舛添大臣が、三条総合病院の院外処方せん発行見直し(医薬分業の否定)を疑問視する見解を述べた。
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◆舛添厚労相 薬価差目的の院内処方は本末転倒(日刊薬業 2009.4.23)
新潟県内の厚生連病院が、国が進める医薬分業の方針に反する形で5月中旬に院外処方から院内処方に切り替える予定にしていることに関連し、舛添要一厚生労働相は22日の衆院厚生労働委員会で、「医薬分業のプラスの面を考えると、薬価差益を得るためだけに院内処方をやることは果たしていいことなのか。本末転倒だと思う」と述べ、薬価差の確保が目的であれば問題だとの認識を示した。高鳥修一氏(自民)の質問に答えた。〈中略〉
また、厚生労働省の井康行医薬食品局長は、「医薬分業は医療の質の向上や患者にメリットをもたらすもの」と述べ、今後も省として医薬分業を進めていく考えを示した。
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厚生労働大臣が「医薬分業のプラス面」という言葉で、院内調剤へ逆行する動きを本末転倒だと言いきってくれたことは、保険薬局にとって心強い。もし逆の答弁であれば、根底から医療体制がひっくりかえることになるからだ。
まずは一安心と言えるだろうし、最強の援軍が得られたかのように、三条総合病院でなくても、薬価差益を睨んだ院内調剤へ逆戻りする動きにブレーキがかかるのならよいが、果たしてそのひと声で問題は決着したといえるのだろうか。
院内投薬をしても、けっして法律違反でもなければ療担違反でもない。三条総合病院とて、だからといって方針を撤回することなど考えにくい。これまで非分業の医療機関が、医薬分業に踏み切るわけでもないし、ただちに強制分業が宣言されたのでもない。
医薬分業という薬物療法における社会的安全確保システムの意義を認めず、自院の収益確保に走っただけという、モラルの乏しさを露呈したにすぎない。ましてや、実害がふりかかってくることもないのなら、鼻で笑って済ましているかもしれない。
逆に、この発言によって薬局の存続が守られたという保証もない。これまで薬局は国民から医薬分業の意義を理解してもらうべく取り組んできたものの、こういう動きが平気で行われてしまうことに、まだまだ医薬分業は発展途上にあることを改めて謙虚に受け止めなければならないのだと思う。患者から院内逆戻りの反対運動(署名など)が湧き起こるというふうでもなかった。
医薬分業が、とりわけ薬剤の提供(交付)に重心が置かれていたのもその一因だろう。患者からすれば“受け取る”だけに見える行為に、専門性を感じない。手間に感謝しても、専門家の存在が意識されず、安心を覚えない。
薬の専門家でなければできない行為に重心が置かれて、それを実感したときに医薬分業は今より前進したといえるだろうし、院内には戻れない>戻す必要がないところに来たと感じてもらえるのだと考える。
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◆舛添厚労相 薬価差目的の院内処方は本末転倒(日刊薬業 2009.4.23)
新潟県内の厚生連病院が、国が進める医薬分業の方針に反する形で5月中旬に院外処方から院内処方に切り替える予定にしていることに関連し、舛添要一厚生労働相は22日の衆院厚生労働委員会で、「医薬分業のプラスの面を考えると、薬価差益を得るためだけに院内処方をやることは果たしていいことなのか。本末転倒だと思う」と述べ、薬価差の確保が目的であれば問題だとの認識を示した。高鳥修一氏(自民)の質問に答えた。〈中略〉
また、厚生労働省の井康行医薬食品局長は、「医薬分業は医療の質の向上や患者にメリットをもたらすもの」と述べ、今後も省として医薬分業を進めていく考えを示した。
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厚生労働大臣が「医薬分業のプラス面」という言葉で、院内調剤へ逆行する動きを本末転倒だと言いきってくれたことは、保険薬局にとって心強い。もし逆の答弁であれば、根底から医療体制がひっくりかえることになるからだ。
まずは一安心と言えるだろうし、最強の援軍が得られたかのように、三条総合病院でなくても、薬価差益を睨んだ院内調剤へ逆戻りする動きにブレーキがかかるのならよいが、果たしてそのひと声で問題は決着したといえるのだろうか。
院内投薬をしても、けっして法律違反でもなければ療担違反でもない。三条総合病院とて、だからといって方針を撤回することなど考えにくい。これまで非分業の医療機関が、医薬分業に踏み切るわけでもないし、ただちに強制分業が宣言されたのでもない。
医薬分業という薬物療法における社会的安全確保システムの意義を認めず、自院の収益確保に走っただけという、モラルの乏しさを露呈したにすぎない。ましてや、実害がふりかかってくることもないのなら、鼻で笑って済ましているかもしれない。
逆に、この発言によって薬局の存続が守られたという保証もない。これまで薬局は国民から医薬分業の意義を理解してもらうべく取り組んできたものの、こういう動きが平気で行われてしまうことに、まだまだ医薬分業は発展途上にあることを改めて謙虚に受け止めなければならないのだと思う。患者から院内逆戻りの反対運動(署名など)が湧き起こるというふうでもなかった。
医薬分業が、とりわけ薬剤の提供(交付)に重心が置かれていたのもその一因だろう。患者からすれば“受け取る”だけに見える行為に、専門性を感じない。手間に感謝しても、専門家の存在が意識されず、安心を覚えない。
薬の専門家でなければできない行為に重心が置かれて、それを実感したときに医薬分業は今より前進したといえるだろうし、院内には戻れない>戻す必要がないところに来たと感じてもらえるのだと考える。