何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

あってないような「禁忌」の実態

2009-04-27 15:03:44 | くすり雑感
 禁忌ということで疑義照会したにもかかわらず、そのまま調剤しろという返答が返ってくることが珍しくない。
 疑義照会は、処方医の指示を仰ぐこととは同義ではないので、薬剤師はそこで引き下がってはいけないのであるが、現実にはそれ以上、つっこみにくい状況もしばしばある。

 併用禁忌でも疾病禁忌でも、「使ってはいけない」とされているのであり、他の方法を取ることができないかと状況説明を求めているのであるが、医師側は指示を求められていると理解しているのであれば、そこは誤解のもとかもしれない。

 禁忌と言えども使用するケースがあるのは事実だが、だからといって短絡的に「禁忌でも注意しながら使ってもよい」(注意は不可欠だが)といったふうに、まるで慎重投与のような理解をされているように感じられるケースもある。それが常態化すれば、さほど気にしなくてもよいような錯覚すら覚える。まさに禁忌を軽視しているかのようだ。

 禁忌には、理論上、好ましくない可能性が十分考えられるので、あらかじめ禁忌と設定しているものと、実際に重大な事態になった実例もあり、まさに禁忌といえるケースとがある。
 とかく前者にはまだ使用事例の少ない新薬で、そのような状況が見られる。後者では、いったいそのような事例がどの程度あるのか、添付文書からは読み取れない。つまり、添付文書を見ただけでは、どちらだか区別がつかない。

 医師の中には、自身の診療の中で、まさに禁忌で重大な健康被害につながった事例を経験していなければ、なかなか受け入れようとしない者もいる。

 禁忌であっても使用するというのであれば、
・“本来は使ってはいけない”禁忌であることを承知している
・たいへん危険な状況に置かれていることを理解している
・他にこれといって治療法がない、またはあっても諸事情でその治療法がとれない
・これまで行ってきた他の治療法では効果不十分で、そのままでは健康や病状が悪化する可能性が高い
・危険性を上回る有益性があると考えられる

 これらを考慮して、使用することが多くの医療従事者が見てもやむをえないと思われるようであれば、細心の注意、危険性の説明、危険が見られた際の対応等を伝えて、交付を検討することになるのではないかと考える。

Comment (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 営業マン売れるアイツには理... | TOP | 【ジェネリック】 使用時の不... »
最新の画像もっと見る

1 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
落差 (お疲れ)
2009-05-01 10:01:20
 月刊薬事 51(4)593,2009 によると、Beers criteria日本版を参考に、下記薬剤は、コレコレの理由で、高齢者には「一般に使用を避けることが好ましい薬剤」であり、副作用発現の可能性があるから、中止あるいは変更を求め、約4割の処方が薬剤変更になっているという。

 可能性の段階で動いてくれれば、まさに未然防止になる。
 この「落差」はナンだ。開局と院内との差か。

post a comment

Recent Entries | くすり雑感