーニング効果が、非日常的な広々とした海の上で清々しい気分で得られること、またSUPサーフィンを取り入れれば飽きずに続けられること、SUPボード自体も日々進化して新しい可能性が期待できることなど、SUPの魅力は尽きません。SUPはサーフィンとは異なり、波打ち際から自分の力で遠い沖まで行くことが出来るので、普段見にしない景色を楽しむことも出来ます。

 一方、問題点もあります。

SUPは道具が大きくて保管や運搬が大変であることと、高価であることがデメリットだと思います。ただ、これに関しては逗子にある多くのウインドサーフィンスクールのように、海岸に保管庫やレンタルショップがあれば、SUPの垣根は低くなると思います。我々も、近くの海でこうした施設を計画しております。

以上、長々と書いてしまいましたが、
これだけの魅力のあるSUPが、多くの人が目にするところで、あまりにもいい加減で無責任な表現で紹介されていることに大変不満を抱いたわけです。

我々は、
本当に真剣にサーフィンやSUPを研究し、その発展を心から願っているのです。
コメント (7)    この記事についてブログを書く
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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今年は! (Koiパパ)
2013-04-05 21:22:52
興味深く読みました!今年はSUPやりますよ!よろしくお願いします。身体作り楽しそう!一緒にね!
さっそく! (surfing-doctor1792)
2013-04-05 22:16:33
コメントありがとうございます!
SUP是非やりましょうね。
もったいない (Dr.T)
2013-04-06 09:15:34
このブログだけじゃもったいないよ。
そうですね。 (Surfing-doctor1792)
2013-04-06 14:51:54
トレーニングに関する出版かDVDでも作りたいです。
ありがとうございます (ta)
2013-04-06 15:50:03
先日質問した者です。
よくわかりました。
Unknown (surfing-doctor1792)
2013-04-07 14:57:37
それは良かったです。
でも、まだまだ書き足りません。
supのトレーニング効果 (掛川誠)
2015-04-24 15:21:50
初めまして。こんにちは。
清水エスパルスJr.ユースGKコーチをやっています掛川と申します。
ブログを読ませていただきました。自分もsupを何回か挑戦してトレーニング効果を実感したところです。
supのような動きはアスリートとして必要な動きではないでしょうか。
トレーニングに組み込みたいと思いました。
幸い活動が三保なので多くの方がsupをやられています。
ぜひエスパルスでもという声も掛けていただいているところです。
トレーニングとしてのsupの効果のブログ勉強になりました。今後も宜しくお願いします。

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