新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
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スイタクワイ:吹田慈姑(禁裏献上の味) 

2012-01-03 14:57:44 | 植物観察1日1題

いつもお米を届けてくれる摂津の農家の方から正月用にとスイタクワイ:吹田慈姑(オモダカ科オモダカ属)をいただきました。
塊茎に角のような芽が出るので“お芽出たい”とおせち料理に欠かせない野菜ですが、なかでも吹田クワイは一般のものに比べると味がほっくりとして濃く、独特のほろ苦さの中にうまみがあり珍重され、
貝原益軒の「大和本草」にも取り上げられ、食通としても知られる大田蜀山人も美味なるものとして狂歌で歌っています。
江戸時代には、吹田が仙洞御所の御料地であったこともあり、菊の御紋のついた竹製の大名駕籠を模した献上駕籠に吹田クワイを乗せて本御所・仙洞御所、女御御所、大宮御所の四つの禁裏に献上したといわれます。
この貴重な野菜も、昭和30年代、吹田市内の水田の急速な宅地開発化と除草剤の多用化に伴い次第に姿を消してゆきます。
そこで昭和60年頃から「吹田くわい保存会」などの努力によって「なにわの伝統野菜」として保存・育成がはかられています。
頂いた吹田クワイ、普通のクワイに比べて姿は小ぶりですが、栗のような食感で結構なお味でした。