何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト

2010-07-09 22:43:06 | Book Reviews
『「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト』 酒井穣・著、光文社新書439、2010年1月20日

p.7-8 しかし、ヒト(特定の人材や組織)は、モノ(商品や設備)やカネ(資金や信用力)とは異なり、自ら考えて行動することができる、本質的に他人のコントロールから自由な存在です。
 そうした自由な存在を、あたかもモノやカネのように自らの意思を持たない存在と同列に取り扱うような企業経営のあり方は、いよいよ問題視されるべき時に来ているのです。

p.30-1 企業の利潤、商売の利益というものは、社会に対する貢献度によって決まるものであり、その貢献の度合いによって社会は企業に利潤をもたらす。社会に貢献しない企業は、だから利潤は得られないし、得たとしても、又それは何日も続かない。そしてその企業は社会から消えることになる。

p.31 先のドラッカーですら「利益とは企業存続の条件である」ろいう具合に、「社会貢献の原資」とはやや矛盾することを伝えており、この問題にクリアな解答はなさそうだということが理解できます。
 企業活動を一番シンプルに表現すれば、その中身は(1)売上を最大化し、(2)コストを最小化する、というたった2つの行動にまとめることができます。この2つの行動について十分な経験を積まないまま、「社会貢献」という言葉だけを振り回すようなビジネスパーソンは、絶対に成功しません。

p.32 利益と社会貢献の関係性が見えにくくなったときの判断は、それが違法でないかぎりは、利益を優先させるのが筋です。

p.32-3 倫理は重要です。同時に、短期的な視点において適切な人材育成プログラムとは、人材のポテンシャル(伸び代)を効率的に引き出し、企業の経済的な成長を達成するものでなければなりません。社会貢献のための学びではなく、実際にビジネスパーソンとしてのパフォーマンスを向上させるための学びを促進しないと、人材を育成するための予算もとれないことになってしまうからです。

p.47 学習拒否者に共通して見られる特徴は、目の前にある問題の原因がつねに自分以外の他人にあると考えることのように思われます。そもそも問題を問題として認識していないことも多いようです。

p.51 営業マンの成長にとって「顧客志向」の信念が経験学習の効果(学習の速度)を左右する。

p.59-60 ビジネスパーソンにとって問題意識を持つことは重要です。ただし、ここで言う問題意識とは、社会悪への憎悪といったことではなくて、むしろ常識や先入観にとらわれず、他の人材には感じられない「引っかかり」を大切にするゼロベース(虚心坦懐)な志向ができる能力の有無を指しています。

p.61 人間は、反論の余地のない完璧なものに対しては、嫉妬しても親しみを感じることはありません。あまりに完璧に見える人材は周囲から恐れられ、人が寄り付かなくなり、業務に必要な情報すら集められなくなるケースもあります。

p.75 人材育成において採れる具体的なプログラムは、大きく分けて人材の仕事(責任)への「関与のぢ愛」を強めるもんと、人材が採るべき具体的な行動への「指示の度合い」を強めるものの2つがあります。
 「関与の度合い」を強めるということは、二人三脚的な形で、一緒に仕事のやり方を考えていくという、コーチングに近い発想です。このアプローチは、パフォーマンス・コンサルティングと呼ばれることもあります。
 これに対して「指示の度合い」を強めるということは、トップダウン的なアドバイスや命令を増やすということです。どうすべきかということを、マニュアルやチェックリストといった形式で詰め込むような人材育成です。

p.85 「共に戦った人間をこんなふうにしか送り出せないわれわれは、良い社員かもしれないが、良い人間ではない」

p.104 (ハイ・パフォーマーに見られる行動の特性(コンピテンシー)を抽出し、それを他の社員へも浸透させるという教育戦略の)教育効果の測定は、人材育成プログラムが、そのプログラムの対象となった人材の「知識を増加させたか?」ではなくて、あくまでも「行動を変化させたか?」という問いに答えるような形式でなければなりません。

p.105 新たなハイパフォーマーが組織に加わると、その周囲の人材の行動が変化することに気がついている人は多いと思います。しかしその原因が、ハイパフォーマーと周囲の人材との間で起こる、自由なムードで交わされる真剣な話(=対話)にあるということは、新鮮な気づきではないでしょうか。

p.134 教えると学ばないのが人間という生き物なのです。
 この点を考慮し、自ら学ぶようにしむける仕組みを提供するのが人材育成プログラムの本質です。この意味で、徒弟制度は非常に完成されたプログラムなのであって、とくにリーダー育成においては絶対に避けて通れないものです。

p.147 建前として、人材育成に反対するような経営者はまずいません。しかし、その経営者がどれぐらい人材育成に本気なのかは、研修にかけた時間や予算からも明らかになる話なのです。

p.153 一つだけ強いサッカーチームがあったとしても、それだけでサッカーファンを増やし、サッカー人口を増やし、サッカーの楽しさを広めることはできないでしょう。サッカーを広めるためには、複数の競合がフェアに競い合う「リーグ」の存在が不可欠なのです。

p.172 直感は重要です。ただ、本当の意味で直感が威力を発揮するのは、ある程度シニアになってからの話であって、それまではむしろ直感に頼った判断を忌み嫌うぐらいでちょうど良いと思うのです。

p.201 「アクションプランにさえ落とし込めば、あとはただやるだけなので簡単だ」という理解は完全に間違っています。

p.203 「戦略の実行」は、どこの部署が責任を負っていくべきでしょうか。
 私はこの役割は人事部にしかできないと考えています。
 なぜなら、現実に「戦略の実行」を妨げるのは、利害の異なる人材の間で起こる「コンフリクト」と、戦略からブレークダウンされたアクションが人材の能力を超えてしまっていることから生じる「行き詰まり」であり、これらは紛れもなく「ヒトの問題」だからです。


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