すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

フランソワ・オゾン「スイミング・プール」

2005-01-26 17:04:56 | 映画評
黄色人種が金髪に染めているのを見て、白色人種はどう思うんだろう?


なんか久しぶりにパツキンの裸が見たくて、「ガール・ネクスト・ドア」と競った結果、「スイミング・プール」を見てました。


中年になろうという堅物の女性小説家と、大人になりきれない奔放な女性が、一緒の家に偶然暮らすことになりまして、お約束通り諍いを繰り返すという話。

で、徐々に二人は溝を詰めていくんですが、その途中で殺人事件が起きます。別にこれがメインというわけではないので、ジャンルとしてはサスペンスとは言えません。
惜し気もなく、若い方も年寄りも裸を披露してくれます。綺麗ではありますが劣情を満足してくれるようなものではありません(そんなこったろうとは思ってましたけど)。エッチシーンもありますが、あくまで「諍い」の原因として語られるだけで、恋愛ものには発展しません。
子供のいない中年女性と、母親のいない若い女性の交流であります。しかし、フランス映画ですから、分かり易い心温まるヒューマンドラマなどには仕上がっていません。


最初は互いの「女」の部分に反発し合っており、小説家は憎しみのあまり、その不道徳な面を強調した(と思われる)作品を書きつづっていく。だが、少女の失われた母の話を聞くことで、二人は徐々に近づいていく。こうして、小説家は「母」になり、若い女性は「娘」の役割が成り立つ。が、「娘」は「母」が自分のもとにした小説を書いていることを知ってしまう。「娘」は、それに反発しつつも、その物語に貢献するために、人を殺してしまう。「母」は、その殺人を許し、隠蔽工作をも施し、そして「娘」から提供された母の物語を織りこんだ小説を完成させる。
小説は小説家にとってはもちろん「子供」ですし、「娘」にとっては本当の母が再現されたものです。つまり、この「スイミング・プール」は母なる海(プール)から小説(「母」にとっては「子供」、「娘」にとっては「母」)が生まれてくる物語なんですね。

………と屁理屈を並べてみましたが、どうでしょう? 納得できました? 納得できたとしたら、騙されてますよ(しかも無職の人間に)。

つまりは、解釈を作品から得ようとするよりも、作品に解釈を投影する作品です。そういう作業に抵抗のない方は、楽しめるのでは?


スイミング・プール 無修正版

東北新社

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