花冠俳句叢書

花冠発行所 主宰高橋正子

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第Ⅰ期 第24巻「南港」高橋秀之句集

2009-04-07 16:58:40 | Weblog
  序

 高橋秀之さんは、大阪に生まれ、大阪で育ったので、大阪の良さを身に付けている。その俳句にも人間らしい暖かさがある。職場は、大阪港で、そこは、海の彼方へと大きな世界が広がっている。
 
 貝寄風に吹かれて広き大阪港
 桜舞う天保山に船が入る

 大阪の街と人によって育てられた俳句は、大きくて、安心のできるもので、読み手の心に触れて嬉しい。俳句が大きいばかりでなく、ひろびろとした世界を展開する。

 大空へ放つ七色出初式
 さよならの声高らかに日脚伸ぶ
 三が日溢れんばかりの靴の数

 本句集は、ふるさと大阪を詠んだ句に良い句が多いが、日常の家族を詠んで佳句を得た。三兄弟を詠んで、句が生きいきとしている。家庭のいい生活を見せてくれる。

 春の夜や寄り添い眠る三兄弟
 菖蒲湯が狭しと浸かる三兄弟

 家族と居る生活が楽しい。誰もが思い出に残す楽しさが俳句にある。

 抱き上げて葡萄の房が子の高さ
 堤防のものの芽踏んで鬼ごっこ
 朝日浴びゆらゆら揺れるしゃぼん玉
 行楽の帰り優しきいわし雲

 母や妻を詠んでも、その暖かさに変わりが無い。

 梅を干す夕暮れ時の母と妻
 秋茄子を洗う妻の手紺が付く

 秀之さんの大きくて暖かい世界は、虫の声や赤とんぼを捉えて、

 子の眠る深夜の部屋に虫の声
 キャッチボールする間をすっと赤とんぼ

という俳句が生まれた。子ども達と虫達が共に生きる世界は、生きいきとしている。ひろびろとした未来があり、見ていて楽しいのである。
 趣味のマラソンでは、妻子を連れての海外旅行となる。子ども達にとっての何よりの体験で、この体験は、大人になっての生活で必ず生きてくる。

 汗拭いゴールドコースト走り抜け
 赤道の陽の眩しきは雲の海

 SLなどの列車にも関心があって、家族との旅がある。

 SLの蒸気の匂い秋初め
 秋の日を背負いさよなら列車行く

 職場の仕事を忘れることがなく、楽しいことがある。

 鮮やかに仕事始めのはんこかな

 本句集は、作者の生活断片を切り取り、それらを繋ぎ、作者の総体を表現した。大きな世界である。
 句集「南港」の中でも私の挙げる代表句としては、

 夕焼けの温もり抱いて子ら帰る
 店先の蜜柑一盛り崩れ落つ
 暗がりで冬帽子脱ぐ通夜の列

である。生活の断片をさり気なく切り取り、深いのである。本句集は、日常にあって、大きな世界を展開し、明るくて深いところを目指した。そこが嬉しい。

 平成二十一年早春
                   高 橋 信 之



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36 コメント

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句集「南港」を拝読して (臼井愛代)
2009-04-10 21:09:41
高橋秀之様
この度は、句集「南港」のご出版おめでとうございます。早速お送りいただきまして、感謝申し上げます。
「南港」という、大阪の港の呼び名をタイトルにされたところに、生まれ育たれた大阪という土地への、秀之さんの愛着を強く感じます。
装丁に選ばれた青い色も、港や海をイメージさせてさわやかです。
こちらで開催される句会に参加するために大阪から出ていらっしゃる秀之さんと、何度かお会いする機会を得ているせいか、
そのおおらかなお人柄が滲み出ている御句集を、楽しく拝読させていただきました。
職場では働き盛りの社会人として、ご家庭では夫として、父として、
日々の出来事や目にされた情景を、気負わず読まれている作品の数々は、読んでいるうちに、和やかな気持ちにさせていただくようです。
温かい御句集を読ませていただきまして、ありがとうございました。

<好きな句>
幼子が淡き影踏む浅き春
桜舞う天保山に船が入る
産声を待つ部屋の窓白木蓮
田植えする水の香りに深呼吸
梅を干す夕暮れ時の母と妻
打ち寄せる波も夕焼け色の波
抱き上げて葡萄の房が子の高さ
秋茄子を洗う妻の手紺が付く
暗がりで冬帽子脱ぐ通夜の列
鮮やかに仕事始めのはんこかな
句集の御礼とコメント (桑本栄太郎)
2009-04-10 21:37:04
高橋信之先生、正子先生
いつもお世話になり大変有難うございます。
高橋秀之様の句集、「南港」の発刊おめでとうございます。早速お送り頂き、昨日拝受致しました。有難うございました。
高橋秀之様
句集、「南港」の発刊おめでとうございます。
早速本日、拝見させて頂き大変参考になる事ばかりと感じ入りました。両先生の序と跋のご紹介にもありますように、ご家族の日常生活を中心とし、奇を衒わない平明な言葉遣いと、それでいて読者に作者の深い思いを良く伝えられている点などであります。
素敵な御句ばかりですが、その中でも特に小生の好きな句を述べてみます。

☆産声を待つ部屋の窓白木蓮
父親として、新しい命の誕生への期待と不安感のない交ぜの落ちつかない心情が、窓から見える白木蓮にとても良く感じられて素敵です。又、これから賑やかな家族になる事と、間もなく訪れる本格的な春の喜びも同時に感じます。

☆風光る沖で入港待ちの船
沖で入港待ちとあれば大型の船のようですね。海上の穏やかな春風に輝く波と、入港し岸壁に着けば嬉しい笑顔も彷彿され、希望が溢れて来る光景を思います。春の港の長閑で明るい光景が素敵です。

☆暗がりで冬帽子脱ぐ通夜の列
通夜の弔問に駆けつけるほどですから、故人とは親しき間柄と拝察致します。「暗がりで冬帽子脱ぐ」との語句に、親しい故人を偲ぶ緊迫感と真摯に悔まれれている心情を想います。


お礼 (藤田洋子)
2009-04-11 09:22:22
信之先生、正子先生、秀之様の句集、本日受け取りました。発送のお世話をいただきありがとうございました。
高橋秀之様、このたびは句集「南港」のご出版おめでとうございます。素敵な句集を贈っていただきありがとうございます。ご家族の皆様にとっても素晴らしい贈物となったことと思います。ゆっくり拝読いたします。
お礼 (丸山美知子)
2009-04-11 19:56:24
信之先生、正子先生、秀之様の「南港」句集本日受け取りました。ありがとうございました。
秀之様、句集「南港」のご出版おめでとうございます。ご送付下さりありがとうございました。あたたかいご家族、子供さんたちへの眼差し、どの御句からも愛があふれ出ていると感じます。
すきな句
三が日溢れんばかりの靴の数
春の夜や寄り添い眠る三兄弟
抱き上げて葡萄の房が子の高さ
幼子が淡き影踏む浅き春
脱ぎ捨てた小さな靴に春の泥
夕焼けの温もり抱いて子ら帰る
子の眠る深夜の部屋に虫の声
幼き子転んだ先に秋の空
さよならの声高らかに日脚伸ぶ
両の手に初泣きの子を抱きしめる
お礼 (藤田裕子)
2009-04-12 00:04:37
信之先生、正子先生、秀之様の句集「南港」、本日受け取りました。発送のお世話をいただきありがとうございました。
高橋秀之様、このたびは句集「南港」のご出版おめでとうございます。ゆっくり拝読させていただきます。
お礼 (祝恵子)
2009-04-12 10:48:21
信之先生、正子先生、いつもお世話になりありがとうございます。高橋秀之様の句集「南港」届きました。
高橋秀之様、句集「南港」のご出版おめでとうございます。お子様を詠まれた句には、ほのぼのとした思いが致します。素敵な句ばかりですが好きな句です。

産声を待つ部屋の窓白木蓮
春の夜や寄り添い眠る三兄弟
夏祭り一目散に踊る輪へ
水槽のめだか背にして参観日
抱き上げて葡萄の房が子の高さ
鮭の身をほぐして乗せる子の茶碗
冬の星指さす吾子を肩車
両の手に初泣きの子を抱きしめる
小さな手持てる限りの豆を撒き
真剣な妻の眼差し秋刀魚焼く

お礼と好きな句 (多田有花)
2009-04-12 13:22:52
高橋秀之さま、初句集「南港」の出版おめでとうございます。
さっそくお送りいただきありがとうございました。お仕事場である港とご家庭を詠まれた句が多く、
にこにこと読ませていただきました。好きな句15句を選ばせていただきました。

★桜舞う天保山に船が入る
 まさしく浪花の春爛漫という景色です。うれしくなりますね。

★貝寄風に吹かれて広き大阪港
 「貝寄風」が決まっています。大阪港の広々とした風景が浮かんできます。

★産声を待つ部屋の窓白木蓮
 我が子の誕生を今か今かと待っておられるその目に映った白木蓮、心持が伝わってきます。

★青空へ大きく開くチューリップ
 お子さんたちといっしょに見ておられるのでしょうか。青空が似合います。

★晴れやかな結婚記念日春の空
 お幸せなんですね、と言ってさしあげたいです。

★鯉幟一本増えて初節句
 三人目の男の子、増えた鯉幟もいっそうにぎやかに元気に泳いでいることでしょう。

★真っ白な長方形が冷奴
 なんともユーモラスな句。あたりまえのことをあたりまえに詠んでおられるのですが。

★キャッチボールする間をすっと赤とんぼ
 親子の間を行き交うボール、そこに赤とんぼもまぎれて、いい風景です。

★南瓜の天ぷらでんと中央に
 豪快な食卓が目に浮かびます。育ち盛りの男の子三人、さらに天ぷらの量も増えたことでしょう。

★石畳一歩一歩と七五三
 なれない一張羅を着た幼い子が神社の石畳を踏みしめて歩いています。微笑ましいです。

★食卓に冬薔薇一輪誕生日
 お誕生日は冬? 奥様がさりげなく飾ってくださったのでしょうか。うれしいですね。

★目覚めれば冬晴れの富士そこにあり
 大阪から東京方面に向かう新幹線車中の景色でしょう。鮮やかな富士の印象です。

★実が二つ浮かぶ柚子湯に子らと入る
 お子さんたちをお風呂に入れるのはお父さんの役目。柚子湯の意義を話したりしながら。

★大空へ放つ七色出初式
 虹色に染められた放水が新しい年の出発を祝っています。美しく喜ばしい光景です。

★夕暮れて沖から汽笛冬終わる
 少し日が長くなって、そこに聞こえてくる汽笛。冬の終りを告げる明るい音です。
お礼 (上島祥子)
2009-04-12 15:26:31
信之先生、正子先生、句集「南港」を受け取りました。ありがとうございました。
秀之様、句集「南港」のご出版おめでとうございます。

好きな句
風光る沖で入港待ちの船
秀之様の句の中で港の句が好きです。大きな海に大きな船、ゆったりとした気持ちになります。
お礼と好きな句 (小川和子)
2009-04-12 16:32:17
信之先生、正子先生、いつもお世話になりましてありがとうございます。高橋秀之様の句集届きました。
高橋秀之様、句集「南港」のご出版おめでとうございます。重要なお仕事をこなされながら、大阪港のこと、マラソンのこと、そして何よりも三人のお子さま達、ご家族のことを詠みつがれていられることに、ほのぼのとした暖かさを感じました。好きな句10句を挙げて句集「南港」の刊行をお喜び申し上げます。

好きな句

桜舞う天保山に船が入る
風光る沖で入船待ちの船
産声を待つ部屋の窓白木蓮
汗拭いゴ-ルドコ-スト走り抜け
夕焼けの温もり抱いて子ら帰る
ミニトマト口いっぱいに陽の恵み
子の眠る深夜の部屋に虫の声
数本の摘みしコスモス母に出し
秋晴れの海岸線をひた走る
小さな手ふたつ重なるかるた取り
秀之句集を読んで (古田敬二)
2009-04-12 21:18:16
信之先生、正子先生、秀之さん、句集をお送りいただきありがとうございました。
楽しく読ませていただきました。

子どもや家庭や職場や身の回りをさりげなく詠んでわかりやすく、胸にすとんときます。
年代の違いはありますが、子どもとのかかわり方や家庭での男のあり方を考えさせられました。
難しい季語を詠むのでなく、さらりとそこにあることやものを、力を入れずに読む。
句作の姿勢も参考になります。ありがとうございました。ますます精進されますよう期待しています。

私の好きな句
春の夜や寄り添い眠る三兄弟
菖蒲湯が狭しと浸かる三兄弟
産声を待つ部屋の窓白木蓮
野遊びをする子一日すぐ暮れる
夕焼けのぬくもり抱いて子ら帰る
飛行機が南の空へ終戦日
子の眠る深夜の部屋の虫の声
真剣な妻の眼差し秋刀魚焼く
南瓜の天ぷらでんと中央に
よちよちと落葉踏み締め兄を追う
暗がりで冬帽子脱ぐ通夜の列
賀状書き並べテーブル埋め尽くす

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