花冠俳句叢書

花冠発行所 主宰高橋正子

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第Ⅰ期 第22巻「雲梯」飯島治朗句集

2009-03-23 10:36:36 | Weblog
  序

 飯島治朗さんは、祖父以来三代に渡る教育者で、その俳句の主なものは、子どもたちと接する日常の生活から生まれた。子どもたちを見守って、その視線が暖かい。

  子ら遊ぶおしくらまんじゅう花辛夷
  のぼり棒上りゆく子へ青葉風
  枯草の土手を声あげ滑る子ら

 教室の風景を詠んでも、子どもたちの心との触れ合いがある。
 
  長廊下歩けば触れる七夕笹
  教室の青いバケツに花すすき

 街角で出会った子ども達は、

  手を挙げて渡る双子の夏帽子
  お揃いの双子のTシャツさくらんぼ

と詠み、作り手の心が読み手に伝わってきて、その快い読後感が嬉しい。
 家族を詠んでも、作り手の心が快く伝わってくる。

  しゃぼん玉パッと弾けて孫の顔
  朧月長寿の母は寝ています

 作者のいい生活は、いい俳句となって、読み手を喜ばせてくれる。嬉しい俳句である。
 作者のこうした暖かさは、ご自分の家族や教え子達に限らない。施餓鬼会にあっても、さり気なく句を詠んで飯島治朗さんの心を見せてくれる。

  施餓鬼会や新盆の家前列に
 
 草花や大空に目を遣れば、それらとの出会いに作者の内面の深いところを見せてくれる。
 
  明るくてコスモス一輪ありて足る
  青穹や地上の秋を明らかに 
 
 芭蕉が遺した言葉に「高くこころをさとりて俗に帰るべし」がある。飯島治朗さんは、学校生活では、子どもたちと同じレベルにあって、明るくて浅いところに居るのだが、その内面は、高くて深い。それは、治朗さんの俳句を読めば、明らかである。
 本句集「雲梯」の代表句として、次の三句を挙げる。

  雲梯を渡り行く子の空高し
  かいつぶり潜り水輪を離れ出る
  平らかな冬田の向こうに富士聳ゆ

 これらの句は、ごく最近の句であって、その成長を嬉しく思う。俳句の技巧的な上手さといったことではなく、作者の内面の深さ、その高さである。それが俳句の言葉に現れているのである。

  平成二十一年早春
                          高 橋 信 之



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13 コメント

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句集「雲梯」を読んで (臼井愛代)
2009-03-15 10:18:45
飯島治朗様
この度は、句集「雲梯」のご出版おめでとうございます。
お送りくださったものを、昨日頂戴いたしました。お礼申し上げます。
早速拝読させていただきました。

教育者として、学校という場所で長い年月を過ごしてこられた作者らしく、
その眼差しは、校内においても校外においても、子らにあたたかく注がれています。
子供たちを詠まれた御句からは、四季それぞれに、元気に学び育つ子供たちの姿がいきいきと描かれています。
平易な言葉で詠まれた御句の数々は、子供たちが読んでも理解できるものであり、
それは、作者から子供たちへのあたたかい贈り物となっているような気がいたしました。
また、学校を離れた場所での御句も、心の動きや感動が、飾ることなく詠まれており、
読者の心の中に、すっと沁みて、しみじみとした読後感をいだきます。
装丁に使われている鮮やかな黄の色のように、曇りなき明るさを宿した御句集と感じました。
素敵な句集に勉強させていただき、ありがとうございました。

<好きな句>
新緑や先ずパレットにみどり置く
群れて咲くオクラのなかに尖るもの
長廊下歩けば触れる七夕笹
背伸びして木犀嗅ぐ子手に画板
雲梯を渡り行く子の空高し
教室の青いバケツに花すすき
裏の庭農家のかたちに冬日影
かいつぶり潜り水輪を離れ出る
凧揚や風の力を手に握り
からからに太陽枯野を照らしけり
句集「雲梯」を読んで (小川和子)
2009-03-16 10:23:33
飯島治朗様の句集「雲梯」を読ませて頂きました。日頃かかさず投句されるその持続力と、まよいのない作句の姿勢に多くを学ばせて頂く思いです。句集の中より好きな句を選ばせて頂き、句集「雲梯」の上梓をお喜び申し上げます。

好きな句
子ら遊ぶおしくらまんじゅう花辛夷
「おはよう」も最後となりし卒業子
青き田で蛍を追いし少年期
風青しすくと青年ブロンズ像
夏つばめ巣にゆくときは真直ぐに

長廊下歩けば触れる七夕笹
雲梯を渡り行く子の空高し
うろこ雲眼下に海のエメラルド
凧揚や風の力を手に握り
学び舎の兎に大晦日の餌をやる

句集「雲梯」 (渋谷洋介)
2009-03-19 10:31:50
飯島治朗様句集「雲梯」出版おめでとう御座います。お送り頂いた句集飯島さんの温顔を目に浮かべ、子供を詠んだ句から好きな句を選ばせて頂きました。
 
<好きな句>
さよならと駆け出す少女風光る
春泥のバケツを覗く子見知らぬ子
下足箱長靴に付く春の雪
「おはよう」も最後となりし卒業子
のぼり棒上りゆく子へ青葉風
教室の青いバケツに花すすき
雲梯を渡り行く子の空高し
小鳥来る花いちもんめ子らの声
枯木立木登りする子丸見えに



句集「雲梯」 を読んで (志賀泰次)
2009-03-19 11:27:09
飯島治朗様の句にはお仕事柄子らを詠んだものが多いが、自然を詠んでも、そこには優しい眼差しと細かな観察と気配りがあり感心させられ、教えられる処が多い。いつも読み手を和ませるものがあり、そこに私はとても惹かれている。日常の欠かさぬ投句を見ても、律儀なお人柄と暮らしぶりが伺える。信之・正子両先生が説くいい生活からいい句が生まれるとの通り素敵な句集上梓の運びになり、誠にお目出度い思いです。句集のご発刊を心からお祝い申し上げ、好きな句を挙げさせて戴きました。
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かくれんぼ芽吹く樹の幹子を隠し
子ら遊ぶおしくらまんじゅう花辛夷
春雨の中より真っ直ぐ電車来る
海を背に畑の菜の花匂い立つ
春耕やたっぷり黒き畝の列
しゃぼん玉パッと弾けて孫の顔
    -------------
あじさいの花の縁よりむらさきに
のぼり棒上りゆく子へ青葉風
百日紅水面をすうっと子ら泳ぎ
    ------------
明るくてコスモス一輪ありて足る
新涼や窓いっぱいに開け放つ
青穹や地上の秋を明らかに 
雲梯を渡り行く子の空高し
小鳥来る花いちもんめ子らの声
うろこ雲眼下に海のエメラルド
     ------------
凧揚や風の力を手に握り
冬晴れにハンドベルの音透き通る
枯木立木登りする子丸見えに
箒よりどんぐり転がる落葉掃き
かいつぶり潜り水輪を離れ出る
    -------------
句集「雲梯」 を読んで (高橋秀之)
2009-03-20 23:09:33
飯島治朗様

句集「雲梯」の刊行、おめでとうございます。
治朗様とは、東京や横浜の句会で何度かお目にかかり、その大らかなお人柄にも触れさせていただきました。また、子ども俳句では、いつも投句・コメントをいただき、その暖かいお人柄にも触れさせていたたいております。
今回上梓されました句集「雲梯」も随所に治朗様の教育者として児童をみつめる眼差しや自然を慈しむ気持ちがあふれて楽しく拝読させていただきました。

その中でも好きな句として、次の7句をあげさせていただきます。

しゃぼん玉パッと弾けて孫の顔
雲梯を渡り行く子の空高し
枯草の土手を声あげ滑る子ら
かくれんぼ芽吹く樹の幹子を隠し
群青に星々煌めく空澄む夜
空の青映して蒼濃き冬の海
横一線音立て打ち寄す冬の波
句集「雲梯」を読んで (藤田裕子)
2009-03-21 00:55:15
飯島治朗様
この度は、句集「雲梯」のご出版おめでとうございます。お送り頂いた句集を拝読させていただきました。
子供さんを見つめる教育者の温かいお姿が、俳句の随所に見られ、読者をとても幸せにしてくれます。明るくて楽しくて深みがあり、飯島様の詠まれる俳句の世界は、とても大事にしたい、すばらしいものだと思います。
 好きな句を挙げさせていただきます。

かくれんぼ芽吹く樹の幹子を隠し
芽吹く樹に羽音残して鳥発てり
乳飲み子のつかまり立ちや土筆ん坊
しゃぼん玉パッと弾けて孫の顔
かくれんぼ若葉青葉の隠す子ら
新緑や先ずパレットにみどり置く
のぼり棒上りゆく子へ青葉風
手を挙げて渡る双子の夏帽子
長廊下歩けば触れる七夕笹
明るくてコスモス一輪ありて足る
雲梯を渡り行く子の空高し
児の絵よりはみ出す真っ赤な石榴の実
空の青映して蒼濃き冬の海
箒よりどんぐり転がる落葉掃き
平らかな冬田の向こうに富士聳ゆ

すばらしい句集を読ませていただきまして有難うございました。
誌友の皆様へのお礼 (飯島 治朗)
2009-03-21 04:44:25
句集「雲梯」の読後感想を頂戴致しました、臼井愛代様、小川和子様、渋谷洋介様、志賀泰次様、高橋秀之様、藤田裕子様、暖かい心のこもったコメントありがとうございました。これからの励みとさせて頂きます。合掌。
「雲梯」を読んで (藤田荘二)
2009-03-22 15:03:19
句集「雲梯」の出版、おめでとうございます。拝読させていただきました。
句会などでお会いしたとき、柔和な目が印象的でしたが、教育者として子どもを見つめておられる目であることに、知ってはいたものの、あらためておもいいたりました。
小・中・高、それぞれに思い出のある先生はいますが、人に馴染むことに多少の問題のあったとおもわれる私は、今も小学校低学年のときの大変世話になった先生が思い出されます。
ふしぎなことに当の先生は発したことばにご記憶はないそうですが、いくつかの場面のひとことが、常に思い出されます。そのときはいつも季節の風景とともに、そのひとことが思い出されます。夏草の中での場面、冬のスキーの時の場面、秋の長雨に打たれるすすきの場面などです。
日ごろの飯島様の、子ども俳句を通しての活動から、季節の移ろいを見つめる目は子どもたちにも十分伝わっているようにお見受けいたします。
季節の移ろいを大切に教えておられる教育は、自然の何気ない風景・印象をきっかけとしていろいろのことを、子どもたちの生涯に与え続けると感じました。

私の好きな句をあげさせていただきます。

春風にからくり時計鳴り渡る
紅白の梅の花背に海の紺
毛筆の水の一文字春浅し
山吹を揺らす黄の傘黄の帽子
梅雨寒し電車寡黙を吐き出せり
玄関に枇杷を一枚飾りけり
のぼり棒上がりゆく子へ青葉風
涼しさや切子グラスの青の切れ
夏つばめ巣にゆくときは真直ぐに
明るくてコスモス一輪ありて足る
みちのくの風吹く中に花すすき
雲梯を渡り行く子の空高し
田舎より箱の膨らむ秋野菜
みちのくの冬満月を連れ帰る
空の青映して蒼濃き冬の海
横一線音立て打ち寄す冬の波
バス降りる寡黙な人に落葉かな
裏の庭農家のかたちに冬日影
凧揚や風の力を手に握り
家路つく子らの背を押す冬夕日
枯色のなかに畦火の焔立つ
除夜の鐘月鐘楼の上に照り
箒よりどんぐり転がる落葉掃き
北側に冬空仕切る防風林
句集「雲梯」を読んで (黒谷光子)
2009-03-23 10:23:09
句集「雲梯」のご出版、おめでとうございます。
拝読させていただきまして、子ども達への先生のあたたかい眼差しや自然へのやさしさなど、温厚なお人柄が偲ばれる御句に豊かな気持にさせていただいた思いです。ありがとうございました。
好きな句を選ばせていただきます。

海を背に畑の菜の花匂い立つ
図書館の子らの静かさ沈丁花
かくれんぼ若葉青葉の隠す子ら
新緑や先ずパレットにみどり置く
山際へ広ぐ植田の青あおと
のぼり棒上りゆく子へ青葉風
陽炎やゆらゆら揺れて来る電車
涼しさや切子ガラスの青の切れ
夏つばめ巣にゆくときは真直ぐに
空の青映して蒼濃き冬の海
凧揚げや風の力を手に握り
枯草の土手を声あげ滑る子ら
家路つく子らの背を押す冬夕日
枯色のなかに畦火の焔立つ
平かな冬田の向こうに富士聳ゆ

お礼 (飯島 治朗)
2009-03-27 03:44:09
藤田荘二様、黒谷光子様、句集「雲梯」の読後感想をお寄せ頂き、誠にありがとうございました。うれしく拝読させて頂きました。合掌。

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