Kantele-Suomiho-Fuga

フィンランドと音楽(カンテレ、音楽療法)をキーワードに!

心痛む<奈良高校生事件>

2006-06-25 12:36:09 | つれづれ・・・
16歳の高校生が自宅に放火し母と弟妹が亡くなった事件、なんとも悲しい。それは最近まで高校生だった息子を持つ母親としての気持ちから。

その高校生は全国でも有数の進学校に通っていたとのこと。親子関係、それも成績のことで悩んでいた姿はなんともいたましい。わが息子も大学合格シーズンになると週刊誌の「東大合格者」に載る中高一貫の男子校に通っていた。生徒の第1志望はほとんど全員東大、滑り止めは早慶。勉強第一で真面目な子が多い学校、その中で「自分はこれでいいのか」と考え続けていた息子だった。今ふうにいえば<トルシエのようにがんじがらめに管理するのではなく、ジーコのようにまずしっかり自分で考えようと自主性を大事にした子育て>をしてきた私たち夫婦と息子にとって、ある時期それはかなりつらい環境であったことは否めない。

ちょうど1年前にも「頭が悪い」と言った父親と母親を殺害した東京の高校生事件があった。高校生年齢は、男の子の方がナイーブで感じやすい年頃なのかもしれない。会話のすれ違い、気持ちの行き違い、親のイライラを感じる息子・・・。そこで私がとった方策は「食事の手抜きをしない」。幸いお料理好きなのでどんなに忙しくても食卓の手抜きはしない、お弁当は冷凍食品は使わない&おかずは5品入れるをモットーに切り抜けた。だってまず食べなければ生きていかれないから。

進学校に合格する子どもたちは小学校でも優秀だった子に違いない。そういう学校に限ってシビアに1番から最下位までの順位をだしてくる。真ん中にいると1点違うとすぐ2桁から3桁に落ちる、それに一喜一憂する親子は大変だ。息子の同級生でも真面目な子ほど気にしていた親の目。不登校、自主退学がほんの数人いて私たち母親は本当に心が痛んだ。

今回の奈良事件も、親の期待-それに答えられているか不安の息子君、の気持ちが複雑にからんだ事件だった。「親に怒られむしゃくしゃしていた」「いつも成績のことで怒られた」・・・、そういう学校にいるとむしろ親の方が成績や順位を気にしてしまう。「もっとできていいはず」とは親の欲目? この子の父親もきっと「大好きなお父さんと同じ医者になりたい」という夢をもっていたわが子に期待していたに違いない。

「サッカーを見たかった」「ゲームをしたかった」普通の高校生。「サッカーを見すぎる」「ゲーム漬け」のいまどきの高校生活はほんのいっときのもの、過ぎてしまえばこんなこともあったと思えること。このお父さんには父親として今後を温かくフォローしてほしいと願わずにはいられない。


さてわが息子は担任の「本当にこれでいいのか?」に「いいです」ときっぱり言い続けて、第1志望にした滑り止めといわれた大学で自分のやりたい分野をのびのび勉強しているが、それでも「第3反抗期?」とも思える毎日。4月に20歳になり彼も一応大人といわれる年になった今、はっきり「自分で考えよう」になっている親子関係。母親の私は、まだまだほとんど毎日「ご飯食べる」と言いよってくる息子に満足している。でもこのニュースを見ながら「とりあえず今学期の成績は期待しないで」と言っている息子は何?