シネマと虎とグルメたち

犬童一心監督作品に「ジョゼと虎と魚たち」があった。オイラは「観た映画が面白くて、美味いもの食って阪神が快勝」を望んでる。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

2019年09月07日 | 映画
先日見た映画。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 2019年 アメリカ


監督 クエンティン・タランティーノ
出演 レオナルド・ディカプリオ
   ブラッド・ピット
   マーゴット・ロビー
   エミール・ハーシュ
   マーガレット・クアリー
   ティモシー・オリファント
   オースティン・バトラー
   ダコタ・ファニング
   ブルース・ダーン
   アル・パチーノ

ストーリー
落ち目のTV俳優リック・ダルトンは、なかなか復活の道が拓けず焦りと不安を募らせる。
情緒不安定ぎみな彼を慰めるのは、リックのスタントマンとして公私にわたって長年支えてきた相棒のクリフ・ブース。
固い絆でショウビジネスの世界を生き抜いてきた2人だったが、このままでは高級住宅地にあるリックの豪邸も手放さなければならなくなる。
そんな彼の家の隣には、時代の寵児となった映画監督のロマン・ポランスキーとその妻で新進女優のシャロン・テートが越してきて、彼らとの勢いの違いを痛感するリック。
一方クリフはヒッチハイクをしていたヒッピーの少女を拾い、彼女をヒッピーのコミューンとなっていた牧場まで送り届けてあげるのだったが…。

TVドラマの元人気俳優で今は悪役ばかりのリック・ダルトンは、映画スターへの道が拓けず焦る日々が続いていた。
そんな情緒不安定気味な彼を、親友でありスタントマンのクリフ・ブースがそばで支え続けていた。
ある日、リックの隣家に気鋭の映画監督、ロマン・ポランスキーとその妻で新進女優のシャロン・テートが越してくる。


寸評
幸運だったのは僕の年代の者にとっては無条件に楽しめる作品だったことだ。
1969年は正に僕の青春時代真っただ中の時代だ。
「ボナンザ」など懐かしいテレビ番組が何本も会話の中に登場する。
ディーン・マーティン主演の「サイレンサー/沈黙部隊」などというB級作品も取り上げられている。
ブルース・リーやスティーヴ・マックィーンが登場し、彼等を演じたマイク・モーやダミアン・ルイスが二人の特徴ある仕草をマネた時には思わず笑ってしまった。
学生運動が盛んだったし、街にはヒッピー(死語だ)がたむろしていた。
西部劇は残酷描写のマカロニ・ウェスタンが謳歌し、最先端の映画はアメリカン・ニューシネマへと移り変わっていた時代だ。
リック(レオナルド・ディカプリオ)はテレビ西部劇の主役だったが、今では悪役しか回ってこない落ち目の俳優で、イタリアでマカロニ・ウェスタンに出て出稼ぎしないといけない。
これにリック専属のスタントマンであるクリフ(ブラッド・ピット)が絡むのだが、 僕にとってはロマン・ポランスキーとシャロン・テートが主役だ。
作中で「ローズマリーの赤ちゃん」のロマン・ポランスキーだと語られるが、何といってもインパクトがあるのはシャロン・テートである。
僕がポランスキー作品として感銘を受けた作品の一つである「吸血鬼」に出演していて、これが縁で二人は結婚したので、僕はポランスキーは本当にシャロン・テートに噛みつかれたのだと冗談にも思ったものなのである。
シャロン・テートは 1969年8月9日に狂信的なカルト信者らに妊娠中にもかかわらず10数か所も刺され母子ともに亡くなった。
当時彼女は26歳の若さだったし、僕もこのシャロン・テート事件には衝撃を受けた。
映画を見るにあたっては、この事件のことを事前に知っておいた方がよい。
この事件を背景にしながらタランティーノが「むかし、むかし、ハリウッドでは・・・」と語りだしている作品で、僕にとってはノスタルジーを感じさせる作品で、161分という尺は冗長とも感じるものの楽しめた。
僕は映画で描かれた時代よりもずっと後にハリウッド大通りを訪れたが、描かれた雰囲気とはすでに違っていた。
コンピュータに頼らず当時を再現したタランティーノの根性はすごい。
シャロン・テートが自分の出演作を見に行き、観客の反応にニンマリするシーンなどはくすぐられる。
気持ちがよく分かるのだ。
そしてラストシーン。
その日、シャロン・テートは平穏に暮らしていたのだ。
そしてリックとクリフによって犯人たちは退治され、彼女も災難から逃れたと言う鎮魂歌となっている。
僕はシャロン・テートを「吸血鬼」でしか知らないが、あんなに早く死ぬ必要のなかった女優さんであることは間違いない。
カルト集団は厄介な存在だ。
コメント
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