菊芋

熟れ初めし柿に差しくる朝日影
午後二時の露草すでに店じまい
菊芋に居りしかまきり我を見る

禅寺に人影は無し紅芙蓉

団栗

秋涼の朝の空気を部屋に入れ
虫の音の坂道自転車が登る
青団栗いくつも落ちて森の道

たっぷりと九月のパスタランチかな

秋彼岸

霧深く秋の彼岸に入りにけり
紅と白萩咲く藩主の墓所
稲刈りを終えし機械に油さす

イタリアン食べて秋陽のなかへ出る

秋の昼

優嵐スケッチブック


台風は沖へ去りたり残る雨
ふんわりとホットケーキや秋の昼
街灯を映し刈田の水溜り

秋高し山門は誰を迎えおり

秋晴れ

大阪湾囲みてぐるり秋の晴れ
なつかしき味の林檎をいただきぬ
秋空を映してビルは秋空へ

刈られるを待つ田の前に鶏頭燃ゆ

秋陰

夕暮れがいつか秋夜となっており
秋夜明け雲ひいて飛ぶ航空機
秋陰に低く見えたり淡路島

秋の薔薇清しく午後の陽に立てり

秋暑

静かなる土曜の朝に梨を剥く
秋晴れや新築二軒建ちあがる
ぐんぐんと雲湧き上がる秋暑かな

さわやかに禅寺の松の青さかな

刈田

晴天にぽつぽつ刈田の増えてゆく
長き夜をたっぷり眠ることにする
中秋や修理の天守を近く見る

垂れ揺れて風に咲きたる萩の花

つゆくさ

機は西へ秋の夕陽の中をゆく
つゆくさや散りばめし高き空の色
産地直送二十世紀を買いにけり

底紅を咲かせ続けてへんろ道

秋の夜

秋の夜やブルームーンの話する
快晴にぽんと置かれし秋の雲
澄む秋の頂に集う揚羽蝶

鯖雲や公民館のうえ流る