何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

まず石を投げよ

2009-01-19 22:40:11 | Book Reviews
「まず石を投げよ」 久坂部羊・著、朝日新聞出版、2008年11月30日

 黙っていれば表に出ることのない医療ミス。内部の者はなぜ黙っているのか。真相が明るみに出ないと、改善も始まらないではないか。

 お互いが、明日は我が身とばかり、指摘を避けていることは正しいことか。それが紳士協定か、組織のルールなのか。自らが犯した罪は償わなければならないが、それは切り離して同僚の医療ミスには指摘し合う風土が必要ではないか。医療ミスは包み隠さず報告することで、改善も始まれば医療も進歩する。それによって、明日の事故も防止できるようになるだろうし、救える命をも救えるようになるのではないだろうか。



p.22 一口に医療ミスと言っても、いろんなレベルがある。
 まず第一は、だれが見ても明らかなミス。輸血の血液型を間違えるとか、手術で腹の中にガーゼを置き忘れたとか。こういうミスは患者にも明らかだし、弁解の余地はない。いわゆる凡ミスだ。
 第二は患者にわかりにくいが、医療者には明らかなミス。下手な手術で大出血したとか、当然考えるべき病気を見落として誤診したとか。患者には専門的な知識がないから、こういうミスは隠されやすい。しかし、医療者から見れば明らかだから、内部告発で発覚する。
 そして第三のミス、これが重要なんだが、ミスを犯した本人にしかわからないミスだ。まわりの医療者が見てもわからず、治療した医者だけが知っているミス。患者が死んだとき、あのときこうしておけばよかったとか、こうすれば患者は助かっただろうとか、あとから医者が思うことはあるだろう。

p.101 わたしも医療界の隠蔽体質はなくなっていないと思います。内部告発されるケースは別として、黙っていれば発覚しないミスは、隠されたままになっているでしょう。そういう医療ミスこそ、告発していかなければならないと思います。

p.234 わたしが、どうして美代子さんの血液検査を見落としたか、わかりますか。うっかりしてとか、魔が差したとか、忙しすぎたではない。美代子さんを嫌っていたからですよ。
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