俳句の部屋

俳句ブログ 花冠同人/高橋秀之

9月1日~30日

2015-10-03 23:53:44 | Weblog
9月1日

鈴虫の音色は寝付きの歌がわり★★★
(添削)鈴虫の音色を寝付きの歌に聞き

鈴虫が役所の玄関口で鳴く
(添削)市役所の玄関口に鳴く鈴虫★★★★

秋の夕暮れ時に降る急な雨★★★

9月2日

参道の日影で休憩法師蝉★★★
機上から見ても形はうろこ雲★★★

旅先の地図を片手に秋の朝★★★★
地図を片手に旅先の道を歩く。さわやかな季節の秋の朝だからこそ、
地図を楽しみつつということになる。 (花冠主宰:高橋正子)

9月4日

大皿をはみ出し並ぶ焼きサンマ★★★
各々がサンマ一匹平らげる★★★

サンマ焼く香りが部屋に満ち満ちて★★★★
サンマを焼けば、部屋はサンマを焼く匂いが立ち込める。
「満ち満ちて」というからには、たくさんのサンマが焼かれたことだろう。
庶民の飾り気のない生き生きとした生活が詠まれている。
(花冠主宰:高橋正子)


9月5日

ガレージに秋の蚊一匹ふらふらと★★★
風呂上りコップに一杯柚子ジュース★★★
日が暮れて星が現る高き空★★★★

9月9日

ただいまの声より前に梨あるよ★★★
台風が過ぎて大空星多し★★★

瀬戸内を大きく跨いで秋の虹
(添削)瀬戸内を大きく跨ぎ秋の虹★★★★
瀬戸内の海を大きく跨いで架かる虹が、大きな夢を見させてくれる。
大きな虹の弧をくぐって、晴れ晴れとした世界へゆきたいような気持になる。
(花冠主宰:高橋正子)

9月10日

飲み会を終えて帰りの秋の空★★★
秋の夜の始発駅で待つ列車★★★★
秋の夜の夫婦の会話のすれ違い★★★



■2015年9月ネット句会
■入賞発表/2015年9月14日

【銅賞3句】
★赤とんぼの群れに真っ直ぐ突入す
「真っ直ぐ突入す」が男らしいところ。
 赤とんぼの群れに突入した愉快さいい。(高橋正子)

【高橋正子特選/8句】
★目の前を右に左に赤とんぼ
 涼しい風が吹き始めると、どこからともなく赤とんぼの数がふえて、
 自由きままな感じで飛びかっています。とんぼが飛び始めると、
 もうすっかり秋になったという気持ちになります。(井上治代)


9月18日

梨の皮慣れぬ手つきで剥く息子★★★
口の中にじわっと水分冷えた梨★★★

玄関のチャイムが鳴って月明り★★★★
玄関のチャイムに戸を開けると月の明かりが差し込んだ。
平和な月明かりの夜だ。(花冠主宰:高橋正子)

9月19日

秋日差す京都御苑の砂利の路★★★
秋雲は鴨川上流の山の上★★★★
秋風に吹かれて歩く河川敷★★★

9月24日

実家へと立ち寄り大きな栗を食う★★★
栗茹でる母は実家の台所★★★

秋分やバスに供花持つ家族連れ★★★★
秋分の日のバスに乗ると供花を持つ家族連れに出会った。
家族揃って墓参りをする人の温かさが「供花」を通して伝わる。
(花冠主宰:高橋正子)

9月27日

中秋の月を探して大空を★★★★
寝る前に我が家の窓から月を見る★★★
実家からもらった柿はまだ固し★★★


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。