何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

待ち時間短縮は薬局にとって永遠の課題か

2008-05-21 23:00:31 | 薬局経営
「カネをかけずにお客をつかむ!」神田昌典・著(PHP文庫)p.141-2より

 価格競争から抜け出す知恵

 価格というのは、売る側にとって最も簡単な武器である。
 だから知恵のない会社は、価格を下げることが、競争に勝つことだと思っている。そして価格競争というのは、際限がない。特に売れない時代では、損をしても仕事を取ろうとする会社がごまんと出てくる。それに合わせていたら、いつまで経っても利益の出る仕事はできない。
 もちろん価格は高くてもいいと言っているわけではない。しかし価格以外の判断材料をきちんと提示する必要がある。そして価格以外の、自社の強みをお客に伝えて、そしてその強みを評価してもらうようにしなければならない。

 このセンテンスに触れて、「価格」というのを「待ち時間」に置き換えれば、そのまま薬局に当てはまるように思えた。
 大学を卒業してこのかた、いつの時代も、病院の外来調剤であろうと、保険薬局であろうと、待ち時間の短縮が業務の中で課題とされないことはなかった。
 どんなに薬剤師が服薬指導や安全管理こそ自分たちの最も取り組みべきテーマだと言い、努力を積み重ねてきても、待ち時間のことが問われないことはなかった。

 いや、これからもけっしてなくなることはないだろう。だが、モノとしての薬をもらうだけなら、調剤にかかる価格は全国共通で、保険調剤である以上、“安売り”がなされることもないから、薬剤師の技術や専門性が問われない限り、待ち時間に関心が向けられる。

 逆に言えば、調剤において、薬剤師の知識、技術、専門性が、薬局や薬剤師を選び、かかりつけとするかという中で価値基準化しない限り、待ち時間が問われ続けるだろうということだ。
 待ち時間が問われている時代というのは、薬剤師の専門性に価値を認めてもらえていない、その程度の評価になっていることではないかともいえるのではないか。待ち時間のクレーム解消がテーマになっている薬局は、サービスレベルの低さを間接的に示しているのではないか。

 待ち時間のことで、これ以上とやかく言われたくない、そのためにサービスレベルを上げるのではない。薬局が社会において求められている、健康問題の解決や安全の提供といった本質的責務を果たすことに主眼が置かれ、評価を得ていくなかで、図らずも待ち時間への関心も薄らいでいくものと考える。
 
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