Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

心躍る、クレーの世界

2009-01-05 20:38:02 | お勧めの・・・
クレーの名を知ったのは3年前、1冊の本『クレーの天使』がきかっけだった。カンテレ演奏に詩を探していたとき友人が「これはどう?」と紹介してくれた。その直後、別の友人から「今年頑張っていたプレゼント」と贈られ、宝物のように大事にしている本は、詩・谷川俊太郎+絵・クレー。谷川さんの詩はもちろんだが、クレーによるペン画の天使たちの表情がなんともいえない雰囲気を醸し出している詩絵集。



そのクレーの絵をみに行った。展覧会名は <20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代> はじめてみたパウル・クレーの世界、天使たちしか知らない私は《イラストレーター・クレー》を想像していたが、《画家・クレー》、そして《音楽家・クレー》だった。絵はまったく描けない私はひたすら鑑賞に徹する美術だが、クレーの色使いや構図に心魅かれた。思ったとおり! 好きな画家(絵はわからないと言いながら、好きな画家のふるいは厳しい。私が好きかどうかの感覚だけだから)。でももっと興味を惹かれたのは《音楽家・クレー》、会場を進むうちにオーケストラのバイオリン奏者と知り、合点した。そう、絵にリズムがある。今回の代表作のひとつに<リズミカルな森のらくだ>という絵があるが、じっくりみていると森は楽譜、その中にらくだがいる。記号のような森を音符にしたらどんな音楽になるのかと想像したら、思わず歌いたくなった。

クレーにたどり着くまでに、ピカソ、ミロ、マティス、シャガールなどもあった。それなりに感動しながら進んでいた展覧会だったが、クレーをみたとたんピカソは吹っ飛んでしまった。恋人に会いにきたみたい、気がつけばクレーの一角に1時間もいた。コレクションはノルトライン=ヴェストファーレン美術館(ドイツ・デュッセルドルフ)のもの。クレーの絵が放出されたとき、議会の反対を押し切ってすべて購入したという市長さんに感謝したい。日本にきているのはほんの一部、「全部みたい! そのうち行っちゃおうかな・・・」と胸に秘めて、会場をあとにした。

なお出口のテラス・カフェ(ドゥ・マゴ・パリ)では<クレーランチ>、クレー自身のレシピによるスープランチがメニューになっている。この日は寒すぎて(この冬いちばんの寒さ?)、外はとても無理・・・。「お楽しみは小出しに」ととっておく。

<20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代>  
Bunkamura ザ・ミュージーアム(渋谷) ~3月22日