何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

いる社員、いらない社員

2007-11-23 13:03:17 | Book Reviews
トップ人事コンサルタントが明かす いる社員、いらない社員」 小笹芳央・著、ソフトバンククリエイティブ・発行、2007年8月17日

p.72-3 昨日、営業チーム主催の販促イベントの運営に行ってきました。イベントでの私の役割は、1年上の先輩と一緒に会場に来たお客様への資料配布でした。ただ必死に資料を配っていたところ、私と同じように資料を配っているはずの先輩のほうに、私よりお客様が集まってくることに気づきました。
 何かコツがあるのですか? と先輩に聞いたところ、「お客様の緊張がほぐれて楽しく会場を回れるように、資料を渡す時、『ようこそお越しくださいました。こちらの資料に最新の調査結果を載せています。おもしろい結果が出ているのでぜひご覧ください』と一人ずつに声をかけている」とのことでした。
 先輩から学んだことは「一言、加えることで、成果が大きく変わる」ということです。自分の仕事を、単に「資料配布係」とするのではなく、「お客さんの緊張をほぐす係」というエンターテイナーなんだと解釈することによって、行動にも違いが表れ、成果につながるということです。日頃、目先の仕事や作業に追われがちな私ですが、「その仕事の意義を意識して行動する」ことに大切さを学びました。

 同僚との差別化であるとか、ライバル意識のようなものから、このような視点は浮かばないのではないか。顧客に対する考え方の差ではないか。託された資料がはけることで自分が満足するのか、お客さんの喜ぶ顔や笑顔を見て自分もうれしくなるのか、そういう気持ちも大切だろう。サービス精神と言ってしまえばそれまでかもしれないが、サービス業にもかかわらず、サービスというものをじっくりと考えていないことが多い組織が少なくないようだ。

 同じことを任されても、それが全体からみれば一部分の仕事であっても、仕事の本質は何であって、社会の中で果たすべき役割や機能が何であるかわかっていれば、やり方も一味違ったものになろうし、モチベーションも異なる。当然、結果も大きく違ってくる。目先のことを自身のミッションだなどと思って一生懸命にやっても、目先の達成がゴールであれば、たいして考えることなく、目先さえ済めばよいような仕事で終わってしまう。そういう考え方や発想、任務に対する自覚というのは、仕事の本質をどのくらい認識できているか、方針や姿勢として備わっているかだろう。

p.142-3 ある百貨店の店員の話です。
 お客さんに3日後に商品をお届けすることになっていました。お客さんは孫の誕生日プレゼントを購入したのです。ところが3日後、約束の時間になってもプレゼントは届きません。お客さんは怒って、百貨店に電話をかけてきました。
 自己信頼していない百貨店の店員であれば「自分は先日、発想の手続きをしています。何かの間違いか、運送会社の手違いと思います。一応確認してみます」と対応します。自分には責任がないというスタンスに終始します。
 自己信頼している百貨店の店員は、まず「お約束の時間に届いていなく誠に申し訳ありません。お孫さんの誕生日かと思います。すぐに同じ商品を手配してお送りさせてください。商品が届いていない原因も、同時に調べさせていただきます」という対応をとります。

 まず、こういう訴えをクレームなどと受け止める気持ちがあると、相手が困っていることや悩んでいることに想いを馳せることなどできない。どちらに非があるかないか、誰が悪いのか、もし自分が悪ければ謝罪するとしても、間違っていたと言われるのはイヤだ、ないと言われて渡すのは簡単だがそれではひょっとしたら二重に渡して店側が損をしてしまう、などいうようなことが頭をよぎれば、顧客とは対立する関係になる。えてして、接遇は大事などと日頃言いながら、いざこのような相談されるとまるで顧客重視の態度は消えてしまう。建前か取り繕いの顧客満足は、おべっかやお愛想と同じですぐに見破られてしまうだろう。そういうものにはなりたくない。

p.143-4 最近、急成長を遂げているある企業の話です。
 社員数も一気に増え、そろそろ現在のオフィスでは手狭になりました。そこで、より広い新しいオフィスに移転することになりました。
 オフィス移転の時は通常、「移転案内のハガキ」をお客様に送ります。この会社でも顧客データベースをもとに、「移転案内のハガキ」を出力しました。
 一人の社員は、印刷出力したハガキを、流れ作業として、そのまま投函しています。もう一人の社員は、字分が担当するお客様のハガキ一枚一枚に、丁寧にお礼のメッセージを記しているのです。
 「○○さんのおかげで、会社が成長し、このたび移転することとなりました。本当にありがとうございます。今後もご指導ご鞭撻を宜しくお願いします。ぜひ、一度、オフィスに遊びに来てください」と記しているのです。
 今回、オフィス移転するに至ったこれまでのプロセスを思い起こしながら、お客様に対して感謝の気持ちを伝えたい、それを行動に移しているのです。
 この社員は、ハガキを送る仕事の意義を「お客様に感謝を伝えること」だと捉えています。そうすることで、自分の仕事に誇りが持て、自分の存在意義も感じられるようになるのです。

 こういうのも打算的な、計算ずくでは生まれて来ないのではないだろうか。ここまでこれたのも多くの人に支えられてのことであるという、感謝の気持ちが素直に出てきた結果なのではないかと思った。
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