オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

武士の一分

2006年12月06日 22時49分41秒 | 水曜日は映画の日
「武士の一分」
 出演:木村拓哉、檀れい、笹野高史、小林稔侍、桃井かおり 他


木村拓哉の映画だな、と思った。
観客層は、比較的年齢が高く(見に行った時期もあるかもなー。間違いなく学生さんはテスト期間だしな)、水曜日(女性1000円の日)にもかかわらず男性比率が高い。夫婦のほか、父と娘、という取り合わせも結構あったなあ。いやもちろん、主力(笑)は女性ですよ?

分かりやすい時代劇です。いい意味で、藤沢周平っぽさが消えていると思う。いやー、キムタク恐るべし!
藤沢原作ものって、どっか、こう、辛気臭いっていうか暗いっていうか、ちょっと臭う(え)んだよなあ。いや、悪くはないんですよ。寺尾聡であり、内野聖陽であり、真田広之であるところの藤沢原作ものは、独特の空気感あります。たそがれ清兵衛しかり、秘剣馬の骨(だっけな)しかり、蝉しぐれしかり…あとなんだ?そういうもののいわば「藤沢臭」をほとんど感じませんでした。
でも、たとえば三谷幸喜の時代劇「龍馬と妻とその夫と愛人」でしたっけか?とか、「どら平太」とか、民放でやってる時代劇(詳細は割愛)よりは、全然、がっつり正統派時代劇。

盲目の木村拓哉の視線がすごい。これ演技ですかほんとに。笹野さんだったかな、が言ってらした撮影中のエピソードの、車の運転をしていて(目を開けていて盲目の演技をする癖がでて)ぶつかりかけた、というのも頷ける。ほんとに、なんだろうな、焦点のさだまらない、遠くを見ているようで、覗き込むと眼球の裏側が透けて見えそうな視線、なんだよな。すごいな。

すごいといえば、殺陣もすごい。恰好良い、ほんとに、恰好良い。これについては、坂東三津五郎さんや緒方拳さんも褒めてらしたので、あえて書く必要もないけど、いやなんちゅーかね、庭で木刀を振るシーンがあるんだけどね、これがもう、びたーっとはまってるんですよ!池波正太郎の書く秋山大治郎や伊庭八郎の「棒振り」はかくや、と思いました。

小さい笑いどころは幾つもあるんだけど、笹野さんがらみの厠へ行く途中で頭ぶつけちゃった事件(笑)のセリフ「…お前の殺意を感じたぞ」はツボでした。参ったよ、それアドリブじゃないんすか!?
あとやはりはずせないのは、桃井姐さん。もう、着物ばっちり着てすっかり時代劇の人なのに、どこまでも「桃井かおり」なもんでほんとにもう、素敵っ!

先週末、この映画の公開に合わせて、各局で木村拓哉や「武士の一分」の特別編成(ていうか、つまりは宣伝だよね)をやりまくってて、それをまた、律儀にほとんど見ていたおいらは「おなかいっぱい」状態だったんですけども、その状態で見に行ったのも良かったのかもしれない。スマステの、今までのキムタクの共演者やディレクターや演出家や監督のインタビューが良かったな。その中で松たか子が「何をやっても外さない人だなあと思いました」って言ってたんですが、映画を見てよく分かりました。ほんと、外さない人ですよ、木村拓哉って。