酔月庵 A Side

設計屋系システム屋から見た世界

選挙結果雑感

2005-09-12 02:43:03 | 時事
 衆議院選挙は自民党が大勝、民主党が大敗。

 民主党の敗因について、自民党の分かりやすいアピールに負けた、という言い方をしているけれど、そんな事は原因の一つでしかない。そんな風に有権者をバカにして頂いては困る。有権者は選挙期間中に受け取ったメッセージだけで投票行動を決めているのではない。

 有権者は、選挙の前だけ政治に興味を持っているわけでは無い。国会で何が議論されているか、そのときに与党や野党がどのように行動しているのか、有権者はテレビや新聞や、そしてネット上の記事から、有権者は政党や政治家の行動を見て記憶している。有権者は、与党の政策にただ難癖をつけて反対しているだけにしか見えない民主党の姿をずっと見てきている。建設的な議論をしようとせず、何でも否定から始まる姿をずっと見続けている。

 有権者は決して選挙カーから流れる単純なメッセージや選挙ポスターのキャッチフレーズで投票行動を決めているわけでは無い。たとえ選挙期間中に候補者が争点をはっきりさせるために単純なキーワードしか発しなかったとしても、その他の論点に対する意見は、マニュフェストだけでなく、政党のホームページや、過去のニュースのログとしてWeb上に数多く存在する。ネットに接続できる環境にある人間であれば、多かれ少なかれ、これの情報を参考にするはずだ。
 例え公職選挙法のために選挙期間中に政党や候補者のホームページが更新されなかったとしても、それまでに発言・発信してきた記録は残っている。例えば、「国家主権の委譲」や「沖縄ビジョン」のキーワードで検索すると出てくる話題のように。(最初にこの話題をネットで知った時には、フィッシングに引っかかったかと思いました。改めて順を追って辿ってみて、これが党として公式なものだと知って愕然としました。)

 公職選挙法による制約があったとしても、それ以前に発言された記録が検索されるというそれだけでも、ネットが選挙に与えた影響は非常に大きなものだったのではないかと思います。(街頭で配っている紙のマニュフェストを読むより、ネットで政党のサイトを見た方が情報量が多いですし。色々な論点やネット上の議論も知ることができます)
 ネットを得た有権者は、法整備の遅れなどものともせず、既に啓蒙されているのでは無いでしょうかね。

 え?有権者の大半の年配者はネットで政治の話題の検索なんてしない、とおっしゃいますか?しかし、彼らの子や孫の世代は、当たり前のようにネットを使いこなしています。そして、ネットを使う世代にとって、政治の論点は自分の未来に関わることですから、親や祖父母の世代に対して何かしらの働きかけを行うのでは無いでしょうか?
 特に今回は選挙前にお盆休みがありました。全国各地で、帰省した若い世代と親や祖父母の世代とで選挙の事が話題として上がった事でしょう。そして、きっと親や祖父母の世代は、子や孫の未来のために、子や孫の意見を尊重したのではないでしょうか?
 ネットは既に、選挙に対して少なからぬ影響を与えていると私は思います。そしてそれは政治や政策に対しての感心の高まりを意味し、歓迎すべき事だと思うのです。


 さて、話は戻って。今回何故ここまで大敗したのか、民主党には真摯に「支持されなかった」事を反省して、次の選挙までには国民に支持される「実力」をつけて欲しいものです。競争の市場原理が働いてこそ、より良いものが生まれると信じていますので。是非よりよい政策、より良い代案を提案して欲しいものです。そういう事の積み重ねが、選挙での投票行動につながると思うのですよ。