何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

経営者の手帳

2010-12-20 22:14:57 | Book Reviews
「経営者の手帳 働く・生きるモノサシを変える100の言葉 坂本光司・著、あさ出版、2010年11月28日

p.19 結果現象である業績や成長を指向すると、売り上げの増大とコストの低減が不可欠なため、売り上げノルマを課したり、コスト削減のため現場に過度の負担をかけるなど、総じて不幸な人をつくってしまう。
 営利組織であれ非営利組織であれ中小企業であれ、経営活動はすべて、“関係者の幸福の実現”を軸に行うべきである。

p.21 顧客を最重要と位置づける経営も問題だ。
 顧客満足度を高めるのは社員である。であれば、企業は株主満足度や顧客満足度ではなく、まずは社員とその家族の満足度を優先して高める経営を充実・強化させるべきなのだ。
 「社員の家族満足度」を高める必要があるのは、家族の理解なくして、働く人がよい仕事を実現するのは困難だからである。

p.23 社員が顧客のことを第一に考える環境づくりとは、企業のハードを充実することなどではない。
 経営者がもし一社員であったらやってほしいこと、言ってほしいことをとことん行い、逆に一社員であったら決してやってほしくないこと、言ってほしくないことは、とことんやらないことである。
 だが、多くの経営者は、社長になってしまうとやがてこのことを忘れ、社員がいやがること、社員の幸せのためにならないことを平気でやってしまうのだ。

p.27 (好業績を持続する)これらの企業に共通しているのは、経営者やリーダーが業績などではなく、企業の使命を果たすために誰よりも努力している点と、人間味あふれる厳しさのなかにあたたかさとやさしさがある経営を進めている点だ。

p.31 経営者や管理者の最大使命の一つは、部下ではなくフェロー(メンバー、仲間)たちをリード、支援し続けることだ。フェローたちに、一日でも早く自分を超えさせることである。

p.51 (経営者が決断するにあたり)決断しなければいけない事柄を冷静に分析・評価し、それが正しいことか、正しくないことか、自然なことか、不自然なことかを基準にすることである。

p.53 従業員を幸せにしたいと思うなら、また誰かに迷惑をかけたくないと思うなら、企業は決して、景気や流行を追ってはならない。追求すべきは使命と責任、継続、本質である。

p.57 経営者の最大の仕事は三つあり、そのために存在意義がある。
 一つは、社員を中心として、企業にかかわりのあるすべての人々を幸せにするため、進むべき方向を全社員に明示すること。
 二つは、全社員が目標に向かって主体的努力を行えるような、よい職場環境を整備、充実すること。
 三つは、後継者を発掘し、育てることである。
 あえていえば、この三つ以外は、社員を信頼し、任せればよい。

p.59 経営者が注力すべき仕事は、売上高を高めることでも、コストを抑えることでもない。一人ひとりの社員がそれぞれの力を発揮できるよう、よい経営を実行することである。

p.61 (総合力が社長や部課長のそれを上回る)そうした人財が育った場合、潔くその地位を譲ることである。

p.67 業績を高めるため、こうした経営者や管理者の関心は、とかく流行や景気に向く。
 景気や流行は必ず変化するし、業績を重視するあまり、より大切な人々を犠牲にしてしまうことにもなりかねないからである。企業経営の最大・最高の使命は“五人”の幸せであり、だからこそ重視すべきは業績ではなく、「継続」なのである。

p.73 リーダーは、決して数にこだわって、徒党を組んだりしてはならない。

p.79 社長と会長の違いは、会社に出社する回数、現場に口出しする回数、とりわけ我慢の度合いである。具体的には、会長は社長に比べて出社する回数や口出しする回数を、社長の数倍我慢しなければならない。それができなければ、会長になる資格はない。

p.81 自らに圧をかける生き方とは、「自分が一社員なら」「自分が一顧客なら」という視点に立脚し、社員や顧客に尊敬される経営者、リーダーになることである。

p.85 業績は社員のモチベーションの結果現象なのである。これを踏まえれば、経営者が何よりも重視し、行うべきは、業績を高めるための活動ではなく、全写真のモチベーションを飛躍的に高める活動であることがわかる。

p.85 社員のモチベーションが高い企業が、低い企業と決定的に違っているのが、「経営情報の公開」「経営計画づくりへの参画」、そして「なんでも言える組織風土」の導入率の高さである。

p.91 社員満足度は顧客満足度に優先するといっても過言ではない。顧客満足度を高めるのは、社員だからだ。ESが高ければ高いほど、社員は組織への帰属意識や愛車心を高め、CSを高め、組織や上司に貢献しようと努力する。

p.101 感動と価値を創造し市場に提案する人財がいたからこそ、高業績(好況)になったのであり、逆に不足していたからこそ、低業績(不況)になってしまったのである。
 人財への投資は、設備投資とはまったく異なるものである、人財だけは、好不況にかかわらず、永遠に強く求め続けなければならない。 #EDU

p.109 会社の方針はA商品の優先販売だから、Yさんも積極的にお客様に提案した。
 ところが過去10年、トップセールスマンとして高給を得ていたYさんが、ある日突然会社を去った。その理由は「もう嘘を言うことに疲れた」だった。

p.111 では、営業しなくてもよい営業とはどういう営業か?
 それは、お客様に尊敬され、信頼される、社会価値の高い経営を日頃から行うことであり、お客様が会いたくなる誠実なやさしい社員を確保、育成することである。お客様が交通費を払ってまで、わざわざ企業に来てくれるような経営を実現するのだ。

p.113 業績が悪いのは、商圏の悪さ、小ささが理由ではなく、経営の考え方、勧め方、とりわけ企業の「社会価値」にこそ問題があるのだということを知らなければならない。

p.129 企業は生まれた瞬間から、生産や雇用、さらには販売などを通じ、地域とかかわるものであり、また、かけがえのない地域資源を活用しなければ存在できないように成り立っているからである。
 どのような企業も、社会的公器なのである。

p.135 では、企業はなぜ倒産し、滅びてしまうのか?
 答えは簡単だ。偽りの経営、欺瞞に満ちた経営をやっていたからである。

p.143 これらの企業に共通している経営学は、好不況にかかわらず、顧客がのどから手が出るほど欲しくなる感動的商品を創造し、タイムリーに市場に提案している点だ。

p.151 元気のない中小企業は、中小企業がやってはいけない三つの競争をやってしまっている。第一は価格競争、第二は品揃え競争、そして第三は内部の社員間の過当競争である。
 第三の内部の社員間の競争とは、近年の行き過ぎた成果主義型人事制度や賃金制度などのことである。社員間の過度の競争は、同一組織に勝ち組と負け組を発生させ、職場がギスギスするばかりである。

p.161 企業経営を考え、進める上で最も重要なことは、その目的である。
 「わが社の目的は何か」「わが社は何を通じて世のため、人のために貢献すべきか」「わが社の使命は何か」などのことだ。

p.171 改革、育成、開発には時間がかかる。撤退の判断も経営には重要だが、より大事なのは、「いくら時間がかかってもできるまでやる」執念である。

p.175 企業の真の使命を実現するには、「競争しない経営」しかない。
 競争しない経営とは、他社がやらない、できない、またはこの世に存在していないような、市場が求める感動的価値を創造し続ける経営である。

p.177 下請け・対応型企業は、発注者に対して面と向かって文句は言えない。言ったが最後、発注をストップされてしまうかもしれないからだ。
 下請け・対応型企業は永遠の経営形態ではなく、自主独立型企業になるための期間形態と見るべきである。 #BUNGYOU

p.181 企業、あるいは経営者や社員の本性は、好況時にはほとんど見えないが、不況、特に大不況になるとよく見える。

p.183 「確実な未来」とは、経済社会のボーダレス化、グローバル化のなおいっそうの進行、地球温暖化や少子高齢化のさらなる進行などだ。確実な未来は私たちに、新しいビジネスのヒントを数多く提供してくれる。

p.189 近年の元気な企業は、これら外部企業や機関を単なる外の企業、機関と見るのではなく、自社の外部経営資源と評価、位置づけ、その内部化を巧みに図っている。

p.196-7 本社は限りなく小さいほうがよい。本社社員は本社の正当性を示すため、次から次に「管理」というくだらない仕事をつくるからだ。
 本社は現場と違い、総じて居心地がいいため、「社員が多すぎる」と言う人など一人もいない。
 このため自らの忙しさを示そうと、次から次に現場を管理するためのくだらない仕事をつくることになる。現場は、本来、顧客に振り向けるはずの時間を、本社のために費やしてしまう。

p.219 正しい企業に対して私たちがとるべき行動の一つは、そうした企業の顧客になることだ。

p.223 「平等」という言葉を、多くの人々は誤解している。条件が違ったケースや人々を平等に扱えば、それは不平等になってしまう。
 つまり、真の平等とは、不平等に対しては不平等の扱いをしてあげることなのである。

p.236 経営とは本来、その組織に関わりのあるすべての人々に対する使命と責任を果たすための活動のことです。そして使命と責任とは、永遠の幸福の追求・実現です。

p.236 経営者をはじめとした組織のリーダーは、特に重要な関係者五人の、永遠の幸福を追求・実現しなければならないのです。
 五人とは、
 第一に「社員とその家族」であり
 第二に「社外社員とその家族」であり
 第三に「現在顧客と未来顧客」であり
 第四に「地域住民・地域社会」であり
 第五に「株主・関係者」です。


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