かつてモーリシャス島に生息していたが、17世紀に絶滅した。同島を発見した西洋人による乱獲、森林開発、持ち込まれた新たな天敵によって、短期のうちに生息数が激減し、あっという間に滅んだ。
絶滅動物の代名詞である。
孤島の霊界に慈しまれていた愛らしい鳥類だったが、奇怪な人類の暴虐に耐えられるはずもなかった。
翼も尾羽も退化し、飛ぶことはできなかった。よたよたと大地を歩いていた。愉快な顔をしていた。愛の形である。生き馬の目を抜くような自然界から来た天敵に、かなうはずもない。だがその姿がいかにもかわいらしいので、同じ絶滅鳥類であるリョコウバトよりも愛され、今に伝えられている。
この世界に神が創られたものの中で、絶滅したほうがよいものなどない。
失ったものの本当の姿を人間が知ることができるようになるのは、もっと後の時代である。