近年マニアの間で再評価著しい和ジャズ。数年前の白木秀雄のレア音源復刻を皮切りにして、ジャズ批評誌での2号に渡るフックアップから、その後のThinkレーベルによる一連の再発へと続き、ついには先日クラブ・ミュージック系雑誌のremix誌でも大々的に取り上げられるという快挙(?)まで成し遂げたこのムーヴメント。既に何度か触れているように、僕自身としてはブーム自体にそれほど興味はなく、某中古チェーンによるこの自演劇を横目で眺めながら、黙々と他のレコードを漁り続けているわけですが、だからと言って何も和ジャズ全体を否定しているのではなく、僕の好みに合いそうなものに関しては時々こうやってチェックしています。さて前置きが長くなりましたが、本作は以前にここでも取り上げたミッドナイト・イン・トウキョウの第3集にして、1957年5月27日に「日比谷クラブ」で行われたジャム・セッションの様子を収めた実況録音盤。「楽団単位ではなく個人のプレイにスポットを当てる」というコンセプトの元で製作されたため、楽曲ごとにメンバーは流動的なものとなっていますが、いずれの演奏も当時の日本におけるモダン・ジャズの最高峰と呼ぶに相応しい名演で、同時期の欧米ジャズと比べても何ら遜色のない抜群のプレイが存分に楽しめるようになっています。個人的にはB-1のI'll Remember MayとB-2のPlug And Conectorがお気に入り。どちらも三保敬太郎のペンによるオリジナル作品ですが、知らずに聴いたらこれが50年も前の作品とはとても思えぬ、非常にソフィスケイトされた仕上がりに驚きです。バークリー音楽院留学前のナベサダが参加するB-3のThe Bluesもまた素敵ですね。クボタタケシ氏の言葉を借りるなら、「日本人だからカッコいい」でも「日本人だけどカッコいい」でもなく、「カッコいいものはカッコいい」を改めて感じることの出来る1枚。文句なしのオススメ盤です。
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