すぎなみ民営化反対通信

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区が企てる「あんさんぶる荻窪―荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換」条例はなぜ無理でダメなのか

2015年11月23日 | 児童館なくすな!あんさんぶる⇔税務署交換

今回記事は前回記事の続きでミニ連載の⑥ということになります

    杉並区議会4定・11月19日吉田施設再編整備担当部長は「(財産交換議案の内容に関しては)交換財産の種類・所在地・面積・金額・相手方等の議案を来年区議会1定で提出する」と強弁しているが・・・・

 特報・杉並版

(児童館・あんさんぶる―地域・職場版)

      現在開会中の杉並区議会4定で、先日11月19日くすやま議員の一般質問で、吉田施設再編整備担当部長は「(財産交換議案の内容に関しては)交換財産の種類・所在地・面積・金額・相手方等の議案を来年区議会1定で提出する」と答弁した。

【1】杉並区議会4定―11・19吉田施設再編整備担当部長の答弁の内容

       財産交換議案の内容に関する答弁としては、振り返れば、吉田部長に説明されるまでもない当たり前と言えば当たり前の話だが、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換である以上、前掲の吉田答弁のようになる。

      これは杉並区が国と2014年7月9日に締結したあんさんぶる荻窪と荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換の契約締結に向けての覚書の約定部分にあたるものである。同覚書の第3条2項「交換契約締結時における渡財産と受財産の評価額」「差額(が見込まれる場合)」は、2015年11月区議会4定開会中の現時点では未確定だが、来年区議会1定までに確定させ、財産交換議案の提出時には、吉田答弁に言う「金額」として記載されていることになる。 

     つまり吉田部長は、「交換財産の内容ついて答弁しているが、何のことはない、同覚書の第3条の別紙に記された交換予定財産について、「交換財産」の種類」:土地、建物)、「所在地」(地番)、「面積」(数量:平米)、相手方(国)と今後加わる不動産評価額確定の「金額」と「差額」に関する議案と答弁しただけである。 

   財産交換それ自体に関して枝葉をとれば、要件としては、これが内容だ。

    覚書の第4条(交換条約の締結)に記載されている「平成30年度を目途とする契約締結日」、第5条(所有権の移転)「交換契約締結時に所有権移転」に関する契約締結の具体的な日時を除けば、来年区議会1定提出予定という財産交換議案は、その締結日に締結され発効する財産交換契約(書)そのものであり、その財産交換条例の施行日をそこにあわせただけのものであると言ってよい。 

    何のことはない、と先に言ったのは、2014年7月9日覚書=あんさんぶる荻窪―荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換契約=来年2月区議会1定提出の財産交換議案=あんさんぶる荻窪―荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換に関する条例(案)ということだ。ふざけるな、許せないということではあるが、別に今さら驚くことではない、区においては最初からそう決っていたということである。

 (※この点については、当通信は、既に、2015年11月5日記事で、覚書では、2018年度を目途に、財産交換契約を締結し所有権を移転する、それにむけた国と杉並区が行うべきこと、その手順が具体的に記されているが、覚書は、そうした手順・方法を枝葉として、とってしまえば、国の交換対象物件パッケージと杉並区の交換対象物件パッケージの財産交換、この一点が、約定事項であると指摘しておいたが、11・19吉田答弁によって、その通りとなったといえる。)

 《参考》

別紙
第3条 交換を予定する財産は、次のとおりとする。
(1)甲が交換を予定する物件(以下「渡財産」という。)
      所在地                  区分   数量    
名 称  「荻窪税務署」 
      「天沼第二宿舎跡地」、「荻窪寮跡地」
  ①東京都杉並区天沼三丁目190-7        土地   3,149.42㎡
  ②東京都杉並区天沼三丁目190-1        土地   3,182.42㎡
                              土地合計   6,331.90㎡
  ③東京都杉並区天沼三丁目190-7        建物   2,061.96㎡

(2)乙が交換を予定する物件(以下「受財産」という。)
      所在地                  区分   数量    
名 称  「あんさんぶる荻窪」 
  ①東京都杉並区荻窪五丁目168-1        土地    897.94㎡
  ②東京都杉並区荻窪五丁目169-1        土地    874.21㎡
                              土地合計   1,771.45㎡
  ③東京都杉並区荻窪五丁目15番13号       建物   6,982.87㎡

 

【2】この11・19吉田答弁の意味はきわめて重要であり重大である。

    来年2月区議会1定提出の財産交換議案は財産交換契約締結条例案そのものである。

    区は、区と国が2014年7月9日に締結した覚書通りに、「国と区のあんさんぶる荻窪と荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換の契約を締結する」ことを来年1定区議会に議案(条例案)として提出すると11・19吉田答弁をもって明らかにしたということである。

    吉田答弁に言う「交換財産の種類、所在地、面積、相手方」に関する議案を来年区議会1定に提出するとは、言葉としては「条例案」提出とは言っていないが、「あんさんぶる財産交換」条例案ということである。これは、10月20日天沼小学校説明会では、「今後のスケジュール」で当面最大の節目が条例案の区議会提出であるにもかかわらず、それに触れなかった(※)、その「あんさんぶる財産交換契約締結条例案」提出そのものである。(※ 今年1月27日天沼小学校説明会以来、議会答弁や説明会、説明会参考資料で「来年区議会1定であんさんぶる財産交換条例案提出」としていたものを「今後のスケジュール」では何故か触れようともしなかった、引っこめていたのである。)

     このことは、区が、これまで、(既に締結している)覚書と(これから締結する)交換契約とこのかん区が実施していること及びその関係・根拠について、あれこれと説明・答弁してきたことが、すべてウソだった、ずっとウソをつき続けて来たこと、すべて区民をたぶらかす愚弄だったことを示している。

    今年2015年1月27日天沼小学校説明会では、寺井副参事は「覚書は、契約書ではない。単なる事務的実務的な手順書に過ぎない。まだ財産交換契約は決まったわけではない。国と区との交渉で協議が続いている」と説明し、「節目は2016年2月区議会、財産交換に関する条例案を議会に提出し議決承認を得る」と説明していた。後者は、その通りだが、前者は明確にウソである。区は、未だ条例案も出ておらず、その内容についても議会や説明会や区政資料で明らかにされていないのに、《覚書=交換契約=交換条例》として、覚書にそって、そこでの区と国が取り交わした約定事項を実施してきた。つまり、まだ正式には決まっても締結されてもいない財産交換契約に基づいて、あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換のためのすべてを実施してきた。

    また吉田施設再編整備担当部長は、このウソをごまかし、区が実施していることを正当化するために「条例は議会の議決承認で決まるが、条例案の議決承認まで待っているのではなく、区として決定した計画に基づいて実施している」「特養ホーム増設は喫緊の区の最優先施策であり、条例を待たず、区として議決に先立って区の判断で実施している」「区長の執行権限に基づいて全て行っている」と答弁し、また「国と区の覚書に基づいている」と答弁していた。後者の「覚書に基づいて実施している」についてはそれはそれとしてその通りだが、「覚書に基づいて」と枕詞的に言うことはあっても、その覚書については、一度として、議会質疑にさらされたことも、区が区政資料や説明会の参考資料として公開したこともない。

     明らかなことは、区は、秘密の覚書、つまり最初から決っていた通りに財産交換計画を進めて来たのである。区議会における財産交換契約締結に関する条例、財産交換契約の締結という、財産交換の成立のためには不可欠な手続きが未了で、その内容もそれをめぐる国と区の交渉経過も公開されないままに、財産交換計画は進められてきたということだ。

     誤解を恐れずにあえて言えば、そもそも最初から「覚書」として(評価額及び差額の問題を除けば)「交換契約」は存在していたのであり、その既に国に対しても区に対しても拘束力を有する「覚書」として存在していた「交換契約」に基づいて、すべてが運ばれてきたのである。「覚書」として事実上存在している「交換契約」が、条例議決より優位に置かれて、あんさんぶる荻窪・財産交換をめぐる物事はすべて運ばれてきた。

     形式的な手続き上は、時間軸の流れで、来年二月開会の区議会1定提出「財産交換議案」(条例案)は、実際に交換契約が締結される契約締結時の手前であり、「条例の定め」があって「契約が締結される」という順番になっていることから、あたかも「条例に基づいて、財産交換契約締結という「適法性」の体裁を装っているが、内容に関して言えば、予め「覚書」という既に国と区が締結し明文化されている事実上の「交換契約」で既に、財産の交換から、それに絡み合った施設の廃止、設置、移転にいたるまでが決まっていたということだ。

   こう考えれば、田中区長が「国と決めて来たことだ」「もう決まったことだ」としばしば言い募り、わめきちらし、吉田部長が「覚書に基づいて実施してきた」と答弁してきたことも、そのように言い張る「根拠」もわかりやすいというものだ。   

    杉並区と区民の関係では、財産交換に関しては、それなしには手続き上あり得ないものとして今回11・19吉田答弁で明らかにされた「交換財産の種類、所在地、面積、金額、相手方等に関する議案」(財産交換条例案)が来年2月開会の区議会1定に提出されるが、その意味は、既に事実上、「覚書」として国と区との間で締結され明文化されている「交換契約」の追認にほかならない。

    だが、だからと言って、来年2月開会の区議会1定で条例案として提出し、財産交換の内容も手続きもそこで明らかになるのだからそれが議決承認されれば何も問題はないということにはまったくならない。当たり前だ。

    言うまでもなく、この国の財産と区の財産との交換の内容と手続きには、単なる建物・土地の交換にとどまらず、「公の施設」である区立複合施設としてのあんさんぶる荻窪の廃止、「公の施設」である区立複合施設としての「天沼三丁目複合施設棟」の設置の内容・手続きが含まれ、絡み合って進行する。これは「条例によってこれを定めねばならない」としている地方自治法第244条の二を潜脱し根本から違背するものである。区は、この地方自治法第244条の二を無視し続け、何の問題もないと考えているフシがあるが、財産交換についてはこれから来年二月開会の区議会1定での条例案の議決承認によって定められるのではなく、既に2014年7月9日付けの国と区の覚書によって定められているということなのだから、「条例で定めた」といえるようなものなどではないからである。

     だが、問題は、以上、縷々指摘・批判した点にとどまるものでもない。区が「財産交換」議案としている「交換財産の種類・所在地・面積・金額・相手方等に関する議案」の内容であり原基である覚書そのものが、財産交換としても紛れもなく法律(法令・条例)に違反しているということである。以下、【3】で指摘し暴露・批判する。

【3】吉田部長=区が大手を振って「交換財産の種類、所在地、面積、金額、相手方に関する議案を来年区議会1定に提出する」などと言い切れるようなものではさらさらない。

     なぜ、「交換財産の種類、所在地、面積、金額、相手方」に関する議案を来年区議会1定に提出することができない、ゆるされないのか?

      以下、交換財産(交換対象物件)である杉並区の「あんさんぶる荻窪」(建物・土地)と国の「荻窪税務署」「公務員宿舎跡地(「天沼第二宿舎跡地」、「荻窪寮跡地」)」(建物・土地)の各段階での図解、フローを交えてみていく。

      ※フロー図では左が杉並区財産、右が国の財産という原状からスタートさせ付番の順に時系列でみていく。青字が区赤字が国に所有権が帰属する。

① 原状・・・・2014年7月9日覚書以前

 あんさんぶる荻窪         荻窪税務署   公務員宿舎

[建物][土地]            [建物][土地]  [建物][土地]

 

② 覚書第7条1項(2)後半に基づく公務員宿舎の解体(2016年3月までに解体)

 あんさんぶる荻窪         荻窪税務署   公務員宿舎

[建物][土地]            [建物][土地]  [建物][土地]

 

③ 覚書第6条1項に基づき、区は国(関東財務局)から公務員宿舎跡地を所有権移転の日の前日まで貸付財産として有償で借り受け、そこに区が複合施設棟を建設する工事を施工(2016年7月着工~2017年完成)

 あんさんぶる荻窪         荻窪税務署   公務員宿舎跡地

[建物][土地]            [建物][土地]  [土地] 

      (※区の施工に必要な範囲について、区が国から有償で借り受ける「貸付財産」) 

 ④ 区が貸付財産として有償で借り受けている公務員宿舎跡地に2017年12月に完成した区の複合施設棟にあんさんぶる荻窪の消費者センター・福祉事務所・社会福祉協議会・成年後見センター・就労支援センターが移転し、荻窪北児童館の学童クラブ・小学生放課後居場所事業、乳幼児親子居場所事業が桃井第二小学校、保健所等に移転するまでの間は、覚書第6条4項に基づき、あんさんぶる荻窪については、国(関東財務局)が区に有償で貸し付ける(=区が国から借り受けた貸付財産として有償で使用する。)

あんさんぶる荻窪         荻窪税務署   複合施設棟

[建物][土地]          [建物][土地]  [土地] [建物]

     (※区が国から有償で借り受ける「貸付財産」として「あんさんぶる荻窪」を使用)

⑤ 区の前掲各施設各機能が移転後のあんさんぶる荻窪の建物を国が改修し、荻窪税務署が移転するまでの間、覚書第6条3項に基づき、荻窪税務署については、区が国(東京国税局)に有償で貸し付ける(=国が区から借り受けた貸付財産として有償で使用する。)

 あんさんぶる荻窪         荻窪税務署   複合施設棟

[建物][土地]            [建物〕 [土地]  [土地] [建物]

 (※国が区から有償で借り受けた「貸付財産」として「荻窪税務署」を使用)

⑥ 覚書第7条2項に基づき、国の荻窪税務署があんさんぶる荻窪の改修後の建物に移転を完了し、移転後の荻窪税務署の建物・土地を現状で引き渡した段階 ⇔ この状態で「あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換」は完了。財産交換契約締結(締結日所有権移転)

 荻窪税務署           税務署が移転後の建物  複合施設棟

[建物][土地]           [建物][土地]     [土地][建物]

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

⑦ 以降は財産交換契約締結後の杉並区の計画である。移転後の荻窪税務署の建物を解体、解体後、区の掲げている計画ではそこに特養ホームを建設する工事

 荻窪税務署           税務署が移転後の建物  複合施設棟

[建物][土地]           [建物][土地]     [土地][建物]

 

⑧ 2020年~2021年度に予定通り特養ホームが完成した場合

 荻窪税務署           特養ホーム       複合施設棟

[建物][土地]            [土地][建物]    [土地][建物]

               -「天沼3丁目複合施設(特養ホーム・地域包括ケア」ー

    ★前掲フローで見た国の財産と区の財産の交換は、どこが看過できない紛れもない法令違反なのか。

     国や自治体の公共用財産の交換の場合、法律上、重要な点は、次の二点である。

(1)交換の渡財産・受財産は、行政財産を用途廃止した普通財産でなければならない。

(2)交換する渡財産・受財産は、同種の種類の財産でなくてはならない。

     この点に絞って、国と区が覚書に基づいて行おうとしている交換にメスを入れる。(1)(2)の順に検証し、結論を明らかにする。

 (1) いつ、どの段階で行政財産たる「あんさんぶる荻窪」は、荻窪北児童館を中心とし福祉連関施設がひとつにまとまった複合施設である地域コミュニティ施設としての用途を廃止し、普通財産になるのか。複合施設「あんさんぶる荻窪」にある各施設(区画)もまた厳密に言えば「行政財産」である。どこで、交換の要件である普通財産にする(なる)のか―区の覚書(=事実上の「交換契約」=財産交換条例案)ではまったく不分明で、さっぱりわからない

      何よりも、来年2月の区議会1定の時点で、そのような前提は存しない。この時点でのあんさんぶる荻窪の「法律上の財産状態」とはいかなる状態か。いまだ普通財産ではない行政財産の状態である。公共用財産として「あんさんぶる荻窪」は、事業が行われ使用されている。あんさんぶる荻窪は、荻窪北児童館、福祉事務所、消費者センター、成年後見センター、就労支援センターはじめ、公共の事業・使用が行われている行政財産である。

     あんさんぶる荻窪から、これらの用途が廃止になるのは、「覚書」にのっとったとしても、2016年7月から着工される天沼三丁目複合施設棟が2017年12月に完成してから同所に各施設が「覚書」事項通り移転するときのことであり、荻窪北児童館については、明示の時期は定まってもいない。これらの分散移転によって、複合施設である「あんさんぶる荻窪」の構成がなくなるとしても、用途廃止は明示に行なわなければ、財産の交換の前提となる普通財産ではない。そして現に、交換契約締結日の所有権移転に先だって、「あんさんぶる荻窪」の用途廃止を行うということは覚書はもとより、区の行程表でも示されたことはなく、11・10吉田答弁でも、いかなる機会においても明らかにされていない。およそ、このことに関する言及はない。

     財産の交換は、行政財産である「あんさんぶる荻窪」が用途廃止し普通財産として交換の前提たる要件を満たすまでは、その要件を欠く。この段に至って、条例案で用途廃止の時期を明記するとか、用途廃止は今後決めるなどというのであれは、区のいい加減さ・デタラメ性を棚上げしたごまかしである。交換の絶対要件としての用途廃止―普通財産への移行の必要手続きに関する自覚も認識も見識もない区が、現に「行政財産」として機能している「建物」「土地」を、2年近くも先に訪れる「普通財産」状態の予定を示していさえすれば、現時点・来年2月区議会1定で、財産交換条例を通せるなどということはあり得ない。

      指摘だけしておけば、一つの区立複合施設として行政財産であるあんさんぶる荻窪の用途廃止を行うとすれば前掲フローのの時点しかない。だが、そうだとしても、ならば、普通財産に等しい状態になったあんさんぶる荻窪を国の何と交換すると言うのか。国も答えようがない。そこで「こうだ」と具体的にいえるものがあるのか。交換には交換対象物件がなくてはならない。区にはこれに答えられないはずである。国の「〇〇」と交換すると具体的に答えられるものがないからである。無理である。 ではまだでも、⑤になれば見えてくるというのは詭弁である。既に、もう、複合施設棟は出来上がっており、移転・入居も完了しているのである。

      これは、覚書に基づく(覚書そのものといってもよく、交換契約そのものと言ってもよい)財産交換条例案は、その肝心かなめの交換の絶対要件のところで、挫折し成り立たないということである。

 

 (2) 杉並区の交換財産である「あんさんぶる荻窪(建物・土地)」と国の交換財産である荻窪税務署(建物・土地)・公務新宿舎跡地(土地)の交換は、国有財産法第27条(交換)や杉並区の財産の交換、譲与、無償貸付け等に関する条例第2条の同一種類の財産の交換という、財産の交換の絶対要件に紛れもなく違背する法令違反(法律違反、条例違反)以外の何物でもない。

   ▲国有財産法第27条1項には

「普通財産は、土地又は土地の定着物若しくは堅固な建物に限り、国又は公共団体において公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要があるときは、それぞれ土地又は土地の定着物若しくは堅固な建物と交換することができる。」とあり、

   ▲杉並区の財産の交換、譲与、無償貸付け等に関する条例第2条には

「普通財産は、次の各号の一に該当するときは、これを他の同一種類の財産と交換することができる。」とある。

     他の都道府県区市町村でもほとんどが国有財産法第27条の規定にならって条例に同一種類の普通財産の交換を要件としている。

     「あんさんぶる荻窪(建物・土地)」と「荻窪税務署(建物・土地))・公務員宿舎跡地(土地)」の交換は、「建物・土地」と「建物・土地」「土地」のパッケージ交換である。これは一見して明らかなように、同一種類の普通財産の交換という、交換に関する絶対要件が全く想定してもいない法令違背(法律違反・条例違反)であることは言を待たない。

     ところで前掲フローの⑥は、一見、杉並区が企てている、「あんさんぶる荻窪(建物・土地)」と「荻窪税務署(建物・土地))・公務員宿舎跡地(土地)」の交換を成り立たせなくもないような体裁をとった「法律上の財産状態」を呈しているといえば、外観上はそのように見える。あくまで外観上、一見と言うに過ぎないが、区と国のそれぞれの交換財産の構成が「土地」「建物」と「土地」「建物」に整理された状態だからである。そうすると「土地」対「土地」、「建物」対「建物」ということで要件はクリアされると言えるのか。

     しかし、そうではないのではないか。国の交換財産の土地は「荻窪税務署」の建物が建っている「土地」と「公務員宿舎跡地」の「土地」、区の交換財産の「土地」は「あんさんぶる荻窪」の建物が建っている「土地」である。区の交換財産である「堅固な建物」(あんさんぶる荻窪)、国の交換財産は「堅固な(?)建物」(荻窪税務署)については、いずれもその建っている「土地」と一体であり、片方(あんさんぶる荻窪)は「堅固な建物」をそのまま残し活用・使用するものであり、もう一方(荻窪税務署)は「堅固な(?)建物」を交換後に直ちに解体するしかないものであり、本来なら「交換財産」としては解体・更地化した「土地」たるべきものが、たまたま、あんさんぶる荻窪との交換話が舞い込んだがために、解体せず、「堅固な建物」として維持しておくことで、同種財産交換の体裁を保とうとしただけの「堅固な建物」に過ぎない(「荻窪税務署跡地」と「公務員宿舎跡地」にしてしまったら、それこそ、「あんさんぶる荻窪(建物・土地)」と「荻窪税務署跡地・公務員宿舎跡地(土地)」の完全異種交換として成り立たない。)

     むしろ、実際には、「堅固な建物」対「堅固な建物」(「あんさんぶる荻窪」の建物と「荻窪税務署」の建物)の交換における評価額の差額のあまりの大きさ、「公務員宿舎跡地」と「荻窪税務署」が建っている「土地」の評価額の総和と「あんさんぶる荻窪」が建っている「土地」の評価額の差額の大きさから、「荻窪税務署・公務員宿舎跡地」のパッケージの総額と「あんさんぶる荻窪」の土地・建物の総額で、信じられないことだが、「総額」対「総額」での交換に安直に走って、そこでのある種の金銭総額上の大筋大枠合意から、このような組み立て手順のフローで、財産交換計画の工程表をつくったというのが真実ではないのか

     つまり、前掲フロー図で言えば、⑤のフローでの“同種交換”の前提から、⑥のフローでの交換実施にどのように運ぶかで、その手順として、まず、②で公務員宿舎を解体し、③でその公務員宿舎跡地を貸付財産として区に有償で複合施設棟建設工事を施行させ、④で完成した複合施設棟に荻窪北児童館を除くあんさんぶる荻窪の施設を移転、荻窪北児童館の各機能は桃二小と保健所等に分散移転させ、⑤で空っぽになったあんさんぶる荻窪の建物にを貸付財産として国が借り受け改修し、そこに税務署が移転しすることで、前記のような「同種交換」の体裁を整え、⑥の交換に進めるという連続した一連の交換計画を策定して、⑤から⑥へこぎつけようとした。

      本来であれば、②のように、③も④も、法令(国有財産法、杉並区条例)に基づき、個別に区と国の契約締結で建築工事も貸付と移転入居も、各施設(各行政財産)の用途変更や用途廃止も、完結して進め、その一個一個の手続きの完了・集積の上で、そこで整った⑤の要件のもとで、あらためて法令(国有財産法、杉並区条例)に基づき交換に及ぶべき筋合いのものである。だが、早く建替えに代わる荻窪税務署の移転を急ぐ国も、早く荻窪税務署の土地と公務員宿舎跡地を合わせた6331平米と言う広大な土地を手に入れ、さらに施設再編整備計画の推進上、あんさんぶる荻窪廃止(荻窪北児童館廃止)を急ぐ区も、このすべてをひとつの大がかりな一連の財産交換計画に連結・一体化して組み込み、財産交換の一つの分けられない工程表に仕込んで強行に走った。

     その結果が、実際には事実上の移転・入居や建築、引き渡しで事実上の交換が行われているのに、「あんさんぶる荻窪」と「荻窪税務署・公務員宿舎跡地の交換」の最終段階(交換契約締結・所有権移転)まで何と何の交換なのか、どこが同種交換なのか、まるで不分明でわからない、複雑な玉突き移転、ドミノ倒し的ななし崩し的移転で「交換」が進められようとしているのである。

       このような一連の連結・一体化構造での交換を「普通財産の同一種類での交換」とみなすことは到底できない。ざっと俯瞰しただけでも前掲フローの③④⑤⑥から、⑤だけを取り出して「同一種類の交換」という要件として、⑥の交換に入ることはできないはずである。そもそも、このようなフローの渦中にあって、この財産交換について法令に照らしてきちんと合理的法令上の根拠をあげて説明ができる幹部職員や理事者が一体何人いるというのか。みんな説明に窮して逃げ出してしまうだろう。

     麻生財務大臣ー田中区長のトップ交渉による合意と「財産交換」という前例がない手続きといった手法をあえて選び、「特養は喫緊」の錦の御旗を掲げて強行し続けてきたが、「功」を焦り、「事」を急ぎ、「策」を弄し、その挙げ句の果てに「策」に溺れ、区自身でも何をやっているのかわけがわからないような、説明すらできない状況に立ち至っているというのが、ほんとうのところではないか。

     あんさんぶる・財産交換問題は、地域の理解・合意・協力なしにはたちゆかない自治体行政が地元町会から大抗議・大反対運動が燃えあがり、商店街に横断幕まで掲げられるに至っているという意味でも、いざ区議会での条例化を図ろうとした矢先に「財産交換問題」が法令違背問題に転化し始めたという意味でも、杉並区・田中区政にとって命脈問題になっていると言って決して過言ではない。

 

【4】結語―元凶は2014年7月9日覚書。覚書とその締結にいたる国と区の交渉経過の全てを開示し、覚書を破棄せよ。覚書にもとづく「財産交換条例案」は無法の極み、来年二月区議会1定への提出を「条例案」もろとも白紙撤回せよ!覚書に基づく「交換契約」は無効・法令違背だ!あんさんぶる荻窪と荻窪税務署・公務員宿舎跡地の財産交換計画そのものを白紙撤回に追い込もう!

あんさんぶる荻窪(荻窪北児童館)廃止を阻止しよう!

安倍政権の「1億総活躍社会―新3本の矢」の「特養増設―緊急政策」は大デマ、田中区政の「特養は喫緊、最優先施策」も同じ、その先兵だ。「特養」掲げた「あんさんぶる交換」強行を絶対許すな!

児童館廃止を阻止しよう!施設再編整備計画にゼッタイ反対!白紙撤回!

地域・職場・街頭から来年二月区議会「あんさんぶる廃止・財産交換条例」絶対阻止の大運動起こそう!子どもの居場所まもれ!税務署は荻窪南口に来させない!あらゆる署名運動起こそう!区職場からの声、決起が重要だ。みなさん、一緒に手を携えて、力を合わせて立ち上がろう!

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【※2014年7月9日締結の「覚書」全文については以下の当通信2014年11月10日記事で全文そのまま掲載・紹介したうえで暴露し批判しています。

 

http://blog.goo.ne.jp/suginami-no-2/e/eed806bc5078203fb08e783688ef9151  】

 

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