べんりや日記

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技能五輪の背景にて・・

2009-09-20 00:27:50 | CO2を25%削減
全国技能五輪にて優勝した小島 真穂さん(十日町 (有)尾身建築)が先日カナダのカルガリーにて開催された世界技能五輪に出場しました。
新潟から初の女性大工が世界に飛び立ったことは、県内で同じ大工として働いている女性大工にとって希望の光でもありましょう。(男はど~なんじゃ?)

競技は原寸図作成から墨付け、加工、組み立てを4日間で行う非常に高レベルなものでした。



魚沼テクノスクールにて強化中の小島選手


原寸を起こしている様子


真剣そのものです。


他の選手の様子・・こういう形に仕上がります


組みあがった完成品


実際の結果がどうなったか・・それは全建連や新潟県建築組合連合にゆだねましょう。(手抜きじゃ!)

今回は、それよりも伝えたいことがありまして・・・

この競技にて作られた作品は、今まで廃棄されていたらしいのですが、エコ対策ということで実際に使用に耐えるものにして、大会後は公共施設にて使用するとのことです。
地球温暖化防止の動きが浸透してきたようです。

表紙の写真にもあるとおり、カルガリーはロッキー山脈に隣接し、氷河による侵食で美しいU字谷を形成した雄大な景色を楽しむことができます。



山頂付近に氷河があります。
こうのように氷河によって山が削られることで、
美しいU字谷を形成していきます。


氷河の末端
つい最近まで道路の近くまで氷河があったのですが、
これだけ後退してしまいました。
2~3キロメートルは後退したのでしょうか?


氷河が後退した原因としては「地球温暖化」が主要因として浮かびます。
気温が高くなってきたために、氷河が溶け出している・・
こうした状況はカナダだけでなく、アルプスや南極でも同じです。北極に至っては氷海が溶けてベーリング海から北極海への船の運航が可能になるほど氷が溶けている。詳しくはこちら・・

シベリアの永久凍土が溶けて、湖が方々で姿を現している。埋まっていた冷凍マンモスが各地で発見されています。永久凍土に含まれていた二酸化炭素やメタンガスが大気中に放出され、さらなる温暖化を促す原因にもなっています。(メタンガスは二酸化炭素に比べて温室効果が高い気体です)

氷が溶け出して海面上昇により領土を失う国も出てきています。
バングラディッシュの海岸線は、数キロメートル後退して、住んでいた土地から追い出された人々が増加。モルジブに関しては、島が水没して、国土自体が消失してしまうという事態になっています。詳しくはこちら・・

温暖化の主要因は、人類の経済活動による二酸化炭素の排出。特に化石燃料の大量消費と森林伐採が原因です。
私たちの暮らしを維持するには、二酸化炭素の排出は不可欠です。

昔は、エネルギー消費が少なかったために、地球規模の環境破壊まで至らなかったのでしょうが、経済が成長していくにつれ、エネルギー消費が膨大になっています。
1990年に比べて6%の二酸化炭素排出量を減らす「京都議定書」の内容を達成するために、世界各国で努力がされています。
日本は、ようやく動き出したというところでしょうか・・・

エネルギー消費を抑えるのは、政府や企業が率先して行わなければなりませんが、我々個人の生活を変えていくことも大きな要素となります。
テレビや新聞の中で起きていることではなく、自分の足元で起こっていることだと認識することです。

住宅建設の際に出るエネルギー消費を抑えるには、輸入材を止めることが一番効果があります。
大量の石油を消費して海を渡ってくる外材は、国産材に比べて価格が安いために普及しています。
ロシア材はシベリアの永久凍土上の木を切り倒したままで、植林もされずに森林破壊が進んだ結果、永久凍土が溶け出しています。
南洋材も同様で、熱帯雨林が切り倒された後は、畑にしたり、そのまま地肌が露出したままになっていて、大量の土砂が河川、海洋に流れ出し、土砂災害が発生しています。
一度破壊された熱帯雨林を回復するには相当の努力が必要です。

「高くても国産材を使う」というようにシフトしていけば、計画的な植林、育林が繰り返されることで、二酸化炭素を固定しながら半永久的に資源を得ることができます。
県産材を使えば、更に、自分の住んでいる上流への経済効果が促され、水源の確保、土砂災害の防止といった目に見えない形での恩恵があります。
山の木による土壌の活性化へ・・

蛇口をひねれば水が出る・・それは川の上流の山の手入れをしている川上の人たちの見えない努力によるものです。

砂漠化により中国の黄河が枯れる事態が起きていますが、狭い日本で、水不足にならないという保証はどこにもありません。
地下水は地面に浸透した水が20年以上かかって湧き出てくるのですが、飲み水として用いることができないほど汚染されています。
山での浸透がされないうちに、河川に流出してしまっていて、地下水が補充できない状態になっています。
浸透を促すには、保水力を十分に高める必要があります。天然林は保水力があるので、できる限り傷めない。又、人工林の足元を明るくして二次林を下層に形成させて、土壌を活性化するやりかたを取るとしても、間伐作業や枝打ち等の整備が必要です。

山の整備をするためにも、山の木が売れなければ、先に進めないのです。

地元の山の木を使うことで、上流の山の整備が進む・・
水資源の確保とともに二酸化炭素排出の抑制にもつながり、一石2~3鳥くらいなのですが、なかなか県産材の普及促進が進まないのが現状です。


そういった、背景をこのカルガリーの体験によって肌に感じ取ってもらえたのでしょうか?
技能五輪に出場した小島さんには技術の継承とともに、温暖化防止に向けた志を受け継いでもらえれば幸いです。
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