羽を休める鳥のように

きっとまた訪れる薄紫の夕暮れを待ちながら

懐かしい詩①

2009年09月30日 | Weblog
古いパソコンのフロッピーに入っていたものです。
このパソコンを作ってくれた兄が移動しておいてくれました。



  秋(そして幾度めかの、、)


                
浅い夢の中へあなたを返して
陶酔のように降り注ぐ枯葉の中を
どこへともなく歩く
そこはあの懐かしい森へと続いていかない
温かく湿った野うさぎの巣穴もない

諦めることが唯一残された希望の光なら
「家族」という集合体や
「夫婦」という単位から
自分を解き放ち
切り離すときには
あなたの舟も見送らなければならない

優しく分けあった甘い贖罪に身を委ねて
どこまでも流れて往きたかったけれど
地図を持たないわたしは
はじめから方向を失っている
この季節に寄り添うための傷みを
いつから知ってしまったのだろう

風のように少女が横切る
気がつくと突然に現れた空き地が
無意味に秋の空を押し広げている
つきつけられた不在にうなだれながら
夕暮れの角を曲がる
どこまで行けばこの闇の中に
溶け込んで消えていけるのだろう
それとも陽気な噂話のように
この拘泥の向こうに
幻のように儚い未来が
あるのだろうか

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