東京・台東借地借家人組合1

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【Q&A】 両親が死亡し、「契約を解消するか、新規契約をするか」の選択を迫られている

2010年03月25日 | 契約・更新・特約

(問) 私は、父が戦前から借りている借家に住んでいます。父は、3年前に死亡し今年2月に母親も病死しました。家主からは、両親には家を貸したがあなたには貸していないので明け渡して欲しい。応じなければ新規契約をしてもよいが敷金50万円と家賃は10万円の条件になると言い、「契約を解消するか新規契約をするか」の選択をせまられています。どうしたらよいでしょうか。


 (答) 借家の賃借権は、相続されます(註1)。また、内縁関係のある事実上の夫婦については継承されることになっています(註2)。

 お問い合わせの方の場合、家賃は決められた時期にきっちりと支払っていれば賃借権は継承されることになっています。

 ご両親が死亡し、同居していたあなたが同一条件で賃借権を継承できるのですから、改めて契約書を取り交わす義務はありません。また、改めて家賃を改定する必要もありません。

 

 

大借連新聞より

 

 


 

(註1) 民法896条は「相続人は、相続の開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と規定している。

 相続によって遺産は包括的に承継される。遺産中の不動産・動産だけではなく、債券や債務を承継するもので、被相続人の地位の承継と解されている。勿論、借家権も財産的価値を持ち相続され、賃借人の地位も承継される。相続人が数人ある場合には、借家権は共同相続され、それらの相続人が共同賃借人となる。居住していない相続人も借家権を相続することは出来る。


(註2)  借家人が死亡した場合、同居の内縁の配偶者や事実上の養子は、相続人でないから、居住していても、借家権を受け継ぐことが出来ない。従って、居住していた借家に住むことが出来なくなる。

 しかし、死亡した借家人に相続人がいない場合は、借地借家法36条1項によって同居していた内縁の配偶者や事実上の養子が賃借権を承継できると規定し、限定的ではあるが借家権を保護している。

 しかし、相続人がいる場合は、特別の理由がない限り借家権を放棄しないから、内縁の配偶者や事実上の養子の居住権を保護する必要がある。

 そこで、判例は相続人の借家権を同居者が援用して、家主の明渡請求に対抗出来るとしている。事実上の養子の居住権を、家主の明渡請求に対して保護している(最高裁昭和42年4月26日判決)。内縁の妻(最高裁昭和42年2月21日判決)や内縁の夫(最高裁昭和37年12月25日判決)に対しても同様の理由で賃借権の承継を認め、居住権を保護している。

 このように判例と借地借家法36条1項とによって内縁の配偶者や事実上の養子の居住権は保護されている

 また、内縁の配偶者や事実上の養子に対する相続人からの明渡請求は「権利濫用」になり認められないとしている(最高裁昭和39年10月13日判決)。

 なお、借地借家法36条の保護を受けるのは、居住用借家(店舗併用住宅も含む)であって、営業用の借家(店舗、事務所、倉庫、工場)には適用されない。また、保護の適用対象は死亡した借家人と同居していたことが必要である。

 (註1)、(註2)は東京・台東借地借家人組合

借地借家法
(居住用建物の賃貸借の承継)
第36条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。
 ただし、相続人なしに死亡したことを知った後1月以内に建物の賃貸人に反対(❊賃借人の権利義務を承継しない旨)の意思を表示したときは、この限りでない。

 

東京・台東借地借家人組合

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