At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Happiness Has Your Name / Romano Mussolini Quintet

2007-06-07 | Contemporary Jazz
故ロマーノ・ムッソリーニが晩年の1996年にひっそりと吹き込んだ一枚。知っている人は知っているイタリアのマイナー・レーベルのPenta Flowersにおいて、おそらく最も有名な作品がコレかと思われます。詳細は分かりませんが、過去にレア盤本にも取り上げられたそう。ここを読んで下さっている人の中にも、探している方がいらっしゃるのではないでしょうか。内容的にはいわゆるコンテンポラリーなモダン・ジャズ。取り立ててクラビーな楽曲やバリバリのハードバップが収録されているわけではありませんが、全体的に非常に円熟した演奏となっているため、部屋で聴く分にはなかなか良いです。少し前に話題になったIdea 6のアルバムに近い雰囲気。演奏メンバーこそ違うものの、どちらも彼の地における伝説のジャズメンの新録ということで、コンセプト的にも近いものがあるのかもしれませんね。Idea 6におけるバッソとピアーナのポジションに、本作ではリーダーでもあるロマーノとトランペットのチッチ・サントゥッチを起用。どちらも50年代から活躍する大ベテランらしく、円熟した大人味のある演奏を展開していて良い感じです。個人的にはM-10のEasy Lineがお気に入り。Quintetto Lo Greco辺りの最近のSchema作品にも通じるモーダルなバップで、派手さはないものの洗練されたイタリアン・ジャズを堪能出来る一曲になっています。テナーのフランセスコ・サントゥッチ(チッチの息子に当たるのでしょうか)のソロも良い感じですね。ボサノバのリズムで演奏されるM-5のタイトル曲もなかなか。明るいジャズ・サンバではなく、少し陰のあるモーダルなボサ・ジャズをお探しの方にはツボなのではないでしょうか。現在既に廃盤となってしまっているので、CDとは言え手軽に購入出来る作品ではありませんが、もしもどこかで見つけた際にはチェックしてみてください。
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The Call / Timo Lassy

2007-06-05 | Contemporary Jazz
こちらもRicky-Tickの新譜。例のTFCQプロジェクトにも参加していたサキソニスト、Timo Lassyによる2作目のリーダー作です。何だか今月アルバムがリリースされるらしく、本作はその先行カットとのこと。例によってD.M.R.が強烈にプッシュしていますね。トランペットのJukka Eskolaなど参加メンバーがほとんどTFCQそのものなので、巷ではそれなりに話題になっているのではないでしょうか。ただし本作はあくまでTimoのリーダー作。いかにメンバー編成が似ていようと、やはりTFCQとは少々趣きの異なるサウンドになっているので要注意。良くも悪くも荒々しい印象を受けます。AB両面1曲ずつ収録となっていますが、大衆受けしそうなのはA面のタイトル曲。一聴しただけでは思わずGerardo Frisinaの作品と間違えてしまいそうな、パーカッシヴなラテン~アフロ・キューバン作品になっています。何より理屈ぬきにノリが良いので、恐らく今後クラブなどでも良くかかることになるのでしょうね。最も個人的にはあまり派手すぎる曲は苦手なこともあって、どちらかというとB面のSweet Spotの方が好み。こちらはカツカツカツと打つビートが格好良い高速ジャズ・ボッサに仕上がっています。あまり大した展開がないのが玉に傷ですが、全体的に1曲通して安定しているので悪くはないかと。ただ、やはり本音を言えば早いうちにTFCQとしての新譜が聴きたいところ。それもストリングスやヴォーカルが入らない初期作品のような硬派なものを望みます。まぁ色々とセールスのことを考えると難しいのかもしれませんが…。とは言え、本作も近年のNu Jazzとしてはそれなりの出来。たまにはモダン系の旧譜だけではなく、こうしたクラブ方面の新譜を聴いてみるのも面白いものですね。Gerardo Frisinaのようなラテン系のニュー・ジャズが好きな方にはオススメです。
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Easy Does It / LTC

2007-06-02 | Contemporary Jazz
お馴染みRicky-Tickレーベルから届いた新作。しかしながら、本作の主役はTFCQやDalindeoのメンバーのようなフィンランド人ではなく生粋のイタリア人。おまけに録音自体もバーリで行われているので、これまでの同レーベルの作品とは若干趣きの異なる興味深い一枚に仕上がっています。ちなみにユニット名のLTCは、L=Lussu・T=Tucci・C=Ciancagliniとメンバー3人の名前の頭文字から取ったものだそう。ここまで書けばコアなリスナーは分かると思いますが、この新人ユニットの正体、実はニコラ・コンテお抱えバンドのリズム隊によるピアノ・トリオです。ニコラのバンドと言えば、どうにもFabrizio Bossoの圧倒的な功績にばかり目が行きがちですが、実際には(当然ですが)他のメンバーも粒揃い。特に本ユニットにおける実質的なリーダーであるピアノのPietro Lussuなど、一般的にはさほど評価されていないものの相当の腕前だと思います。と言うよりも、最近のニコラ作品をニコラ作品たらしめているキーマンが彼。もっと評価されても良い気がするのですが…。さて、本作はそんなLussuらトリオによる軽い挨拶代わりの一枚。近々リリース予定というアルバムからの先行12インチという形になっています。ジャケットの質感通りダークな雰囲気で迫るタイトル曲も良いですが、個人的には裏面に収録されたMenino Das Laranjasに軍配。ミルトン・バナナの軽快なトリオに欧州特有の翳りを加えたような、マイナーコードで疾走する高速ジャズサンバになっています。バーリ録音ではあるものの、どことなく北欧的な雰囲気も漂う好ナンバー。ニコラが昔プロデュースしていたQuinteto Xの発展型とでも言ったところでしょうか。ご覧の通りジャケットも相当格好いいので、ご興味のある方は是非一度聴いてみてください。オススメです。
コメント (2)
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