すぴか逍遥

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萬葉の花 オミナエシ他

2012-08-28 21:06:10 | 万葉集(花その他の和歌いついて)
8月28日朝、葛の花を探そうと出かけたのですが、あてにしてたところにはなくススキとオミナエシを撮ってきました。

オミナエシは集中14首あります。
    
   現代名:オミナエシ       萬葉:ヲミナエシ(女郎花)

  
  オミナエシがいっぱい咲いているところは見事です。  
  
  大きくしてみました。
  
  朝早くから蜂はもう蜜をせっせと集めていますs



1. をみなへし 佐紀沢に生ふる 花かつみ かつても知らぬ 恋をするかも
                    4/675 中臣女郎(なかとみのいらつめ)

2. をみなへし 佐紀沢の辺の 真葛原 いつかも繰りて 我が衣(きぬ)に着む
                                  7/1346

3. をみなへし 秋萩交る 葦城(あしき)の野 今日を始めて 万代(よろづよ)に見む 
                                  8/1530

4. をみなへし 秋萩折れれ 玉鉾の 道行きづとと 乞はむ子がため 
                    8/1534 石川朝臣老夫(いしかはのあそみおきな)

5. 萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花
                    8/1538 山上臣憶良(やまのうへのおみおくら)

6. をみなへし 佐紀野に生ふる 白つつじ 知らぬこともち 言はれし我が背
                                  10/1905

7. ことさらに 衣は摺らじ をみなへし 佐紀野の萩に にほひて居らむ
                                  10/2107

8. 手に取れば 袖さへにほふ をみなへし この白露に 散らまく惜しも
                                  10/2115

9. 我が里に 今咲く花の をみなへし 堪(あ)へぬ心に なほ恋ひにけり
                                  10/2279

10.秋の田の 穂向き見がてり 我が背子が ふさ手折り來(け)る をみなへしかも 
              17/3943 守大伴宿禰家持(かみおほとものすくねやかもち)

11.をみなへし 咲きたる野辺を 行き廻り 君を思ひ出(で) 廻り(もとほり)來ぬ
              17/3944 掾大伴宿禰池主(じょうおほとものすくねいけぬし)

12.ひぐらしの 鳴きぬる時は をみなへし 咲きたる野辺を 行きつつ見べし
              17/3951 大目秦忌寸八千島(だいさくわんはだのいみきやちしま)

13.をみなへし 秋萩しのぎ さを鹿の 露別け鳴かむ 高円の野ぞ
              20/4297 少納言大伴宿禰家持(しょうなごんおほとものすくねやかもち)

14.高円の 宮の裾みの 野づかさに 今咲けるらむ をみなへしはも
              20/4316 兵部少輔大伴宿禰家持(ひやうぶのせうふおほとものすくねやかもち)

(歌は『新潮日本古典集成』によります)


ほかに萩とススキが咲いていました。

 萩はずい分前から咲いていますが、まだいまひとつ、それに萩が一番数が多いので。

 ススキは穂が出たばかり、そのうち綺麗なのをみつけて書きます。


追記(8/29)
  いろんな本を読んでいましたら、この本に沢山書かれているのを見つけました。
  この本のオビが別のところに挿んであったので、古い本ですが紹介します。
         
    『萬葉賛歌』入江泰吉 1989年12月20日 初版第1刷発行 雄飛企画

  

  

  エッセー 岡部伊都子『花自身』
        清川 妙 『うつせみの世への賛歌』
 今の世にこういうエッセーを読むと、なにか心にグーンときます。

放射能雨、草木も傷め、人も傷む世。『花自身』の声に人は耳を傾けなければならない。
 人生は短く、たった一度しかない。けっして繰り返しはきかない。人を深く愛し、自然を心から愛で、この人生をたっぷり味わいたい。


対談で「僕は花の青春時代を撮りたい」とおっしゃる入江さん。
「をみなへし」を見事に捕らえています。

歌は「をみなへし 咲きたる野辺を 行き巡り 君を思ひ出 たもとはり来ぬ」大伴池主の歌です。(家持の宴に招かれた時、をみなへしの咲くところを回り道してきた)
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萬葉の花 ヘクソカズラ他

2012-08-10 23:16:28 | 万葉集(花その他の和歌いついて)
暑いのであまり外へ出ない、それでも夕方近くになると散歩に出かけたりします。
途中へクソカズラの花を見つけ、今年もやっと逢えたという思い、可哀そうな名前ですが
可愛い花です。いじったりしなければ、別に臭いはしません。

       万葉集名:くそかづら     現代名:ヘクソカズラ
     

     

     

この花、万葉集にただ一首載っています。

 ざうけふに 延(は)ひおほとれる 屎葛(くそかづら) 絶ゆることなく 宮仕へせむ

                    高宮王(たかみやのおほきみ) 16/3855



今咲いている萬葉の花(2012.8.9現在)

       万葉集名;あさがほ       現代名:キキョウ
     


       万葉集名:あさがほ       現代名:ムクゲ
     
 
 朝顔はムクゲかキキョウが有力だそうですがまだ決定はしていません。


       万葉集名:はぎ         現代名:ハギ・ヤマハギ
     
 この萩の名はよくわかりませんが、万葉集に出てくる萩はヤマハギだそうです。

       万葉集名;なでしこ       現代名:ナデシコ
     


今咲いている秋の七草です。

 萩の花 尾花葛花 なでしこの花 をみなへし また藤袴 朝顔の花
  
                  山上臣憶良(やまのうへのおみおくら) 8/1538

この七草のうち萩、なでしこ、朝顔なのですが、朝顔は、キキョウ、ムクゲ、ヒルガオ、今のアサガオと諸説あり確定してないそうです。
ススキ、オミナエシ、クズ、フジバカマもそのうち見られると思います。


HP月の船、星の林に
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ユリ 万葉集(花その他の和歌について)

2012-07-24 23:11:03 | 万葉集(花その他の和歌いついて)
万葉集からユリの花です。






2012年7月24日撮影、ヤマユリです。

道の向こうの崖の上に、白い花がいっぱい咲いているのを見つけました。
ヤマユリです、むせ返るような匂い、甘い香りなのですが、あまりにも強烈。このユリが万葉の時代から咲いていたという。

でも万葉集にはユリの花は10首あり、どの花と特定できるのは少ないそうです。

ヤマユリについては、この1首だけが特定出来るのではないかという。

1. 「筑波嶺(つくばね)の さ百合の花の 夜床(ゆとこ)にも 
   愛(かな)しけ妹(いも)ぞ 昼も愛(かな)しけ」
        20/4369 大舎人部千文(おおとねりべのちふみ)

   これは筑波嶺という地名が入っていて、ササユリは関東地方にはないので
   ヤマユリだといわれています。


2. 「道の辺の 草深百合(くさふかゆり)の 花笑みに 笑みしがからに 妻と言ふべしや」
                                 7/1257

  (道のほとりの草の茂みに咲く百合の花のように、私があなたに、にこやかに笑いかけたと
  いっても、すぐに妻だときめてかからないでください。)

  これは清川妙の『花笑みのことば』からですが、さらに『もし、この百合が山百合の花ならば、
  その花は横向きに、ちょうど人が立って相手に笑いかけるように、ひらくはずである。
  そのひらきかたも、花びらのはしをそらして、いかにもにっこりという感じである。


  うーん、実に細かい観察です。これは特定できないといわれてますが、ヤマユリなら人の
  高さぐらいありますね。それになんといっても、うっとりするような匂い、と花びらの形、
  ヤマユリかもしれません。(上の写真参照)
          引用した本です。 清川妙著
              『花笑みのことば』 平成5年(1993)10月発行 佼成出版社


3. 「夏の野の 茂みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は 苦しきものぞ」
                  8/1500 大伴坂上郎女(おほとものさかのうえのいらつめ)

   たいへん有名な歌、姫百合は近畿地方以西に分布しているそうです。
   でも、この赤い花はなんと強烈なのでしょう、この歌も。

           
4. 「我妹子(わぎもこ)が、 家の垣内(かきつ)の さ百合花(ゆりばな)
    ゆりと言へるは いなと言ふに似る」 8/1503 紀朝民豊河(きのあそみとよかは)

   「ユリ」という字は「後(ユリと読む)」と読むので、「あとで」は「いや」ということなんですね。


5. 「油火(あぶらひ)の 光に見ゆる 我がかづら さ百合の花の 笑まはしきかも」
                    18/4086 守(かみ)大伴宿禰家持


6. 「燈火(ともしび)の 光に見ゆる さ百合花(ゆりばな) ゆりも逢はむと 思ひそめてき」 
         18/4087  介(すけ)内蔵伊美吉繩麻呂(くらのいみきつなまろ)


7. 「さ百合花 ゆりも逢はむと 思へこそ 今のまさかも うるはしみすれ」
          18/4088  大伴宿禰家持 和(こた)ふ


8. 「大君の 遠の朝廷(みかど)と~(中略)~なでしこを やどに蒔き生(お)ほし
   夏の野の さ百合引き植ゑて 咲く花を 出で見るごとに なでしこが その花妻に
   さ百合花 ゆりも逢はむと 慰むる 心しなくは 天離(あまざか)る 
   鄙に一日(ひとひ)も あるべくもあれや」  18/4113  大伴宿禰家持


9. 「さ百合花 ゆりも逢はむと 下延(したは)ふる 心しなくは 今日も経(へ)めやも」
                    18/4115 大伴宿禰家持

10.「大君の 任(ま)きのまにまに~~(中略)~~夏の野の さ百合の花の 花笑みに
   にふぶに笑みて 逢はしたる 今日を始めて 鏡なす かくし常見む 面変りせず」
                           18/4116 大伴宿禰家持

   ここにも「花笑み」が出てきます。すてき!です。

   長歌の場合よく分かりませんが、家持が庭の花たちを、愛で、とくにナデシコとユリが
   好きだったようですね。(夏)

HP月の船、星の林に

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ネムノキ 万葉集(花その他の和歌について)

2012-07-21 17:56:25 | 万葉集(花その他の和歌いついて)
万葉集(花その他の和歌について) ネムノキ

     ねぶ(合歓木)     現代名:ネムノキ・合歓木
 
2012年7月11日 午後5時40分頃の撮影です。開いたばかりの花、葉は閉じかけています。
 
 ネムノキという名はもちろん夜間に葉が閉じることを“木が眠る”と考えてつけられたものであるが、じつはネムノキの花は夕方の5時か6時頃になると咲き始め、夜の間ずっと咲き続けて朝日が昇り始めるとたちまち勢いを失ってひと晩の命を終えてしまう。夏の花の仲間にはことに多い一日花である。ということは夜間に花は咲き、葉は眠る(閉じる)という全く正反対の行為を見せる珍しい樹木なのである。
        ― 『万葉 花の名歌』 監修=犬養 孝  写真・文=大貫 茂 1988年(昭和63) 
          毎日新聞社発行より ―


いつも写真を撮っているとこのことは当たり前と思っていましたが、万葉の歌を見ると、花も閉じるような印象で気になっていました。そのことを指摘している本はごく僅かです。わかりやすく書いてある本を見つけましたので、紹介させていただきました。

合歓木を詠った歌は三首だけです。

1. 「昼は咲き 夜は恋ひ寝(ぬ)る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 
     戯奴(わけ)さへに見よ」 8/1461 紀郎女(きのいらつめ)

2. 「我妹子(わぎもこ)が 形見の合歓木(ねぶ)は 花のみに 咲きてけだしく 
     実にならじかも」 8/1463 大伴家持

この1.と2.の歌は、紀郎女(きのいらつめ)と大伴家持とが交わした遊びの贈答歌といわれている。
この歌について清川妙先生が入江泰吉さんの『万葉賛歌』で解説をしていらっしゃいます、とても素敵なのでご紹介します。

 「昼間は咲き、夜は恋いつつ眠るように葉を閉ざすねむの花を、あるじの私だけが見るべきでしょうか。そなたもぜひごらんなさい。
 葉を閉じて共寝するねむみたいに、私たちもどう?と誘った歌。あるじの私、そなたというのもジョークで、この知的遊びがおもしろく、淡紅の花に寄せてのからかいもかわいい。



3. 「我妹子(わぎもこ)を 聞き都賀野辺(つがのへ)の しなひ合歓木(ねぶ)
     我れは忍びえず 間なくし思へば」 11/2452


今日参考にした本です。
     
 左:『萬葉賛歌』1989年(平成1)12月 初版第一刷発行 雄飛企画
       目次:(エッセー)花自身 岡部伊都子
                うつせみの世への賛歌 清川妙
          (対談)僕は「花の青春時代」を撮りたい 入江泰吉、清川妙
          (短歌解説)清川妙

          入江泰吉さんの素晴しい写真に圧倒されます。

 右;『万葉 花の名歌』1988年発行 毎日新聞社 
             監修:犬養 孝 写真・文:大貫 茂

こちらにもネムノキの写真あります。

HP月の船、星の林に
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万葉集 (花その他の和歌について) ツユクサ

2012-07-19 15:08:17 | 万葉集(花その他の和歌いついて)
万葉集に出てくる花など、出会うごとに写真を撮ってきましたが、それはそれとして一つずつもう少し詳しく書いていきたいと思ってます。

まず、ツユクサから、花のいろいろはこちらにのせました。(参考まで)

   つきくさ(月草)    現代名 (ツユクサ) 露草・鴨頭草  
  これは何年も前に撮ったものです。

この花が万葉集に出てくるときは、『月草』 となっています。全部で九首あります。

1. 「月草の うつろひやすく 思へかも 我が思ふ人の 言(こと)も告げ来ぬ」 4/583  
    大伴坂上大嬢(おおとものさかのうえのおおいらつめ)

2. 「月草に 衣ぞ染むる 君がため 斑(まだら)の衣 摺らむと思ひて」 7/1255 
    古歌集より

3.  「月草に 衣色どり 摺らめども うつろふ色と 言ふが苦しさ」 7/1339

4. 「月草に 衣は摺らむ 朝露に 濡れての後は うつろひぬとも」 7/1351

5.  「朝露に 咲きすさびたる 月草の 日くたつなへに 消(け)ぬべく思ほゆ」 10/2281

6. 「朝(あした)咲き 夕(ゆうべ)は消(け)ぬる 月草の 消(け)ぬべき恋も 
   我れはするかも」 10/2291

7. 「月草の 借(か)れる命に ある人を いかに知りてか 後も逢はむと言ふ」 11/2756

8. 「うちひさす 宮にはあれど 月草の うつろふ心 我が思はなくに」 12/3058

9. 「百(もも)に千(ち)に 人は言ふとも 月草の うつろふ心 我れもためやも」 12/3059


以上九首ですが、月草で染めると落ちやすい、ことと、うつろう心を気にしています。
 
   「かなわぬ」の手ぬぐいの一部分
たまたま頂きましたので、今も江戸時代から続いているという「手ぬぐい」色はさめやすいといいますが、伝統のよさを感じます。屋号は「鎌と輪の絵に「ぬ」の文字を合せて
「かまわぬ」とよむ判じ絵だそうです。太田記念美術館(原宿)のB1にもお店があります。

引用した本について。
  
左:「萬葉集釋注(各句.人名) 索引篇」 2000年5月25日第一刷発行 集英社
       著者:伊藤 博(いとう・はく)
この本は文庫にもなりましたが、索引は大きな本だけです。普通索引は和歌の初句からですが、これはすべての歌を検索できます。

右:「萬葉集」一巻~五巻 「新潮日本古典集成」
 
この本を使って習っていましたし、読みは本によりかなり違っていますので、これに統一しました。

HP(月の船、星の林に)
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