セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

代わりに家事手伝い

2011年04月30日 00時07分03秒 | クエスト184以降
 無事ダンジョン探検を終え、近くの街で休息を取り、では帰りましょうか、となったミミとイザヤールとサンディ。
 帰る前に街をぶらぶらと散策していると、たまたま通りかかった墓地のとある墓の側で、一人の美少女がしくしくと泣いているのが目に入った。元守護天使としては、泣いている人を見かけたら放ってはおけない。
「どうしたんですか・・・?」
 ミミが声をかけると、少女は涙に濡れた顔を上げた。手に、とても美しいドレスを持っている。
「よかったら事情をお話頂けませんか?」
 すると少女は、ためらいながら話し始めた。
「実は・・・とあるお屋敷の舞踏会に行きたいのですけれど・・・お継母さんの言い付けを済まさなければ、出かけられないのです。ドレスはこうして、何とかなったのですけれど・・・お継母さんの用事をしていたら、とても間に合いそうもなくて・・・」
 そして娘はまたしくしくと泣き出した。
「どこかで聞いたよーな話ネ」
 サンディが呟く。
「あの、よかったらその用事、私が代わりにやりますよ」
 ミミが申し出ると、少女は濡れた目を見開いた。
「本当ですか?!でも・・・お継母さんは、大変な用事をたくさん頼んできましたから、お願いするのは申し訳ないです・・・」
「大丈夫だ、私も手伝おう」
 イザヤールが言い、ミミに向かって微笑み、頷いた。
「アンタら相変わらず超お人好しよネ~。ま、しょーがナイか」
 サンディもそう言ってにっこり笑った。
「ありがとうございます!何てお礼を申したらいいか・・・」
 少女は、深々と頭を下げ、続けて呟いた。
「きっと、死んだお母さんが助けてくれたんだわ・・・」
 こうしてクエスト「代わりに家事手伝い」を引き受けた!

 ミミたちは、少女の家に向かった。
「用事はテーブルの上に置いてあるメモに書いてありますから」
 少女は言って、ドレスに着替え、出かけていった。
 そしてミミは、家事にちょうどいい「メイド服」に装備を変えて、メモを手に取った。
「え~と、まずは、お家全部のお掃除か・・・隅々まで、埃一つ残さず、って書いてあります」
 さっそくミミとイザヤールは掃除を始めた。サンディは、「ガンバってネ~」と、椅子の上に寝転がっている。
 要領よく手分けして済ませていったので、掃除は瞬く間に片付いていった。後は高いところを残すのみだ。だが、それがなかなか厄介だった。
「言っても仕方ないですけれど・・・天使の頃だったら楽だったのに~」
 この家にはぐらぐらの踏み台しかなく、ミミは危なっかしい様子で乗ろうとした。
「ミミ、危ないぞ」
 イザヤールは眉をひそめて見つめ、いきなりミミを抱き上げ、自分の肩の上に乗せた。
「え?!い、イザヤール様っ・・・」
 真っ赤になり、うろたえるミミ。そんな彼女の脚をしっかり支え、彼は笑って囁いた。
「ちゃんと支えているから、頼んだぞ」
「は、はい・・・」
 ほんのり頬を染め、イザヤールに埃が落ちないように細心の注意を払ってシャンデリアを磨くミミ。その様子をげんなり顔で見つめ、サンディは呟いた。
「アタシに頼めば済むじゃん・・・手伝わなかったの謝るワヨ~、だからアタシをガン無視してイチャつくのやめてヨ~」

 守護天使の頃の経験を生かし、ムチャ振りな用事を次々こなしていったミミたちだったが、メモの用事もようやく最後になった。
「あのコの継母・・・絶対舞踏会に行かせる気なかったよネ・・・」
 すっかり綺麗になった部屋の一番いい椅子に腰かけ、あくびをするサンディ。
「あと一つでおしまいだから。・・・地下室の蜘蛛退治?」
 冒険者たるもの、蜘蛛くらいでうろたえてはやってられないが、普通の女の子なら辛いだろうな、と、ミミは依頼人に同情した。
 薄暗い階段を下りて、地下室に向かうと、そこには確かに蜘蛛が居たには居た。・・・たった一匹だが、とんでもないシロモノが。
 地下室に居たのは、デスタランチュラだった!
「やりすぎデショー!いくら継子が憎いからって、殺す気かーいッ!」叫ぶサンディ。
 まさか街中の、しかも屋内で強力な魔物に遭遇するとは思わなかったので、メイド服に変えたのをちょっと後悔したミミ。そんなミミをかばうようにイザヤールは前に出たが、彼もまた、掃除しやすい白いTシャツにブルージーンズ装備だったので、守備力が心許ない。
 とりあえずミミは虫系に強い強力な短剣「サウザンドダガー」を構え、イザヤールは愛用の「すいせいのつるぎ」を装備し、二人は攻撃のタイミングを図った。
 デスタランチュラは糸を絡めてきた!さらりとかわすミミ。そして、「キラーブーン」でダメージを与えた!その後すかさずイザヤールは、「はやぶさ斬り」でダメージを更に加える。
「屋内でなければ、『ギガブレイク』が使えたのだが・・・」
 デスタランチュラを鋭い目で睨み、呟くイザヤール。今日は魔法使いのミミも、メラガイアーが使えれば・・・と、唇を噛む。
 一匹とはいえ連続で攻撃してくる魔物と、攻撃方法が制限されていることで、ダンジョン内での戦いより苦戦を強いられた。それでも二人の敵ではなく、ついにデスタランチュラは力尽きた。
「とんでもない蜘蛛退治だったな・・・大丈夫か?」
「大丈夫です・・・イザヤール様こそ、お怪我を・・・」
 自分の装備も心許ないのに、ミミをかばってくれて傷を負ったイザヤールに、彼女は目を潤ませて手当てを始めた。
「そんな顔をするな。かすり傷だ」
「かすり傷でもイザヤール様が痛いの、いやです・・・」
 するとイザヤールは、唇の端をいたずらっぽく上げて囁いた。
「痛みなど、おまえがキスをしてくれれば治る」
 ほんとですか?と本気にして、急いで優しく唇を押し付けるミミ。
「ミミ、おまえは・・・本当に可愛いな・・・」
 幸せそうに微笑むイザヤール。サンディはげんなりを通り越して、顔をひくつかせて呟いた。
「そんなら傷、もっと増やしてあげてもいーんですケド・・・ったく、このバカップルは~!」

 ちょうどメモの用事を全て済ませた頃に、依頼人の少女は帰ってきた。
「うわあ、すごい・・・本当に全部やってくれたんですね、ありがとうございました!」
 彼女はまた深々とお辞儀をし、頭を上げてください、とミミが慌てて言った拍子に、ふと少女が靴を片方しか履いていないことに気が付いた。
「あら、靴は?」
「あ・・・」少女は顔を赤らめた。「急いで帰ってお手伝いしよう、って思って走ったら、落としてきちゃいました」
 そして少女は、着替えて、せいいっぱいのお礼です、と着ていた「プリンセスローブ」をくれた!
「でも、あなたの大切なドレスなのに」
 ミミは返そうとしたが、少女は受け取らなかった。
「もらっておきなヨ、ミミ。だいじょーぶ、残りの靴片方さえあれば、このコはきっとチョー幸せな結婚できるからサ~」サンディが囁いた。
「え?何で?」
「・・・ま、アタシの勘だけどネ」

 数日後。早朝のルイーダの酒場で、新聞を読んでいた女主人ルイーダが呟いた。
「へ~、落としていった靴を手がかりに、一目惚れした女の子を探して、見事ゴールインした若様のニュースが載ってるわ。おとぎ話みたいね☆」
 その女の子の絵姿も載っていて、それを見て小さく「あ、この前の・・・」と呟くミミ。
 クエストをこなしただけでなく、依頼人を幸せにすることにも一役買うことができたようで、嬉しくなったミミだった。〈了〉

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2 コメント

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デスタランチュラ・・・だと!? (神々麗夜)
2011-04-30 22:16:44
こんばんわ~。まったくひどい継母ですな。
しかもデスタランチュラをどうやって地下室に入れたんだ・・魔物ならし??
女の子幸せになれてよかったです。そういえば昨日本当に一般市民の女性が王子様と結婚式挙げましたね。ニュース番組の情報によると朝十一時から始まって夜までパーティ。翌朝、朝食会だったとか・・・さすが王室スケールが違う。
あ!!バトン回したんですけど良いですか?
駄目でしたら完全無視しちゃってください。
http://x40.peps.jp/reiyakougou/blog/?id=reiyakougou&cn=62&_cus=lkguu7
実は偶然でしたw (津久井大海)
2011-05-01 14:55:32
神々麗夜様

こんにちは☆苦し紛れで思いついたシンデレラ風話でしたが、そうか、無意識にロイヤル婚の影響受けていたのか私w津久井は非常に単純です。
デスタランチュラは、「まもののエサ」で飼いならしていた模様です。一目見て継娘が逃げ出して、用事を済ませられないようにしたかっただけ・・・と思いたい・・・。いくらなんでも、ねえw

おおお初バトン!でも実は未だにバトンのルールもよくわかっていないので、私で止めてしまうと思いますが、それでもよろしければw
そして未だに自分の女主のキャラを的確に掴んでいないので、お時間少々頂いてもよろしければww私なんかのところにまで、ありがとうございます☆

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