チキョバ

日々の文言のるつぼ。

『青い鳥』萩尾望都

2005年09月01日 14時12分25秒 | 読感
「『恋する者が誓いをやぶる。でもジュピターは苦笑い』
 ってシェイクスピアもいってるぜ。なんでさっさと弟を裏切らないんだ」

<「ジュリエットの恋人」197頁>

バレエやってる人の体の質感がすばらしいです。
浮き上がった筋肉の直線な感じ、汗をかかなそうな肌ににじむ汗、
きれいだけど健康的な肌の美しさとは少し違う滑らかさ、、
漫画でなく実写を見てるような気がしてきます。

「海賊と姫君」
オリバーの必死な感じとローズマリィの(若さゆえの)諦観がいい。
ラストはなんだか笑えてくるし泣けてきますね。これはくらっとくるよー。
ミカヤとフォーンの話も読みたいと思いました。

「青い鳥」
節操のない人間の出てくる話は苦手だけど、これはさらさら読めました。
アシュアが特別善い奴でも悪い奴でもないところがよいです。
あと夜啼鶯と皇帝と機械鳥って、物語自体すごい気になる…。
”輝いてるキャラ(ヤン)”がほんとに輝いて見えました。

しをんさんがエッセイで紹介されていたヤンのセリフも好き。

「舞台の奥から、僕に向かって青い鳥が飛んできた。
 なにもかもなくしても、希望がなくても、世界が不条理でも、
 舞台だけは美しかった。あそこには幸福があった。
 舞台にだけは青い鳥が住んでた」

<「青い鳥」101頁>

このセリフだけ読んでずっとどきどきしてました。

「ロットバルト」
最後のオチが好きです。
黒鳥のぶっつけ本番は圧巻。でもほんとにこんなことできるのかしら。
バレエって型(っていうのかも知らない)が決まってるから可能なのかな?

「ジュリエットの恋人」
表題作の「青い鳥」が一番印象的ではあるんだけど、
一番好きなのはこの「ジュリエットの恋人」。
髪をひっつめてるサンドラも下ろしてるサンドラも可愛いし(つまり好み)、
頑固だけど優しいアルノーとの練習シーンも上演シーンも素敵です。
「海賊と姫君」のオリバーが味な役(上記のセリフはオリバー)で登場、
ちらっと出てくるレヴィは『感謝知らずの男』でもあります。


…すごく気になることが。
おもしろくない萩尾作品ってあるんだろか。
読んでて心が痛む作品は山のようにありそうだけど…。
とりあえず、古本で集められるだけ集めて読みたいと思います。
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