新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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コオニタビラコ:小鬼田平子(混乱する名前)

2012-01-07 10:15:06 | 植物観察1日1題

日は七草粥の日です。
秋の七草は、秋の野に咲く七種の花と山上憶良が詠ったそのままの名で現代も通っていますが、春の七草の方は、その起源も諸説があり、また一般にいわれている、せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろの中で、現代でもそのままの名で呼ばれるのはセリ、ナズナだけとなります。
なかでも混乱しているのが“ほとけのざ”です。古い文献では七草の中にホトケノザとタビラコが両名並ぶのもあるそうで両者は別種とされることもあったようですが、七草のホトケノザを牧野富太郎がコオニタビラコと同定してからは、いまではこれが広く受け入れられています。
コオニタビラコ:小鬼田平子(キク科ヤブタビラコ属)となった旧ホトケノザは、水田に多い2年草で、田起し前の水田に放射状に平たく葉を広げる様子から田平子と名がつきましたが、ムラサキ科のキュウリグサも別名タビラコと呼ばれることからこれと区別するため、よく似たオニタビラコの小形ということでコオニタビラコが正式の名になったといわれています。くわえて、昔はサンガイクサ(三階草)といわれたシソ科の植物がホトケノザという名を得て、道端に多量に繁殖するようになってからは、七草のホトケノザは名前としては全く忘れられることになりました。
せっかく立派な名を持ちながら、他人に名を盗られただけではなく、オニの名までつくという悲しい運命をたどることになった仏の座は、いまではその数も少なくなって何やら寂しげです。