産経新聞編集委員田村秀男が「経済正解」と題して経済論文を定期掲載している。
メディアの経済部記者や経済学者、経済評論家の大半は財務省の受け売りの見解を開陳しているに過ぎないが、彼は数少ない本物の論説を書く人間である。
中国・武漢発の新型コロナウイルス ・パンデミック(世界的大流行)のも と、中国の名目国内総生産(GDP) が2028年にも米国を抜いて世界一 になるという見方が浮上している。
真 に受けるべきなのか。
「28年中国ナンバーワン」を予測し たのは、日本では日本経済研究センタ ー、欧州では英シンクタンク「経済ビ ジネス・リサーチーセンター」 (CEBR)だ。
リーマン・ショツク後の10年からコ ロナ禍前の19年までの中国の名目GDPの平均成長率は年10.9%で、米国 は4%余りだ。
最近の傾向を勘案し て、今後の米中の成長率を中国は8 %、米国は4%と設定し、20年の中国 のGDP速報値である15.54兆ドル(約 1700兆円)と、米国のGDP速報 値である20.93兆ドルを基にして計算し ていくと、28年の中国のGDPは28.7兆ドル、米国は28.6兆ドルとなる。
だが、待てよ。
経済予測にしてはあ まりにも粗っぽいではないか。
GDP の予測値はドル換算だから、為替レー卜次第で大きく変わる。
日本の場合で も、1995年は平成バブル崩壊不況 の最中だったが、1ドル=80円を切った ほどの超円高だったためドル建てGDP規模は米国の71%に達した。
ちなみ に2019年では24%にすぎない。
インフレ率にも左右される。
物価が 上昇すれば名目GDPはかさ上げさ れ、日本のように慢性デフレになれば 縮小する。
15歳以上から65歳未満までの生産年齢人口の増減率や労働生産性の伸び率 によっても経済成長率は左右される。
英国では経済調査会社キャピタル・エコノミクスが今年2月に中国の経済は50年になっても米国を上回ることは難しいと分析している。
その理由は中国の年齢構成の高齢化が進むことと、生産性の伸びが米国よりかなり劣るというものだ。
もとより中国は共産党中央の指令型経済であり、生産性を度外視した国有企業が幅を利かせているのだから「さもありなん」だ。
拙論が重視するのは、中国特有の通貨・金融システムの限界である。
党が支配する中国人民銀行は流入するドルに応じて人民元資金を供給している。
貿易黒字や外国企業の対中投資が増えて、外貨準備が拡大しているときは、金融の量的拡大が可能になり、高度成長は容易になるが、外準が増えないと人民元を追加発行できなくなり、経済の成長率が下がる。
グラフは中国の名目GDP、外貨準備、中国人民銀行による人民元資金発行の前年比増減率と、対外金融債務残高の推移である。
名目成長率の鈍化傾向は習近平政権がスタートした13年から始まった。
人民元資金発行と外準の増減率は連動する度合いが高く、15年は共にマイナス、さらに18年からは超低水準である。
中央銀行による資金発行はどの国でも、インフレ分を含めた名目経済成長を支えるために欠かせないのだが、中国の場合、17年からは資金発行の伸び率は名目成長率以下である。
成長資金が供給されなければ経済成長が制約されるのだ。
こうみると、中国がGDPの成長率で今後も米国の約2倍の水準を保ち、28年にGDP規模で米国を上回るという予測は甘すぎると言わざるを得ない。
何よりも外貨の制約がつきまとうのだ。
このところ外準は持ち直しているように見えるが、からくりがある。
対外金融債務の増加だ。
習政権が発足した13年の年末に比べ、20年末の外準は6千億ドル減ったが、金融債務は1兆5千億ドル以上も増えている。
対外借り入れによって入る外貨も人民銀行が全面的に買い上げて外準にカウントするのだから、外準維持は、対外債務急増の裏返しなのだ。
こうした中、習政権は外国からの投資をひきつけようと躍起になっている。主な手段は株式と国債だ。
国際金融センターである香港を強権支配下に置く中で株式市場に中国の新興成長企業を相次いで上場させて日米欧の金融資本を呼び込んでいる。
その香港市場と上海、深圳の株式市場は直結しているので、本土に外貨が流入する。
また、中国国債については金利を日米欧よりも大幅に高く設定し、西側の機関投資家を誘引する。
日本最大の機関投資家、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も中国国債投資を検討するありさまだ。
バイデン米政権は西側による対中包囲網形成に動いているが、金融制裁抜きでは、習政権の増長を抑えられないだろう。
(編集委員)
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