何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

なぜ伸びる会社には「察知する力」があるのか

2011-06-14 22:10:39 | Book Reviews
『なぜ伸びる会社には「察知する力」があるのか』 近藤昭一・著、ビジネス社、2010年2月1日

p.3 気が利くということは、相手のさまざまな思いに気づくということです。このことをないがしろにしたサービスやホスピタリティなどあり得ません。

p.3-4 お客様が求めているのはこのような雰囲気を持った職場であり、そこから顧客として満足や信頼を感じていくのです。「サービス」あるいは「おもてなし(Hospitality)」は、相手に対して「気を利かせる」ことから始まります。
 「サービス」」に精神的な思いを持たせたものが「おもてなし」と言われています。人をもてなすことの基本は「気を利かせる」ことです。

p.4 気を利かせる心とは、相手の立場になり思いやりにあふれた心遣いや行動を相手に対して行うことです。また、それらを行うことで相手に喜んでもらうことが自分の喜びにもつながるのです。そしてこの「気を利かせる」心は人として誰もが必ず持っているものなのです。大事なことはこの心を見える形できちんと表現することです。

p.17 人が人をもてなすためにも、一人ひとりが「気が利く人」――つまり察知力のある人になる必要があるのです。ましてサービス業に携わっている人であれば、一般の人よりもさらに「察知できる人」にならなければお客様に満足してもらえませんし、繁盛店になることすら難しくなります。

p.19 結局、「察知力」とは相手への心配りと、その実践ということではないでしょうか。
 「察知力のある人」とは、相手が喜ぶことをしようと思い(マインド)、それを行動(アクション)に移すことができる人です。

p.19 察知できる人になるためには、相手に「こうしてあげたい」と思ったら、ためらわずに行動に移すことです。そのためにも、相手の行動を見て、不自由そうにしているのなら何を求めているか想像してみましょう。

p.22 察知できるかどうかは想像力があるかどうかです。お客様を観察し、想像すれば、いまはこうだから、次はこれが必要になるだろう、と先をきちんと読める想像力があれば、相手が喜ぶ行動につながっていきます。

p.28 「非常に満足した」という10人のお客様のうち、次の利用機会にまた同じ店を利用するのは7人しかないのです。
 「満足」のお客様の再利用率は40%、「普通」は20%、「やや不満足」は10%、「不満足」となると、もはや0%です。「7-4-2-1-0」の法則はお客様心理であり、正しいことなのです。

p.30 気の利いたサービスとは、お客様が感動するような特別なサービスをすることでも、きちんと計画を立てて皆で話し合って実行するものでもありません。

p.32 お客様が期待外れのサービスを受けたときに苦情として表面化したほうが店舗側にとっては名誉挽回のチャンスがあり、逆にそこから深いつながりが生まれる可能性があります。

p.37 マニュアルはあくまで作業手順書ということを理解しておかなくてはいけません。その指示どおりに行えば、誰がやっても平均的な結果が出ますが、お客様に「予想外価値」を与えることはできません。

p.52 マニュアルを超えたサービスを提供できる社員、また人をもてなす心を表現できるスタッフというのは、本来持ち合わせている資質が7割、残りの3割が教育によって培われるものだと思います。教育によって8割~9割りも能力を伸ばすことはあり得ません。

p.57 一時期、危機に瀕した(餃子の)王将が復活した鍵は「現場第一主義」「スタッフを信頼して任せる」という点にあったことに間違いありません。

p.59 お客様が要望するどのような無理難題に対しても、2次・3次の代替案を考えながら対応するのがサービス業に携わる者の心得ではないでしょうか。

p.59-60 お客様の行動や要望を先に読んでサービスを提供するのは至難の業です。しかし、私たちはそれを実践しなければならない商売です。もちろん、お客様から言われたことに対してきちんと対応するのは大事なことです。そこから感動を与えるサービスにまで到達するには、お客様の言葉にならない部分を察知することが大切です。

p.64 ノードストロームの経営方針は「豊富な体験を通し、人間としての感覚で仕入れる」「パーソナルタッチをテクノロジーに取って代わらせることはしない」というものです。

p.71 周囲の人に手助けを頼むときに大切なのは、それぞれの立場や能力を十分に認め合うことです。各人が自分の方法論にこだわり、自己主張していては仕事は成し遂げることができません。

p.74 サービス業という職種は接客が基本です。「お客様にサービスする」という意識を持たない限り、良いサービスは提供できませんし、良いおもてなしもできませんから、お客様の満足も得られません。その結果、業績も上がらなくなるのです。

p.74-5 お客様にサービスする心を常に抱いていれば、その気持ちは自ずから立ち居振る舞いに表れます。「もう一度、このお客様い来てほしい」と思うスタッフは、いま自分にできる一番いいサービス、最も適切なホスピタリティの方法を考えてお客様に提供します。

p.76 たとえば、報奨金制度などがあると、どんな手段を使っても売上を上げる社員が出てきます。しかし、単にお金欲しさで動いてしまうだけで、真のモチベーションアップはありませんから仕事に対する意欲は長続きしないでしょう。

p.77 人材育成については、その会社の企業姿勢、お客様に対する考え方に違いがあるので一概には言えませんが、ホテルなどのサービス業の場合は、店のマネージャーや店長が考えている経営のあり方、方向性を徹底的に社員に植え付けるしかありません。上司が実際にやってみせて覚えさせる――その繰り返しであることを肝に銘じておきましょう。

p.79 ワンランク上の仕事を与えるもうひとつのメリットは、スタッフの成果を認めるひとつのモデル・ケースになることです。アルバイトの人にもワンランク上の仕事を与えると「アルバイトでも仕事を一生懸命やれば認められる」と周囲も注目して、スタッフ同士が刺激しあうことになり、職場が活性化してきます。

p.84 頭の中では「こうしたい、ああしたい」と思っていても、実際に自分の現場では実行できないことが多いものです。しかし、他の店に行ったときに「あ、こんなふうに工夫している」と実感すれば、自分の店にも取り入れることを決断できます。

p.85 人間というのは、自分が身を置いている場所以外の外の世界をどれだけ知るかで、人間としての幅が違ってきます。外の世界をより良く知るためには観察眼を養わなければなりません。単に行って帰ってくるだけでは何の意味もありませんから、真剣に観察させることを教える必要があります。

p.88 どのようなサービスを付加したら、お客様にとって気の利いたサービスになるのか、それを考えて行動する必要があります。お客様に対して「こう言いなさい、ああ言いなさい」と指導するのではなく、それぞれのシチュエーションに応じて、どのサービスがお客様にとって、より良いサービスなのかを考えて提供しなさい、ということなのです。

p.89 もちろん、過剰サービスにならないように注意しなければなりません。サービスの受け手であるお客様にとっては、サービスの提供側がよかれと思ってしたことが過剰サービスになることがあります。
 ですから、お客様が何を望んでいるのかを察知する力を身につけることが非常に大事なのです。徹底的にサービスしようと思えば、際限なくできます。しかしそれは単に過剰なだけで意味がありません。

p.90 サービスは目に見えないからこそ一人ひとりのお客様に個別対応し、シチュエーションに応じて行う意味があります。目に見えるサービスはマニュアルにしかすぎないのです。基本マニュアルにもてなしの心を付加することこそがお客様に感動を呼ぶサービスに進化します。

p.94 顧客満足とは、お客様が感動するウルトラC級のサービスをすることでも、きちんと計画を立てて皆で話し合って実行するものでもありません。よく予想外価値を生むサービスと言われますが、それほど難しく考えることはないのです。お客様が満足する特上のサービスはひとひねりのアイデアとちょっとした工夫で生まれます。

p.106 気の利いたサービスを提供するには、相手の情報を知らないと適切な対応ができません。
 あとは「もてなしたい」というマインドとそれを実行するアクションのふたつが相まって、初めて良質のサービスが提供できることになります。

p.106 「気づく」には相手に関心を持つ必要があります。関心を持てば、次に何が起こり得るかを考えるようになります。

p.112 会社側、あるいは自分たちの論理を優先するのではなく、「お客様こそ主役である」という視点で商売すれば、自然に顧客に対する気配りが生まれ、ファンを増やしていくことができます。

p.121 同社(メガネドラッグ)の社訓は「売上を競うよりサービスを競え」で、小売店でありながら売上重視ではなくサービス精神を養うことをモットーとし、来店する顧客に喜びと感謝の気持ちをサービスという形で提供することに力を入れています。つまり「信用」という財産を増やすこと=顧客を増やすことにつながる、と考え、この社訓を各店舗の店内に掲示しています。

p.129 マニュアルを超えたサービスを提供するためには、常に工夫や努力を怠らないようにしなければなりません。工夫や努力を忘れたと単にお客様からそっぽを向かれてしまいます。

p.131 日頃の業務の中で、お客様をたくさん感動させることができれば、多くのお客様から信頼されるホテルになれますし、感動したサービスを受けたお客様は必ずリピーターになることを信じて疑いません。ですから「感動のサービス」の質量を増大させ、リピーター客の増大を図ることが経営上の大きなテーマにもなります。

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