何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

いい薬局の見分けかた

2006-03-01 15:50:42 | 薬局経営
 「正念場を迎えた」なんていう言葉は、これまで繰り返し使われてきたフレーズであるが、いったい正念場って、何回迎えれば気が済むのだろう。

正念場を迎えた薬局・薬剤師 薬事日報 2006.3.1 より一部を転載
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 医療法等の一部改正法案に「調剤を実施する薬局」が、医療提供施設として明記された。薬学教育への6年制導入、診療報酬改定、一般用医薬品販売制度の見直しなどと合わせて、薬局・薬剤師は将来への展開に向けて、正念場を迎えたと言えるだろう。

 薬学教育6年制の施行を4月に控え、薬学生実務実習受け入れ施設としての薬局のあり方、指導薬剤師としての資質など、ここ数年、薬局に求められている要件は決して小さくない。同時に過去の医療法改正で、薬剤師は医療の担い手としての位置づけが明確にされたが、今回の改正案は、医療提供施設として薬局を位置づけるものであり、責務はさらに重くなってくる。

 調剤薬局をめぐる最近の状況を見ると、広域病院周辺への乱立、調剤薬局チェーン間の激しい過当競争などが目につく。しかし薬局の経営は、「儲からないから廃業する、撤退する」と、簡単に割り切ってよいものではないだろう。患者の立場に立った考え方が全くなく、薬局・薬剤師側の手前勝手な論理だけで経営するようでは、医療提供施設としては落第である。調剤薬局にとってバブルの時代は過ぎ去った。今後は、患者の信頼を勝ち得た薬局だけが生き残っていくことを、改めて心に銘記する必要があろう。

 訴訟までは至らなくても、薬剤師として自らを省み、律することが求められるケースも少なくないと思う。薬剤師の行動を見ると、「周囲に注意して観察すれば、自分の置かれている立場や状況が分かるはずなのに」と思われる事例が、少なからず見受けられる。それだけ大きな視野で、あるいは相手の立場に立って考えたり、行動することが得意ではないのかもしれない。しかし、薬剤師を取り巻く環境の厳しさを考えると、苦手とか不得手で済ませられることではない。患者サイドの視点を持つことは大きな課題である。

 結局、重要なのは地域住民、患者の信頼を勝ち取ることであり、それが地域の医療提供機関、ヘルスステーションとしての薬局、そして薬剤師の役割であろう。視点を変えることによって正念場を乗り切り、新しい時代の薬局、薬剤師としての存在を確固たるものとしていく。
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 あるチェーン薬局では、薬局を「会社」と位置づけて、調剤報酬の改定による収入ダウンを考慮し、新年度は利益を得ることこそ最大の目標だと言い切っているという。このような見解を、社会の要請や時の流れと照らし合わせて、いったいどのように解釈したらよいのだろうか。

 このチェーンは、患者の安全確保だの、要望に応じることのできる薬局ということも言っているらしい。右を向いて言う言葉と、左を向いて言う言葉の中身が正反対である。教育は、利益を生む社員の育成なんだとか。

 利益優先が社会問題を巻き起こしていることは、昨年の重大ニュースに共通する概念だったはず。それを知っての方針なのかどうかは知らない。

 利益優先であれば、すべては稼ぐために行われるのであって、患者サイドとしてはたまったものではない。患者中心の医療ではなくなるから、たいして心のこもらないものになるであろう。そこに勤務する薬剤師も、薬剤師の魂を捨てろ、といわれているようで、やりがいもなく、モチベーションもあがらないことは容易に推測できる。

 薬局も医療の一部であり、何かと矛盾を抱えた中での決断や選択を迫られることが多い。その時に利益のほうを向いた決断をされたら、患者はいったいどうなるのだろうか。

 表面的に何を言おうと、患者サイドは薬局のスタンスを測るとよい。いいかげん薬局を選ぶ時代に来ている。患者の相談にどこまで係わってくれようとしているのか、ビジネスライクにカタチ程度の係わりで済ませようとしているのか。

 春から処方せん様式が変更され、ジェネリックの選択ができる道が開けてくる。たとえばそこでどのような観点で説明を受けるのか、親身か、事務処理的に扱われるにすぎないのか。副作用や相互作用の説明にどれだけ熱心か、患者さんと医者との間に入って、どれだけ患者の味方になってくれるか。

 このようなことを評価して、この際、薬局も命を預ける医療提供施設に位置づけられるのだから、病院に近いだけで利用していていいのだろうか。その実力や腹の中を見直してみるにはいいチャンスなのかもしれない。
 正念場なんだから、ダメなら淘汰されるのも仕方ないという覚悟で、薬局も患者も臨むことを望む。
Comments (2)
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