すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

小島秀夫「METALGEAR SOLID 3 -SNAKE EATER-」

2005-01-21 21:45:16 | その他の評価
隠密行動中


「仕事辞めて、なにをやってるの?」とよく言われるのですが、その度に「適当に」と返事しております。
実際には、PS2の「METALGEAR SOLID 3 -SNAKE EATER-」を「適当に」やってました。
言うなれば、スネーキングミッションです。


同じくPS2から発売された前作「METALGEAR SOLID 2 -SONS OF LIBERTY-」が、かなり賛否両論を巻き起こした思い出があります。
僕もやりました。ゲームシステムは非常によく出来ていたのですが、ストーリーが「やっちゃったな」という感じでした。

全体は、タンカー編とプラント編の二部構成になっております。導入のタンカー、本編のプラントという流れです。で、このタンカー編は、MSXから続く「METALGEAR」シリーズの主人公であるスネークで、プラント編は新たな雷電というキャラになっております。プラント編にも雷電を補佐するという立場でスネークは変装して登場しますが、操作はできません。

プレイを終えて思ったのですが、「METALGEAR SOLID 2 -SONS OF LIBERTY-」は、本来の構想は二部構成ではなく、三部だったのではないでしょうか?
 1.タンカー編(主人公・スネーク)
 2.プラント編(主人公・雷電)
 3.プラント編(主人公・スネーク)
という予定だったのが、大人の事情(発売日に間に合わせる)で、3番を切り捨ててしまったのではなかと推測したのですが、どうなんでしょう?

と言いますのも、「METALGEAR SOLID 2 -SONS OF LIBERTY-」で散々批判された、「ストーリーの難解さ」と、その解消のための「頻繁な解説(ムービー&通信)」は、3番を切り捨てたために発生した問題のように思われるのですが。


まぁそれはともかく、「METALGEAR SOLID 3 -SNAKE EATER-」です。
やはり、前作「METALGEAR SOLID 2 -SONS OF LIBERTY-」での批判が骨身に染みたのか、今回のストーリーは分かり易くなっております。と言っても、平易とか俗に流れた分けではなく「METALGEAR SOLID」特有の現実の国際政治とリンクしたメッセージ性がちゃんと盛られています(このメッセージ性が鼻につく人もいるでしょうが)。

また「METALGEAR」シリーズの肝である隠密行動(スネーキング)は、もっとも臨場感を出すことに成功したのではないでしょうか?
最初は前作の癖が残っていて、かなり死んでいました。初代PSの「METALGEAR SOLID 」や、続編の「METALGEAR SOLID 2 -SONS OF LIBERTY-」では、画面の片隅にレーダーがあって、それで自分と敵の位置が必ずつかめたのですが、今回は省かれました。そのため視認可能範囲が狭く、背後に敵が出現するまで気がつかないこともあり、当初は「不親切だなぁ」と思っておりましたが、ゲームを進めていくと、むしろ「慎重に行動しろ」というゲーム製作者の意図を強く感じました。

まぁそれに下手くそを救済する措置は、ちゃんとありますし。(バンバン弾数制限のある武器を使っても、倒した敵から直ぐに回収できるようになっています)


今回で「完結編」というアナウンスも出ているようですが、まぁ、大人の事情で無視されることは、よくあることですからね。
次回作は、PS3でしょうか? じっくり作っていただけることを願っております。

前作で失望した方も、今回は楽しめるのでは?


METAL GEAR SOLID 3 SNAKE EATER

コナミ

このアイテムの詳細を見る

香山リカ「生きづらい<私>たち」

2005-01-20 19:10:40 | 書評
老いては、誰に従え?


若者の苦しみを聞いて、どう感じますか?
共感できますか? それとも、ぬるく感じられますか?
ぬるく感じられるとしたら、もう艱難辛苦を経験した(と思っている)立派なおじさんです。(共感できるとしたら、無定見の世話好きなおばさんです)

死ぬのも仕方ない、死んでもいいよ、とは言ってほしくないし、本当に気持ちをわかってもらうのは無理だと思う。ただ、そういうのは間違っているとかダメな奴らとか言わずに、"認識"してもらえればいい。(香山リカ「生きづらい<私>たち」187頁 講談社現代新書)

香山リカさんの本は、他に「ぷちナショナリズム症候群」を読んだことがあります。
現代的な雰囲気をうまく文章にしていると思います。さすがマスコミによく登場しているだけありまして、時代の空気を読み取るのが上手です。

本書では、そんな現代風の若者の「生きづらさ」が書かれております。
ただ、取り上げる例や発言が作者の卑近過ぎて、どうも信用性に欠けるんだよなぁ。しかも、その発言者の背景とか、あんまり深く解説はしないし。
参考にしている他の資料にしても、広く渉猟して集めたというよりも、手元の資料で済ませているようなイメージがぬぐえないんだなぁ。

まぁ、そんな風に、ちょっと俗に流れているきらいがある分、読み易いですけどね。

で、引用した文章は、自傷癖のある女性の言葉です。
こういう言葉を聞いて、「かわいそう」と哀れみを覚えるでしょうか?
それとも、「甘えている」とあきれるでしょうか?
ではなく、「そういうのあるよなぁ」と同情できるでしょうか?

個人的な意見としては、若者は苦しむものです。
ですから、がんばって苦しんで下さい。

自分の年を実感したい人には、お勧めの本です。


生きづらい<私>たち 心に穴があいている

講談社

このアイテムの詳細を見る
ぷちナショナリズム症候群―若者たちのニッポン主義

中央公論新社

このアイテムの詳細を見る

信田さよ子「依存症」

2005-01-19 19:27:27 | 書評
愛だな、愛


「オレ、いつでもタバコ止められるよ? 金がないときは吸わないし」
と言って、禁煙したことがない男性が身近にいないでしょうか(または、いませんでしたか)?
あの、はたから見ると全く根拠のない自信は、どこから発生するのでしょう?

依存症は、本人だけの問題だろうか。たとえばアルコールを飲んでいる本人が悪いのなら、本人を何とか騙して病院に閉じ込めればいい。
 だが、その人が酒をやめれば、すべて終わりなのだろうか? ハッピーエンドなのだろうか? 実はそんなシンプルな「解決」はありえないのだ。依存症は人間関係の中で生まれ、カップルの中で繁茂していく問題なのである。必ずだれかもう一人の人を巻きこんで、その人に支えられて生き長らえるのだ(信田さよ子「依存症」52頁 文春新書)

この本、「依存症」というタイトルですが、扱っているのは「アルコール依存症」のことばかりです。ちょっと看板に偽りありだぁ。まぁ、「アルコール依存症」を例にして、依存症の本質や問題点を書いているとも言えないこともないのですが。
「アルコール依存症」というタイトルでは読者が限定されて売れないから、「依存症」という広範囲に適用できるものにしたような気配が………。

文章全体は妙に自伝的で、自分の歩んできた道について、ちょっと文学チックに回想することが多いです。新書には、こういうのは、要らないんじゃないかなぁ~。

しかし、(病的な)依存というものが、得てして関係性から生まれるという話は、興味深く読めました。
ギャンブルで借金をして、「もう二度とギャンブルには手を出しません」と誓約して、親に尻拭いをしてもらっても、またギャンブルをしてしまう。悪いのは、ギャンブルが止められない馬鹿息子のように思えるけど、見ようによっては、尻拭いをしてします親が、この息子の依存症を補完してしまっているわけだ。
言い換えれば、ギャンブルに依存しているようで、それを介して他者(親と子)に、相互で依存している。

他にも、一時期流行した「アダルト・チルドレン」という言葉の解説なんかも、ためになりました。なんとなく、「未成熟の大人」というイメージを抱いていたのですが、正確には「現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人」(同書130頁)だそうです。


何かに頼って生きることは人の性でしょうが、そのことを客観的に見つめたいのなら、一助になる本ではないでしょうか?


依存症

文芸春秋

このアイテムの詳細を見る

司馬遼太郎「燃えよ剣」

2005-01-18 19:40:52 | 書評
「萌えよ剣」というタイトルはどうでしょうと思ったのは、私だけ?


大河ドラマの「新選組!」は、見てましたでしょうか? 僕は、見てません。

ちょこっとは見たんですけどね。
黒鉄ヒロシの「新選組」を読んでいたせいか、どうも青臭さが鼻についてしまい、ついていけませんでした。
「誠」なんて旗を掲げられても。所詮は、田舎の暴れん坊が、時流に乗って京都で大暴れしただけだもんなぁ。

今から考えると、羽賀健二が誠意大将軍と称して新選組の格好してたのは、我々の想像を超える深い意味があったのかもしれない………。(羽賀健二は、本当に新選組の格好をしていたでしょうか? うろ覚えです。Googleで探して見ましたが、三十路前の男が、仕事もしないで、「誠意大将軍」や「羽賀健二」というキーワードで必死に検索している姿に自分で感動してしまい、途中で止めてしまいました。生きるって大変だね)


それは、ともかく。
大河のせいで、新選組関連の書籍が本屋に平積みになっておりまして(徐々に義経に代わりつつありますが)、ちょうど読む本もなかったので、「燃えよ剣」を手にしてみました。

近藤は、公命を待たず、独断専行で池田屋を襲撃した。近藤、歳三には、政治的配慮などはない。あるのは剣のみである。(司馬遼太郎「燃えよ剣(上)」341~342頁 新潮文庫)

「0」か「1」か? といったふうにデジタルに切り分けてしまうと、新選組なんて「保守反動の暴力機関」に過ぎなくなってしまうもんなぁ。そのことについて、さすがに司馬遼太郎ですから、分かっております。
それでもなお、そこに「美学」を見れるかどうかは、人によるのでしょう。

「燃えよ剣」に関しては、司馬遼太郎が主人公の土方に入れ込み過ぎておりますが(司馬遼太郎の本は、作者が惚れこんだ人間が中心人物になるから、入れ込むのは毎度のことか)、それでも過剰に新選組を美化することなくバランスの良い物語を提示してくれます。

なにかにしがみついて生きざる得ない方には、共感できる本ではないでしょうか?


燃えよ剣 (上巻)

新潮社

このアイテムの詳細を見る
燃えよ剣 (下巻)

新潮社

このアイテムの詳細を見る

張芸謀「あの子を探して」

2005-01-17 08:46:39 | 映画評
張芸謀を探して -彼はどこに行こうとしているんだ?-


張芸謀と聞きますと、最近では「HERO」「LOVERS」なんかを思い浮かべる方が多いでしょうか?

「HERO」は、見たんですけど。う~む。
始皇帝と暗殺者との会話で進んでいく物語、あざといほどの張芸謀らしい色使い、マトリックス流のアクションなど、それなりに凝っていて、悪くないんだけど。
でも、別に楽しめなかったなぁ。なんでか、よく分かりません。
もう派手な映画は体が受け付けないのでしょうか? やはり年か?


そんな張芸謀とは違う(というか元々の)スタイルでつくられた「あの子を探して」
中国の田舎の小学校に期間限定の代理として赴任してきた少女が、都会に出稼ぎにいった生徒を探すという話。

登場人物が、全員バカでね。純朴というよりは、バカでね。「もう少し、やりようがないのか?」と思わせるようなエピソードが続くんですが、それが決してわざとらしく見えない(漫画的にならない)演技と風景。

ネットで調べたら、出演者は全員素人だそうです。田舎の風景も、セットではなく、そのまま現物を使っているのでしょう。
で、背景で音楽などが流れることも少なく、画面の演出も地味そのもの。ドキュメントと紙一重です。
と言うか、最後に種明かしをされるのですが、実話を基にしているらしいです(中国人にとっては、常識なのかもしれませんが)。
そりゃ、わざとらしくならないよな。


しかし、こういう映画を撮っていた監督が、「いっちょ、あててやるか!」と「HERO」「LOVERS」といった映画をつくっちゃうんだから、そのこと自体が今の中国を象徴しているよなぁ。

「おれは、こういう派手な映画だってつくれるんだよ?」という自負があるのかもしれませんが、どちらかと言いますと、「緑の運命? なんだ、これでいいのか」と思ったんじゃないかと………。


ともかく「あの子を探して」自体は、ドキュメンタリーに抵抗がなければ、楽しめると思います。


あの子を探して

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

このアイテムの詳細を見る

一年の計は...

2005-01-16 15:00:32 | 雑感
今年で30才です。去年の12月末で、仕事を辞めました。

さすがに暇です。そろそろ、なんか始めようと思ってまして、ブログにしました。(国民年金にも、入らないとな......)
普通なら、1月1日が開始にするのでしょうが、ぐずぐずしていたら、もう16日です。(健康保険も、入らないとな......)

ともかく、気長に書きつづっていきたいものですが、さて。