東京・台東借地借家人組合1

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保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

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原状回復特約に警鐘  (東京・台東)

2005年05月24日 | 敷金・保証金・原状回復に関する判例等

        敷金訴訟で全面勝訴
          県住宅公社に不当な費用の返還請求

 尼崎借地借家人組合顧問の吉村勇さんは、1995年1月17日の阪神大震災で被災した。自宅を建替える期間、兵庫県と他の6市の出資による特殊法人である兵庫県住宅供給公社が一括借上げして管理する尼崎市の賃貸マンション「エスポワール園田」に1年6か月入居していた。
 入居していたマンションは住宅金融公庫から融資を受け、且つ尼崎特定有料賃貸住宅制度に基づいて建設費用の補助と入居者の家賃補助が行われている特定優良賃貸住宅である。賃貸借契約には特優賃法と公庫法の適用がある。

 敷金は家賃の3か月分約37万円が差入れられていたが、退去時に原状回復費用としてふすま貼替、畳表替、クロス貼替、玄関鍵取替等工事費用として約21万円が差引かれた。

 退去跡補修工事は通常損耗分の修繕費であり、賃貸人である公社が負担すべきで、賃借人に通常損耗分の費用を負担させることは、法律上・社会通念上の義務とは別個の新たな義務を負担させるものである。
 従って、そのような合意の成立は、その義務の具体的な内容を理解認識した上で、その義務負担の意思表示がされることが必要である。

 しかし、住宅供給公社は費用負担の説明義務を履行していない。また、通常損耗費用及び鍵取替費用の負担をするという同意をしていないので原状回復特約は成立しないと吉村さんは主張し、公社に対して不当な費用負担分の約21万円の返還を求めて提訴した。

 裁判の争点は、
 ①公社との賃貸借契約について、通常損耗分及び玄関の鍵の取替を賃借人の負担とする合意が成立したか、
 ②仮に成立したとして、原状回復特約が特優法・公庫法に違反し、公序良俗違反として私法上の効力が否定されるかであった。

 契約書本文では通常損耗分は賃貸人である公社の費用負担と記載されている。しかし、別冊である「修繕費用負担区分表」・「住まいのしおり」では賃借人の費用負担と記載されており、両者に齟齬がある。これに関して公社は「区分表」と「しおり」に基づいて通常損耗について賃借人負担とする原状回復特約は成立すると主張した。

 一審の神戸地裁尼崎支部は特約の成立を認め、特優賃法・住宅金融公庫法に定める限度内の家賃の範囲であれば、退去時に通常損耗費用を控除する方式も問題はないとして吉村さんの請求を棄却した。吉村さんは判決を不服として大阪高裁に控訴した。

 2003年11月21日大阪高裁は、「区分表は、本件賃貸借契約の別冊であり、その一部であって特則ではないから、これをもって本件特約の成立を認めることは出来ない」として通常損耗の修繕費用を借主に負担させる特約は成立しないという判断を下した。
 
そして「特優法及び公庫法の規定の趣旨にかんがみると、本件特約の成立は、賃借人がその趣旨を十分に理解し、自由な意思に基づいてこれを同意したことが積極的に認定されない限り、安易にこれをみとめるべきではない」と結論づけている。
 その結果、住宅供給公社の主張する原状回復費用借主負担の特約の成立を否認し、一審判決を取消し、借主の請求をほぼ全額認める判決を言い渡した。

 兵庫県住宅供給公社は、この判決を不服として最高裁へ上告した。
 2004年6月10日、最高裁判所は「当裁判所は裁判官全員の一致の意見で次のとおり決定する。主文 本件を上告審として受理しない。申立費用は申立人の負担とする。」として申立人である兵庫県住宅供給公社の上告を退ける決定を出した。この最高裁の上告棄却によって、大阪高裁判決が確定し、吉村勇さんの全面勝訴が決定した。

 この判決は全国の公社が管理する約3万戸に大きな影響を与えることは必定である。自然損耗分は貸主の費用負担は判例の主流であり、国土交通省も「標準契約書」「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」等によって自然損耗(通常損耗・経年変化)を借主に負担させないように指導している。また、東京都は2004年10月1日より、退去時の原状回復費用負担のトラブルを防止する「賃貸住宅紛争防止条例」を施行する。

 

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