オレンジ色の紫陽花

携帯から軽快に綴るおいらの日々。
…だったのだが、ツイッターのまとめブログに変更。極稀にこっち単独の記事もある、かも。

「夏の庭」

2005年07月25日 22時25分22秒 | ほぼ、文庫本
夏の庭/湯本香樹実/新潮文庫

タイトルにひかれて衝動買い。文庫だし、いっか、というのと、夏だし、ま、いっか、のノリで。ちょっとはヒネれよ!というくらいに、どストレートだなあ。
解説を読んで知ったんだけど、映画にもなったらしい(勿論、見ていない)。

この本を読んだのは、電車の中だ。
仕事が休みなので、前から頭の中だけで考えていた、ひたすら鉄道に乗るだけの旅をやってみたのだが、その道中(車中)の暇つぶしに読んだのだ。旅っていうか、ローカル線を乗り継いで乗り継いでぐるっと廻って戻ってくる、遠足みたいな規模だけど。これについては、また別の日に書くかもしれないけれど、これが意外に楽しかった。気分はすっかり夏休みの一人旅だ。
その、遠足やら一人旅やらの印象の方が強くて、この本についての読後感はなんともあっさりしたものだった。
一言で言うと「子どもの頃の夏休み」だ。(そのまんまやがな!)
ただ、肝心の主役である子ども達が、どうにもピンとこなかった。時代設定が今の平成なのか昭和なのか、多分この平成なんだろうけれども、それにしては子ども達がどうも古くさい感じがする。作者は私より少しだけ年上なのだが、25年前の私がその年齢で今現れたらこんな子どもかな、というような感じ。でも全面的にそうか、というとそうでもない。「子ども」という言葉の持つ普遍的なイメージ像とでもいうか。
その為に、出てくる子ども達の印象がどうにも薄い。それはそれで、各々キャラクターも立ってるんだけど、どうも子どもじゃないような感じ。ま、単に私のそばにいる子ども(=こじこじ。小学1年生)の印象が強い所為も、あるっちゃあるんだけどな。
大人が読んで、ああ、そうそう、子どもの頃の夏休みってこんな感じだよなあ、と懐かしく思い出す為にはぴったりの本かも。
大人になった「元・子ども」が大人の目線で、自分が子どもの頃の夏休みってこんな感じでした、みたいなことを想像して書いたって感じかなあ。それだったら平凡でもいいから、自分(=作者)の夏休みを思い出して書いたものの方が、よっぽど生々しくて、ピンとくると思うのだが。
なんだろう。この本だって体験を素にして書かれているだろうに、なんでこう、印象が薄いんだろうなあ。
…そうか、やっぱり電車に乗るだけの旅、なんてことをやっていて、そっちの方ですっかり「夏休み気分」を満喫していたからか!