新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

ウンヌケ:愛知県森林公園植物園の植物 1)

2012-10-17 09:28:28 | 植物観察1日1題

名古屋の北東部尾張旭市にある愛知県森林公園植物園へ行ってきました。
森林浴百選にも選ばれている自然林のなかに作られた植物園内には広大な芝生や、沈床花壇などが設けられてゆったりとした散歩を楽しめます。
園内にあるいくつかの湿地は貧栄養、酸性が特徴で、東海丘陵要素植物と呼ばれるこの地方固有の植物が多く生育しています。なかでも有名なのは、東海地方にだけ分布するシラタマホシクサ(ホシクサ科)で、その大群落は見事なものです。(10月8日むかごの高槻記事)ウンヌケ(イネ科ウンヌケ属)も東海丘陵要素植物に含まれるひとつです。
原野の日当たりのよい草地に生える多年草で、茎は束生し、太く、高さは80cmくらい、葉の長さ30cm、下部はさやとなって茎を包み、黄褐色の軟網を密生します。面白いのは葉が根元の方で反転し、裏が表になることです。
秋、葉より高い茎の頂に1方に傾き小穂をつけ、濃い黄褐色ののぎがあります。
変わった和名は、尾張地方の方言で牛の毛は転訛したものだそうです。

キイジョウロウホトトギス:紀伊上臈杜鵑(気品ある美しさ)

2012-10-16 05:52:36 | 植物観察1日1題

六甲高山植物園で見たキイジョウロウホトトギス:紀伊上臈杜鵑(ユリ科ホトトギス属)です。
昔から紀伊半島南端の古座川、那智山、熊野川渓谷の岸壁に自生していた熊野地方特有の多年草ですが、いまや希少種となり環境省レッドリストの絶滅危惧IB類(EN)の指定をうけています。
良く似たものに母種といえるジョウロウホトトギスがあり、区別は、葉っぱの基部の両方に耳があるものがキイキョウロウホトトギスで、片方だけに耳があるものがジョウロウホトギスといいます。ジョウロウホトトギスは、本州紀伊と四国山地の深山の崖に垂れ下がって生え、ときに観賞用として栽培されています。
いずれも葉は左右に2列に互生、長さ7~13cm、夏に咲く花は長さ4cmくらい、鮮黄色で内面に紫褐色の斑点があります。
和名は紀伊に生え、花が上品で美しいので宮中に仕える女官、上臈の美しさにたとえたものです。

イヌゴマ:犬胡麻(イヌでもかわいい)

2012-10-15 07:04:35 | 植物観察1日1題
秋の気配が漂いだした」淀川の河川敷にイヌゴマ:犬胡麻(シゾ科イヌゴマ属)が、今も花をつけていました。
果実がゴマに似ているが、利用できないことからこの名がありますが、イヌの名前がついてるおおくのさえない他の植物に比べて、花のきれいさからはこの名は少し可哀そうな気もします。
山野の湿地に生える多年草で高さは30~70㎝、四角形の茎には短い下向きの刺上の毛があります。
7~8月、茎の上部に淡紅色の唇形花を段々に輪生します。
花は長さ約1.5cmで、下唇に赤い斑紋があります。

メガネツユクサ:眼鏡露草(白ぶち眼鏡の)

2012-10-14 07:12:59 | 植物観察1日1題

ある植物園に咲いていたツユクサにメガネツユクサ:眼鏡露草(ツユクサ科ツユクサ属)の名札がありました。
花のサイズがツユクサとオオボウシバナの中間というメガネツユクサは、やや縮れた形状の花弁の端が白っぽくなっているので別名をフクリンツユクサ:輪露草ともいうそうです。草丈は30~50cm、花期は6~9月で、花と草丈がやや大型、花弁の縁が白いフリル状になっている以外はツユクサと同じようです。
園芸種として売られていますが、ネットには、「こぼれ種で良く増えて、抜くのが間に合わないくらいの生命力があり、 可憐だが増えすぎて困る植物でもある。」とありました。そんなことを知ると急に有難味が薄れました。

シマツユクサ:島露草(島から北上?) 

2012-10-13 17:10:38 | 植物観察1日1題

淀川の河べりの木の陰に色が淡くて少し小ぶりの花をつけたツユクサを見かけました。
場所が場所だけに、たまたま栄養不良か何かとも思いましたが、一帯に咲く花はみな同じなので別種と思って調べてみますとシマツユクサ:島露草(ツユクサ科ツユクサ属)だとわかりました。
ツユクサに似ていますが、花は淡紫色で小さく、苞の幅が狭く先が長くとがるので、苞の幅が広く先が短くとがるツユクサと区別できます。
果実はツユクサが2室であるのに対して,3室となっています。
名まえの“島”は九州、沖縄に分布することからきているようですが、最近では本州でも広く分布しているようです。

ミヤマナラ:深山楢(晩夏の花と実・八方尾根15)

2012-10-10 07:34:40 | 植物観察1日1題
ミヤマナラ:深山楢(ブナ科コナラ属)が可愛い実をつけていました(9月1日撮影)。本州の中部地方以北の亜高山帯に生える雌雄同種の落葉低木で、積雪の多い日本海に多く、風当たりの強い斜面や尾根筋に多く生えます。
幹の下部は地に伏し、よく分枝して高さ1.5~5mになります。互生する葉は長さ5~11cm、幅2.5~7cmの倒卵状長楕円形で先はややとがり、基部はくさび状に細くなって短い柄に続き、ふちには鋭い鋸歯があります。
低地の普通のナラは、秋にさえない茶褐色に色づきますが、ミヤマナラの紅葉はかなりきれいなものです。(06年10月14日記事)撮影時青々していたミヤマナラも今は色づいているはずです。
8月30日~9月1日の五竜尾根、栂池高原、八方尾根で観察した植物をシリーズで紹介してきましたが、できるだけ多く取り上げようとしたため、ずいぶん長くなり、季節のずれも大きくなってしまったことをお詫びします。

オオイタドリ:大虎杖(晩夏の花と実・八方尾根14)

2012-10-09 08:24:06 | 植物観察1日1題
亜高山帯周辺に生える大形のイタドリはオオイタドリ:大虎杖(タデ科イタドリ属)です。低山から亜高山帯の砂礫地や道端などに群生することが多く、普通のイタドリよりかなり大きくて高さは3m近くになり、葉も大きく長さ30cmちかくになります。
葉の裏が白いこと、葉の基部がハート形になることが普通のイタドリとの見分けのポイントになります。
雌雄別株で、花期は7~9月です。
紅色を帯びる若芽はイタドリと同じように山菜として利用されます。

ハッポウウスユキソウ:八方薄雪草(晩夏の花と実・八方尾根9)

2012-10-08 07:52:09 | 植物観察1日1題
ハッポウの名がつく植物の多くは八方尾根特産種ですが、このハッポウウスユキソウ(キク科ウスユキソウ属)は、八方尾根と隣の遠見尾根でも確認されています。
ミネウスユキソウの変種とされ、茎葉が45~60°に斜上するところが、斜上しないミネウスユキソウと異なります。頭花は茎の先に多数つき、柄は殆どありません。
アルプスなどの高山に生えるエーデルワイスの近縁とされるミヤマウスユキソウの仲間は、名前を変えて各地の高山帯に分布していて、その区別は容易ではありません。

ミヤマタンポポ:深山蒲公英(晩夏の花と実・八方尾根13)

2012-10-07 08:29:30 | 植物観察1日1題
八方池の周辺にミヤマタンポポ:深山蒲公英(キク科タンポポ属)が群生していました。
白山から日本アルプス北部、妙高、戸隠にかけての高山帯の岩礫地や草地に特産する多年草です。
タンポポの仲間はおもに総苞片の形や突起で区別されますが、ミヤマタンポポの総苞には突起がないのが特徴といい、舌状花の筒部の長さは約5mmで色が浅いというのですが、他種との区別はたやすくはないようです。
むしろ特徴があるように見えたのは、冠毛が車状についた果実でした。そう果は長さ3.5~4mmの狭卵形で淡褐色、先端は細く伸びて長さ8~9mmの冠毛柄になります。

ミヤマママコナ:深山飯子菜とミヤマコゴメグサ:深山小米草(晩夏の花と実・八方尾根12)

2012-10-06 17:37:56 | 植物観察1日1題

八方尾根にミヤマママコナ:深山継子菜(ゴマノハグサ科ママコナ属)とミヤマコゴメグサ:深山小米草(ゴマノハグサ科コゴメグサ属)が混じって咲いていました。
ママコナの仲間は半寄生植物の1年草で、紅紫色の花冠は筒状で先は唇形となり、下唇は浅く3裂して内面に黄白の2条の隆起があるので、これを米粒に見立てて飯子菜の名があるといわれますが、別に未熟な種子が米粒に似ているからという説もあります。本州の山地帯~高山帯と北海道西南部に分布し、苞に鋸歯がないところが、他地方のママコナと異なるといいますが、見た目での区別は難しいようです。

同じところに咲いていたミヤマコゴメグサは本州東北地方~近畿地方(日本海側)の山地帯~高山帯に
生える小形の1年草で、花は上部の葉脇に1個ずつつき、花冠は唇形で白に紫色の筋があります。上唇は長さ約8mm、下唇は長さ約1cmで3中裂し、中裂片に黄色の斑点と軟毛があります。
コゴメグサは小米草と書き、小さい白い花を小米に見立てたものです。亜高山帯~高山帯のものはすべて萼が鐘形のミヤマコゴメグサ群ですが、多くの変種があり学者によって異なる和名系図があるそうですが素人の手には負えないはなしです。

ミヤマダイモンジソウ:深山大文字草(晩夏の花と実・八方尾根11)

2012-10-05 08:19:26 | 植物観察1日1題

白い5枚の花弁が不ぞろいで、下の2枚が長いため全体の花の形が「大」の字に見えるのでその名があるダイモンジソウは、各地の低山から高山までの湿った岩の割れ目などに生える多年草で、分布域が広いため変異の幅も大きく、様々な園芸種もつくられています。
八方尾根に咲いていたのはミヤマダイモンジソウ:深山大文字草(ヒキノシタ科ユキノシタ属)で、中部地方以北と北海道の高山帯の岩隙や斜面の草地に生え、高さ15~25cm、茎は根茎から2~5本がほぼ直立し、ほとんど毛はありません。葉は腎円形で大きさは2~3cm、花は茎の上部に5~10個がまばらにつきます。
ダイモンジソウより小形といいますが、区別は難しいようです。八方尾根に咲いているからミヤマかと思いながら歩いていると、ちゃんとそのように名札がついているのに出会いました。

ハッポウタカネセンブリ:八方高嶺千振(晩夏の花と実・八方尾根10)

2012-10-04 08:51:47 | 植物観察1日1題

ハッポウタカネセンブリ:八方高嶺千振(リンドウ科センブリ俗)も八方尾根に生育する固有種で、北アルプス北部に分布するタカネセンブリの蛇紋岩変種とされています。
花径は1cmほどで、淡青紫色に濃青色の斑点があります。八方尾根には比較的多く生育しており、花は小さいが、よく分枝した茎の先に数個つくので、結構見つけやすい花といえます。

ハッポウアザミ:(晩夏の花と実・八方尾根8)

2012-10-03 13:57:04 | 植物観察1日1題

八方尾根に咲いていたハッポウアザミ(キク科アザミ属)です。
手許の図鑑ではハッポウの名がついた植物が8種載っていて、そのうち7種が八方尾根特産種となっており、このハッポウアザミもその一つになっています。
茎は上部で分岐し、薄いクモ毛があります。頭花は主茎および長い柄の先に上~横向きにつけ、総苞片は斜上または平開していて粘りません
アザミの仲間は各地に固有種があり、区別が難しいものですが、このハッポウアザミにはちゃんと名札がついていました。

タカネネデシコ:高嶺撫子(晩夏の花と実・八方尾根7)

2012-10-02 17:40:16 | 植物観察1日1題

八方池の近くにタカナナデシコ(ナデシコ科ンデシコ属)が咲いていました。
本州中部地方以北の高山帯の砂礫地などに生える多年草で、高さは20cmくらい、カワラナデシコの1変種とされています。
7~9月に咲く花は茎の先に1~3個つき、直径4~5cmで紅紫色、花弁は5個で、細かく3分の2くらいまで切れ込みます。下部は細い爪状になり萼筒の中にあります。
シナノナデシコ(9月9日記事)と違い、花が大きく、深い切れ込みがあるのでよく目立っていました。

キンコウカ:金黄花(晩夏の花と実・八方尾根6)

2012-10-01 13:44:23 | 植物観察1日1題

八方尾根のあちこちに花が終わりかけたキンコウカ:金黄花(ユリ科キンコウカ属)が見えました。
鮮やかな黄色の花が咲くのでこの名があり、金光花とも書きます。
本州近畿地方以北、北海道の山地帯~亜高山帯の湿原、湿地や渓流ぞいなどに生える多年草で、しばしば群生します。
葉は根元に2列に並んで互生し、長さ10~30cmの線形で先は剣状にとがります。花をつけない茎と花をつける茎があり、7~8月、花茎の上部に星形に開いた直径2cmほどの6弁の花を総状に10~20個つけます。花が終わると花弁は緑色に変わってそのまま残ります。